離婚を検討中 お金の前に知っておくべきこと弁護士 志賀剛一

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Case:5 配偶者と離婚したいと思っています。まだ、本人には話していません。恥ずかしながら、離婚に関する知識がなく、基礎的なことを勉強したうえで話を切り出すつもりです。ネットにはいろいろな情報があふれていますが、離婚の初歩の初歩から教えていただけますか。

 弁護士としてご相談を受けていると、離婚手続きに付随する慰謝料や財産分与の金額、また、夫婦間に子供がいる場合には親権の存否や養育費の金額でなかなか折り合いがつかないケースが多く見受けられます。

 しかしそれはさておき、皆さん案外、離婚自体のことを知らなかったり、あやふやな知識しか持っていなかったりする方も少なくないようなのです。お金の話(次回)の前に、まずは基本的なことを整理しておくべきだと私は思います。

 離婚とは、いったん有効に成立した婚姻関係を将来に向けて解消することをいいます。現在でも、宗教上やその他の理由で離婚が禁じられている法制度の国もありますが、我が国はこれを認めています。

 また、江戸時代は「三くだり半」なる絶縁状を夫から妻に一方的に突きつけることにより、夫は理由なくして妻と離婚することができたといわれています(最近は、そうではなかったという説も有力ですが)。

 もちろん、現行法ではそのような制度はありません。ただ、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立しますが、離婚は合意がない場合にも成立する場合があります。どのような種類があるかみていきましょう。

9割を占める協議離婚

 民法はまず、夫婦は協議により離婚することができると定めています。通常、協議離婚といわれるものであり、夫婦の合意により成立します。日本の離婚のうち9割がこの協議離婚であるといわれています。

 たまに誤解している方がおられるようですが、この協議離婚には理由はいりません。お互いが嫌になれば、双方の合意だけで離婚することが可能です(一方、たとえばフランスでは、双方が離婚に合意していても、弁護士を選任したうえ、さらに裁判官に認めてもらうことが必要です)。

 ただし、離婚届を提出し、受理されなければ離婚は認められません。離婚届に必要事項を記載し、夫婦が自筆で署名・押印し、成年の証人2人の署名・押印をもらったうえで、本籍地か所在地の市区町村役場に提出します。本籍地以外の役場に提出する場合は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の添付が必要です。

 2人そろって役所に行く必要はありませんが、窓口へ行った人の本人確認は運転免許証等で行われます。窓口に行かなかった人に対しては、本人限定郵便で届け出があったことが通知されます。たまに、夫もしくは妻が相手の署名・押印を偽造して役場に提出してしまう場合があります(もちろん、偽造した方は犯罪になりますので、絶対にしないように!)。相手方が離婚届を勝手に出しそうな気配がある場合には、役場に対し、あらかじめ「離婚届の不受理申出」という書類を提出しておくとよいでしょう。

家裁に申し立てる調停離婚

 協議離婚がまとまらない場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(または夫婦が合意で定める家庭裁判所)に調停の申し立てをするのも一つの方法です。世間では一般に「離婚調停」と呼ばれますが、正確には「夫婦関係調整調停」といいます。

 夫婦関係調整調停の中には相手が出て行ってしまったが、もう一度やり直したいというような「円満調停」なども含まれます(離婚調停と円満調停の申立書はほぼ同じ書式ですが、「関係解消」か「円満調整」を選ぶチェック欄があります)。むろん、離婚を前提として調停を申し立てたが、話し合った結果、もう一度やり直すことになった例も多数あります。

 申し立てた人(申立人)、申し立てられた人(相手方)に対して、裁判官プラス2人の調停委員で構成される調停委員会が、お互いの言い分を聞き、時には説得を繰り返しながら、折り合える点を模索してくれる制度です。調停委員は社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人から選ばれた一般人です。

 夫婦関係調整調停の場合、法律問題を含むことが多いので、調停委員のうち1人はおおむね弁護士から選ばれた調停委員であり、また、平等の見地から調停委員2名は原則として男女1名ずつで構成されています。法律問題とは慰謝料、財産分与、養育費などを指しますが、それは次回、解説します。

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