独身女子のギモン「保険は入ったほうがいい?」の答え

日経ウーマンオンライン

2017/2/7
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「何かあったときのために、保険に入っておいた方がいいですよね?」

これ、ご相談者さんが家計相談でよく口にされる言葉です。

ほかにも、

「この保険っていいですか?」

「この保険、あまりよくないってネットで見たんですけど……」

とにかく「いいか、悪いか」のジャッジが気になるようです。でも、ちょっと待ってください。そもそも、あなたに保険は必要なんでしょうか?

簡単に言うと、保険を考えるときのポイントは3つあります。

1.必要か、不要か
2.不安か、安心か
3.損か、得か

自分には保険は必要か、不要か

まず、(1)必要か、不要か。

あなたが子どもや親を養っていて、もしもあなたが亡くなった後、その人たちの生活が困ってしまうというのなら、死亡保険が必要かもしれません。ただし、あなたが誰かを養っているのなら、残された家族は、国から遺族年金がもらえる可能性があります。

実は、遺族年金や残された家族の生活状況を考えると、「もしものために」と死亡保険に入っている人でも保険が不要の人も少なくないのです。

また、「お葬式代ぐらいは残したい」という独身女性の方も多いのですが、お葬式費用って、そもそもいくらぐらいかかると思いますか?

お葬式費用の平均額は、約190万円。

このうち、5万円はあなたが加入している健康保険から「埋葬料」で補うことができます。会社によっては、従業員が死亡した場合に、本人が生きていれば受け取ったであろう、その時点の退職金を給付してくれる「死亡退職金」もあります。

また、個人型確定拠出年金や小規模企業共済、個人年金保険などで老後の積立をしていた場合は、家族は、その積立相当額を受け取ることができます。さらに、今のあなたの預貯金も家族は受け継ぐのです。

これらのお金を合わせると、「もしものときのお葬式代190万円」は、準備できそうな気がしませんか。

今、自分が持っている社会保険や会社の制度、貯蓄などを考えたうえで、死亡保険が必要かどうかを判断しましょう。

保険に入っても不安か、安心か

次に、(2)不安か、安心か。

保険は「必要か、不要か」で加入を判断するのが原則ですが、「なぜ保険が不要なのか」という考え方自体を理解できていないと、死亡保険ゼロという状態が、かえって不安を増大させてしまうことがあります。

そこで、保険が不要とわかってもまだ不安が残る場合は、遺族年金を理解すると共に、もしものときに安心できるよう、貯蓄や収入アップ、支出減少などの対策を考えましょう。保険が必要な人にとっては、必要最低限の金額だけ保険に加入することが安心につながるはずです。

保険に入ると損か、得か

最後に、(3)損か、得か。

本来、保険は頻繁に起こることではないけれど、起こってしまったら、自分の貯蓄ではやりくりできないことに対して備えるものです。そのため、保険料を払ったけれど、平穏で保険金をもらうことがなければ、それが一番良いことです。

海外旅行傷害保険や自動車保険、火災保険などはその典型ですね。

例えば、海外旅行傷害保険は、海外旅行中に急病になると、数十万円から1000万円以上の費用がかかるために、掛け捨て覚悟で保険料を払って安心を買うわけです。もしもの事態に備えて加入しているわけですから、「元気に海外旅行から帰ってきて、何ももらえなかったから損した!」と考える人は少ないでしょう。

でも、これが入院保険となると、意識が変わるようです。

「入院してお金をもらって得をした」という経験談も聞きますが、給付金を受け取るためには、それなりの保険料を支払っていることを忘れていませんか。

例えば、医療保険の保険料が毎月3000円だとしましょう。30年間の総支払保険料は、108万円です。この時、入院して受け取るのが日額5000円だとすると、単純計算で216日入院して、ようやく支払った保険料と同額になるわけです。保険料を払って、もしもの安心を買うわけですが、216日も入院しないと思うなら、貯蓄でもしもの入院に備えたほうが得かもしれません。

将来のことが不安になると、「もしものときのために」、「何かあったときのために」と、民間保険を考えてしまうことが多いようですが、まずは、

1.必要か、不要か
2.不安か、安心か
3.損か、得か

を考えるようにしてくださいね。

前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャル・プランナー。中学校・高校の保健室の先生を経て、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経てFPに転身。自らの住宅ローンで800万円、生命保険で1000万円の見直しを行った実績を持つ。講演やテレビでも活躍中。著書多数。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

[nikkei WOMAN Online 2017年1月30日付記事を再構成]

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