年金・老後

定年楽園への扉

男性より切実? 女性の「定年問題」 経済コラムニスト 大江英樹

2017/2/23

PIXTA

 世の中には、俗にいう「定年本」の類いがあふれています。かくいう私も、過去に老後のライフプランに関する本を何冊か書いたことがあります。

 ところが、定年本はそのほとんどが男性目線で書かれたものばかりです。これはある意味当然といえるかもしれません。そもそも、会社で定年を迎える人の多くは男性だからです。

 かつて女性社員の多くは結婚と同時に退職していました。もともと男性が多い企業社会の中で、女性が早期退職していたのであれば、定年まで働く女性の数が圧倒的に少ないのは当たり前でしょう。

■均等法第1世代の女性の定年迫る

 そうした状況は変わりつつあります。今後は会社で定年を迎える女性の数が増えてくるでしょう。男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年です。そのころに入社してきた大卒の女性社員は現在、50歳代前半から半ばぐらい。早ければあと5年で定年を迎えます。

 私の経験からいってもこの世代の女性社員はとても優秀な人が多かったように思います。男性優位の企業社会に安住していた男性社員とは違い、「負けるものか」という気概を持ち、実際に高い能力で業務をこなしていた人が多く見受けられました。

 先日、均等法の第1世代の女性の方とお話しする機会がありました。そのときおっしゃっていたのは「自分が定年になって働けなくなることが怖い」ということでした。女性いわく、「私たちは仕事で男性に負けないように頑張ってきました。実際、仕事は大好きです。その大好きな仕事ができなくなるのはとても不安です」。

 私は男性ですから、この女性がおっしゃることをすべて共感できるかというと心もとないのですが、気持ちはわかるような気がします。ずっと働いてきた女性で定年を迎える人が増えてくるのはひとつの社会構造の変化だと思います。

 定年は決して働いている女性だけの問題ではなく、専業主婦にとっても大きな問題です。それは夫の定年が家庭にもたらす変化が大きいからです。最近よくいわれる「夫原病」という言葉があります。定年を迎えた夫がずっと家に居ることによって妻のストレスが高まり、心身ともに悪影響が及んでしまうということです。

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