ナショジオ写真賞 水中写真から初のグランプリ
日経ナショナル ジオグラフィック写真賞2016
第5回を迎えた「日経ナショナル ジオグラフィック写真賞」。今年はネイチャーとピープルの両部門で合わせて315人の応募者が、合計597点(単写真436点、組写真161点)の作品で挑んだ。
写真家の野町和嘉氏と中村征夫氏、日本版編集長の大塚茂夫による審査の結果、知られざる美しい海中プランクトンの姿をとらえた峯水亮さんの作品がグランプリに輝いた。ほか、部門ごとに最優秀賞、優秀賞の各賞が選出された。
審査員講評
野町和嘉(写真家)
グランプリは、優れた力量と経験、観察力に裏打ちされたまさにプロの作品。ネイチャー写真の深みに到達している。今回初めて水中写真をグランプリに選出できたのも収穫だ。ピープル部門最優秀賞はこだわりが生み出した美しい作品で、働く男たちに対する共感や憧憬を感じさせる。全体的に単写真では力強い作品が少なく、組写真では構成の仕方に不満が残った。組むときには試行錯誤して、写真を絞り込んでほしい。
中村征夫(写真家)
ネイチャー部門から選出されたグランプリは、独自の手法で「水中の浮遊生物」をとらえた労作だ。美しく神秘的で、水中写真の無限の可能性に気づかせてくれる。夜の海には人知れずこのような魅力的な生物がいたのかと驚かされる。両部門の審査で感じたのは、見慣れた写真が多いのと、組写真で説明調の構成が多過ぎるという点だ。無理に5枚組にする必要はなく、点数を減らすか、単写真に懸ける意気込みも欲しいところだ。
大塚茂夫(日本版編集長)
グランプリに輝いた小さな海中生物たちの作品にはひと目で引き込まれた。生き物たちの神秘的な姿はずっと見ていても飽きない。さらにうれしいのは、これらの写真が国内で撮影されたことだ。私たちのすぐ近くにも、私たちを驚かせてくれる世界がある――そんなことを改めて教えてくれる。両部門に言えることだが、組写真では写真の選定や構成に雑な印象を覚えるものが多かった。見る側を意識した作品づくりを期待する。
次ページより受賞作品のフォトギャラリー。
グランプリ
「儚(はかな)くも、逞(たくま)しく生きる小さな生き物たちの世界」 峯水亮(静岡県清水町) 撮影地:沖縄県、東京都
ネイチャー部門 最優秀賞
「白化現象の記録」 古見きゅう(東京都練馬区) 撮影地:沖縄県、モルディブ
ネイチャー部門 優秀賞
「水母(くらげ)のドレス」 粕谷徹(神奈川県川崎市) 撮影地:北海道
「眼力」 麻生 歩波(宮崎県宮崎市) 撮影地:宮崎県
「ランデヴー」 安東剛(愛知県名古屋市) 撮影地:愛知県
「雪山・風の記憶」 関谷智彦(東京都大田区) 撮影地:富山県
次ページはピープル部門です。
ピープル部門 最優秀賞
「輝く汗と汚れた手」 三井昌志(東京都八王子市) 撮影地:インド
ピープル部門 優秀賞
「ダバオ市場で生きる人々」 井上博登(埼玉県蓮田市) 撮影地:フィリピン
「開拓の地」 中西敏貴(北海道美瑛町) 撮影地:北海道
[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年1月27日付]
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