不動産・住宅ローン

不動産リポート

首都圏のマンション 新築と中古の価格差が縮小か 不動産コンサルタント 長嶋修

2017/2/1

東京・臨海部のマンション群(東京都中央区)

 不動産経済研究所(東京・新宿)によれば、2016年の首都圏新築マンション発売戸数は3万5772戸と前年比4677戸(11.6%)の減少だった。ピークだった2000年の9万5635戸の40%以下の水準にまで落ち込み、そのうち契約できたのは2万9873戸と3万戸を下回る結果となった。

 平均価格は15年11月の6328万円をピークに下落基調で、12月は5078万円。契約率はほとんどの月で、好不調の目安とされる70%を切った。一部物件では水面下における価格交渉、つまり値下げ販売が行われてもいる。

 こうした不調の原因は、何といってもリーマン・ショック前のピークだった07年(4691万円)をいまだ大きく上回る「価格」だとみられる。地価上昇に加えて資材や人件費の高騰に伴う建築コストを吸収しながら価格上昇を続けてきた新築マンション市場も、完全に潮目が変わったとみていいだろう。

 とはいえ、現在の新築マンション市場は体力のある大手の寡占が進み、すぐに大々的な値引き販売を行うことはないとみられる。しばらくはやや下落しながら小康状態を保つといったところだろうか。

 一方で、中古マンション市場は絶好調だ。東日本不動産流通機構(東京・千代田)によれば、16年の首都圏中古マンション市場は成約数が3万7189戸と、初めて新築マンションの契約戸数を上回った。12年の政権交代以降、価格上昇を続けてきた首都圏中古マンション市場だが、価格上昇しすぎた新築マンションに比して相対的な割安感から中古が選好されたとみていいだろう。

 また、新築の絶対数が少ないことから、マンション探しの場面では必然的に中古が選択肢に入るということもあろう。こうして中古市場の流通が活性化する流れは、住宅総量をコントロールし、結果として新築割合が相対的に少ない欧米諸国において、中古の価値が維持、ないしは上昇するのと同じ構図だ。

(出所)東日本不動産流通機構

 以前、「都心部新築マンションは高値圏で推移か 17年予測(1月4日付)」で触れたとおり、トランプ相場で株価上昇が起きたことで、在庫が積み上がり頭打ち感があった東京都心3区(中央・千代田・港)の中古マンションは16年12月に減少に転じ、現在の成約価格水準は肯定された形となった。新築マンションの停滞をよそに中古マンションは、現在2100万~2600万円もある価格差を縮めるように上昇していく構図が当面は続きそうだ(グラフ)。

 さてこうした中でこれから住宅ローンを組む方には、原則として固定金利をお勧めしたい。日銀は10年物国債金利をゼロ%近辺に誘導する方針だが、米国との金利差いかんによっては方針変更が行われる可能性もゼロではないためだ。

 この時に注意したいのが住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)の具体的な中身だ。とある金融機関の固定金利ローン契約書には、以下のような条文がある。「金融情勢の変化その他相当の事由が発生した場合、適用金利が見直される場合があります」。これは固定金利とは呼べないではないかとして金融機関に確認したところ「固定金利契約であっても、金利上昇する可能性はゼロではない」とのことであった。住宅ローン選びには契約条文のチェックが欠かせない。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)、『不動産投資 成功の実践法則50』(ソーテック社)など、著書多数。

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