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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCo、利用価値をしっかり見極めるポイント 経済コラムニスト 大江英樹

2017/2/9

個人型確定拠出年金は2017年1月からほぼすべての現役世代が加入できるようになった

 個人型確定拠出年金(愛称iDeCo)が今、注目を集めています。2017年1月からほぼすべての現役世代が加入できるようになったためです。様々な税優遇措置があるiDeCoは、老後のための資産形成法として最強であることは間違いありません。

 ただ、少し気になるのは各金融機関が口座獲得とビジネス拡大のチャンスとばかりに積極営業に転じる姿勢が見えることです。

■金融機関の勧めに安易に乗らない

 何が何でもiDeCoとばかりに金融機関の勧めに乗ってしまうのではなく、自分にとって利用価値があるかどうかをよく考えるべきでしょう。

 新たに加入できるようになった公務員や専業主婦たちが注目されていますが、私は制度が本当に必要なのは自営業やフリーランス、そして企業年金のない会社に勤める人たちだと思っています。

 すなわち、従来から加入することができた人たちです。特に自営業などの人たちはサラリーマンと違って厚生年金がありませんから、老後の生活を賄うための公的年金の金額ははるかに少なく、その分を自助努力で補わなければなりません。その手段としてiDeCoは非常に有利な制度だといえます。

 しかしながら、自営業者などが任意加入する国民年金基金もiDeCo以上に有利な場合があるのです。国民年金基金はiDeCoと同様に税優遇措置がありますが、現在の予定利率(契約者に約束する利回り)があまり高くないため、これから利用するのであればiDeCoを利用した方が賢明でしょう。

■国民年金基金はiDeCoより有利な場合も

 ただ、この制度が始まった1991年から95年まで予定利率は5.5%、95年には4.75%に引き下げられたものの、2000年までは4.75%が続いていました。従って、この時期に国民年金基金に加入していた場合、この利率が続くわけですから、わざわざiDeCoに乗り換える必要はありません。

 サラリーマンについても注意が必要です。既に企業型の確定拠出年金を導入している企業であれば、従業員が新たに個人型に加入したい場合、会社の規約変更が必要なケースがあります。利用限度額がオーバーする場合は、掛け金の上限を変えなければならないからです。会社が規約変更をしないときは、個人型に加入できない場合があるので要確認です。

 私は決してiDeCoが魅力のない制度だといっているわけではありません。むしろ逆で、この制度を使い多くの方に老後の資産形成をしてほしいと思っています。ただ、過去を振り返ってみると、前述したように新しい制度が生まれたときには必ずビジネスチャンスとばかりに金融機関が営業攻勢をかけてきます。

■自分にとっての利用価値で判断

 少額投資非課税制度(NISA)のときもそうでした。顧客のニーズというよりも、まず商品販売ありきというのは金融機関によくあることで、結果として、予定利率が高い時代に加入した国民年金基金のように、iDeCoに飛びつくことが得策ではない場合があるかもしれません。

 大切なことはiDeCoのブームに踊ることなく、「自分にとって利用価値があるのかどうか」「自分にとって最適解といえる制度なのかどうか」を自ら判断することです。

 多くの場合、老後資金の準備において、iDeCoは最適解であることは間違いないでしょうが、そうではない場合だってあることを知っておくべきです。自分の状況を踏まえてどう活用するのが最も合理的であるかを考えることが大切だといえるでしょう。

 「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は2月23日付の予定です。
大江英樹(おおえ・ひでき) 野村証券で個人の資産運用や確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。行動経済学会の会員で、行動ファイナンスからみた個人消費や投資行動に詳しい。著書に「定年楽園」(きんざい)など。近著は「投資賢者の心理学」(日本経済新聞出版社)。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。http://www.officelibertas.co.jp/

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