あがり症で無理に明るい性格を演じてしまいます
周りからは元気で明るく面白い人と思われているようですが、実はひどく緊張するタイプです。人見知りも激しく、パーティーではやたら明るいキャラクターを演じ、ヘトヘトに疲れてしまいます。もっと自然にふるまえたら楽だろうな。素のままでいられるのは息子たちの前だけです。(東京都・50代・女性)
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もっと自然体で……。同じ悩みを持つ方はたくさんいると思います。私を含む俳優にとっても避けようがない問題で、後輩たちとよく話題にします。
相談者さんの状況は確かに困りものですね。へとへとになるのは度が過ぎます。一方で、周囲に「元気で明るく面白い人」とポジティブに受けとめられている。つまり相談者さんの緊張は他人との関係で効果的に働いている。気になるのはそこです。
もしかするとあなた自身に、明るく面白い人と思ってほしいと願い、頑張っている部分があるのではないですか。だとすると自然体になっても、結果は案外同じかもしれませんよ。
人見知りも緊張も、実は根っこは同じ。相談者さんが人付き合いを大切だと考えているからこそ生じているのです。ならばこの際、人付き合いを重要なパフォーマンスと捉え、さらに高めることを考えませんか。
ご存じかもしれませんが、人間は少し緊張で高揚している状態の方がよい結果を出せるそうです。スポーツ選手はほどよい緊張と心拍数をトレーニングで習得。その感覚を生かし、本番で自分を「ゾーン」に入れる人がいるとか。役者も数年続けていると、芝居中に心拍数を上げたり下げたりできるようになるのです。私のほか、数名の仲間が話していました。相談者さんも自分を存分に表現できる緊張状態を探ってみてください。
それに、どんなプロでも緊張しない人はいません。たとえば、ある大学の教授は講義に学生が100人いても緊張しないけれど、結婚式のスピーチはあがってしまうそうです。人前に出ることに慣れていると思われがちな私たち俳優も、舞台挨拶ではひどく緊張するのです!
その点、相談者さんは緊張しても明るく面白い人という良いイメージを与える、踏ん張りのきくタイプ。緊張を味方にして人と接すれば、ぐっと楽になる気がします。
息子さんたちの前では自然に振る舞える。そんな対象がいらっしゃるのはいいですね。私も家では夫と十分リラックスします。外ではほどよい緊張で身を引き締め、家ではゆったり英気を養う。双方そろっているからこその、この緩急。結構よいものだなと私は感じています。
[NIKKEIプラス1 2017年3月18日付]
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