公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司
2017/2/1

post 2020~次世代の挑戦者たち

藤田 3年後の東京五輪に強い関心を抱くのは、なぜでしょうか。

1964年の東京五輪に特別な思い入れがあるシニアは多い

堀内 インタビューに協力してくれる高齢者は65~70歳が多く、この世代は前回の東京五輪があった1964年に思春期を迎えています。東京五輪によって日本は高速道路や新幹線が整備され、そこから加速的に経済が発展していきました。まさに五輪は経済発展のシンボルであり、特別な思い入れがあるイベントなのです。ただ、当時は中学生や高校生であったため、五輪に直接関与することはできなかったわけです。そこで3年後の東京五輪には、何らかの形で関与したいという強い思いを持っていると感じています。

藤田 当時、思春期の中高生だったことが、この世代の心理に大きな影響を与えているのでしょうか。

堀内 感受性が強い時期に見たり聞いたりしたことは、その後の人生においても、ずっと影響を与えることになります。私たちはそれを「心のゲート」と呼んでいます。例えば、音楽であれば、思春期に聞いた音楽が最も心に残ります。お菓子ならば、幼少期に食べたお菓子が最も心に残ります。

藤田 65~70歳の世代にとっても、心の扉を開ける音楽やイベントがあるのですね。

堀内 はい。例えば、音楽ならば1960年代に活躍し、66年に来日したビートルズ。イベントを挙げれば、前回の東京五輪です。それは思春期を象徴する出来事であり、心の扉を開く鍵となるものです。そんな背景があって、ボランティアのような形で次回の東京五輪・パラリンピックに関わりたいという熱い思いを抱くのだと思います。

藤田 東京都と大会組織委員会は「東京2020大会に向けたボランティア戦略」を策定し、18年夏にボランティアの募集を始める考えです。

堀内 ただ、高齢者からは「どうやって申し込みをしたらいいのか分からない」「そもそもボランティアって募集しているの?」といった声もよく聞きます。ボランティア活動に参加する意欲がある高齢者に十分な情報が届いていないのならば、もったいないと思います。20年東京五輪・パラリンピックはシニアにとっては「青春の象徴である」という点にも意識を向けていただきたいですね。

シニアが東京五輪・パラリンピックのボランティア活動に参加しやすいように適切な情報提供が必要だと指摘する堀内氏(右)

藤田 定年を迎えて自宅にこもりがちだったシニア層が東京五輪・パラリンピックを機に、外出して活気を取り戻すようになることも考えられますね。

堀内 そのような貴重な機会にもなると思います。東京五輪・パラリンピックはシニアにとって特別な思い入れがある大切なイベントですから、その思いに応えるべく、国や東京都はシニアの心理面や身体面について理解を深めたうえで、この機会を逃さないように対応してほしいと願っています。

藤田 シニアが東京五輪のボランティア参加などを通じて、現役世代と交流しながら社会に活力をもたらす。そんな流れをつくるために、今後、堀内さんの出番も増えるでしょう。次回はシニアの健康増進に東京五輪・パラリンピックがどのように寄与するのかについて話を聞きます。

ほりうち・ゆうこ 1967年生まれ。高齢者住環境研究所(東京・渋谷)で要介護者向け住宅改修の設計・施工・管理を手掛けた後、コンサルティング会社に転職。桜美林大学大学院老年学研究科修了、独立して老年学に基づくシニア市場の分析を専門領域とするシニアマーケットコンサルタントとして活躍する。桜美林大学老年学総合研究所連携研究員、東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員。
ふじた・こうじ 1978年生まれ。公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学を体系化し、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

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