ネット銀行で貯蓄習慣 目的別に賢く付き合う

2017/2/2
コンビニATMをよく利用する人は手数料に留意したい(セブン銀行のコンビニATM)
コンビニATMをよく利用する人は手数料に留意したい(セブン銀行のコンビニATM)

インターネット銀行のサービスが充実してきた。もともと大手行に比べて預金金利が高めの銀行が多いのに加え、定額自動入金や証券口座との連携といったサービスも登場。汎用性の高い大手銀行を「メイン口座」にしている人も、自分の目的に合ったネット銀行口座を持てば、家計力のアップにつながりそうだ。超低金利の中、ネット銀行と賢く付き合う方法を探った。

銀行口座に振り込まれた給料を節約しながら使い、余ったお金があれば貯蓄に回す――。これではなかなかお金はたまらない。貯蓄体質をつくるには、給料が入ったらまず、決まった金額を別の口座に移す「先取り預金」がお勧め。残ったお金でやりくりする癖をつけるためだ。

その際、貯蓄用口座はなるべく金利が高めの口座を選びたい。現在、大手行の預金金利は普通預金が年0.001%、定期預金は同0.01%。100万円を1年間定期預金に預けても、利息は100円(税引き前)しかつかない。それに対しネット銀行の金利は高めだ。

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例えばイオン銀行。キャッシュカード、クレジットカード、WAONが一体化した「イオンカードセレクト」を作ると、普通預金金利が0.1%上乗せされ、年0.12%になる。オリックス銀行のネット取引専用定期預金は同0.2%。100万円を1年間預けると2000円(同)の利息がつく計算だ。

大手行に比べて有利なサービスや特徴あるサービスを提供するネット取引主体の銀行をまとめた()。

給料から「先取り」をするには「定額自動入金」が便利だ。給与振込口座は会社が大手行や地銀などを指定していることもある。住信SBIネット銀行やじぶん銀行などに口座を作っておけば、自分名義の他行の口座から毎月一定額が自動で入金される。手数料は無料。5件まで契約できるので、「貯蓄用」「カード支払い用」などと目的別に管理できる。

振込手数料にも留意したい。例えば大手行のネットバンキングで3万円以上を他行に振り込むと、1回当たり216~432円の手数料がかかる(特典が適用されない場合)。家賃の支払いなどで毎月利用する人は年間約2600~5200円を負担している計算だ。ネット銀行の中には他行への振込手数料が一定回数かからない銀行があるので、上手に活用したい。

資産運用をしている人は、証券口座と連携するネット銀行が便利だろう。住信SBI銀行はSBI証券、楽天銀行は楽天証券、大和ネクスト銀行は大和証券とそれぞれ連携。自動スイープ機能があり、銀行口座から証券口座へ資金を移動させなくても、銀行口座の残高が自動的に証券口座の買い付け余力になる。楽天銀行はこの機能の利用者の普通預金金利を5倍に優遇し、年0.1%にしている。

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海外旅行や海外出張が多い人が利用したいサービスもある。ソニー銀行で外貨預金をして専用のデビットカードを作っておけば、海外で外貨預金残高から直接支払いができる。10種類の外貨に対応する。大和ネクスト銀行や新生銀行では外貨預金の残高をプリペイドカードにチャージしておくことによって、現地での支払いに充てられる。

外貨預金口座で積立貯蓄をしたり、円高のときに外貨の残高を増やしたりしておけば、海外に行く際の為替レートを気にしなくていいのは魅力的だ。

給与振込口座や各種引き落としがある口座は汎用性が高い大手行を利用し、生活費以外は定額自動入金サービスや他行への振込手数料無料などのサービスが充実したネット銀行に移動させる。その際、元本保証型で増やしたい場合は積立式定期預金などの金利が高めの銀行を、投資信託や株式などで増やしたい場合は証券口座と提携する銀行を選ぶ。

このように、ネット銀行のサービスの中から目的に合ったものを選び、お金の流れを自分なりにデザインしてみよう。いったん仕組みをつくれば、効率的に家計管理ができる。

(ファイナンシャルプランナー 風呂内 亜矢)

[日経プラスワン2017年1月28日付]