貯蓄1000万円女子の憂鬱 幸せにためる方法は

日経ウーマンオンライン

2017/2/2
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「毎月1万円の英会話レッスンってもったいないですよね?」

「香港3日間で3万9800円のツアーに誘われたんですが、ムダ遣いでしょうか?」

「結婚式に出席したらお金がかかるので、欠席したいんですけど、それでもご祝儀って払わないといけないんでしょうか?」

もしもあなたがこんな相談を受けたとしたら、その人の貯蓄額はいくらぐらいだと思いますか?

3つの相談は、それぞれ異なる人ですが、貯金が数万円しかなくて旅行代金やご祝儀代が払えないという状況の人ではありません。

いずれも30代で1000万円以上の貯蓄がある人ばかりです。それなのに、月1万円のレッスンが「もったいない」、数万円の海外旅行が「ムダ遣い」、ご祝儀を「払わなきゃいけない」というような後ろ向きの言葉しか出てきません。

これらの気持ちに題名をつけるなら「1000万円女子の憂鬱」とでも呼ぶのでしょうか。1000万円以上の貯蓄があるのに、なぜでしょう。

実は3人とも、以前は、買い物も旅行も食事も、とにかく好きなことに自由にお金を使っていました。

でも、あるとき、ふいに貯蓄に目覚めたのです。

3人はこうして1000万円をためた

ためる動機は病気だったり老後不安だったり様々ですが、偶然にも、3人が3人とも、「まずは、100万円ためる」を目標にしました。とにかく、自分で100万円という目標金額を決めて、今まで自由に使っていたお金を使わないようにします。

すると、今まで使っていた金額が大きければ多いほど、我慢することでたまる金額も多いわけです。貯蓄が楽しくなってくると、ペースもあがります。そしてついに、「やったぁ~! 100万円! わたしも頑張ったらできるじゃん!」という成功体験が、自分の自信になるのです。

そこで次は、「100万円たまったから、次は200万円を頑張ろう!」と、目標額を上げます。そして、200万円が達成できれば、次は300万円、400万円と目標額もどんどん上がります。

そうなると、お金がたまることが楽しくなり、区切りのよい「1000万円」を目指すわけです。1000万円を達成したときの喜びは、きっとあなたも想像できることでしょう。

1000万円の貯蓄があれば、月1万円の英会話レッスンに通ったり、旅行したり、友達の結婚にも気持ちよくお祝いを包めそうですよね。

でも、3人はそうはいきませんでした。なぜだと思いますか?

それは、「せっかく頑張って1000万円ためたのに、使ったらお金が減ってしまう」と思ったからです。

目標としていた1000万円から、英会話レッスンに通ったり、旅行したり、ご祝儀を払ったりしたら、もちろんお金がなくなります。それは、彼女たちにとって、1000万円ためるために頑張っていた自分の我慢が「無」になることにつながります。それが怖くて使えないのです。

実は、気持ちよくお金を使える幸せな人には、共通点があるのです。

気持ちよくお金を使える人は、貯蓄を始めるときに、金額と一緒に使う目的を決めています。

「よし、100万円ためる!」ではなく、「老後資金のために1000万円」、「結婚資金のために100万円」、「旅行のための20万円」、のように、お金を使う目的と金額を一緒に決めるから、お金がたまったときに、達成感と共に安心がやってくるのです。

ためた後の自分の幸せな姿をイメージする

それが老後資金なら、「やった~! 老後資金の1000万円がたまったから、これでひとまず安心!」となります。それによって、レッスンも旅行もご祝儀も、今まで貯蓄に回していたお金を振り分ければいいので、気持ちよく使えます。

また、「旅行のために20万円ためる」と決めれば、旅行に行けば、頑張ってためた20万円はなくなります。でも、そもそも旅行に行くためにためたお金なので、「せっかく20万円ためたのに旅行に行くのはもったいない」という気持ちにはなりません。「20万円たまったから旅行に行ける!」とワクワクするはずなのです。

1000万円ためてため息をつくよりも、こちらのほうが幸せな気持ちになりませんか?

「今年こそ100万円ためる!」は確かにわかりやすい目標なのですが、ちょっと立ち止まって「何に使うためのお金なのか」ということを自分に聞いてみましょう。そのうえで、あなたがお金を使う目的のためには、本当に100万円も必要なのか、あるいは、100万円で本当に足りるのか考えてみてください。

貯蓄は増えたけれど、減るのが怖くて使えない……という状況にならないために、ためた後に楽しくお金を使っている自分の未来を想像してくださいね。2017年が安心してお金が使える年になることを願っています。

前野彩(まえの・あや)
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャル・プランナー。中学校・高校の保健室の先生を経て、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経てFPに転身。自らの住宅ローンで800万円、生命保険で1000万円の見直しを行った実績を持つ。講演やテレビでも活躍中。著書多数。新著に『本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む“お金のワークブック”』(日本経済新聞出版社)。

[nikkei WOMAN Online 2017年1月17日付記事を再構成]