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「クラッシャー上司」にならない 心を育てる瞑想法

こちら「メンタル産業医」相談室(2)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

こんにちは。精神科医の奥田弘美です。冷たい風が骨身にしみる毎日ですが、あなたの心と身体はお元気でしょうか? 前回「働く人に多い『過緊張』1分マインドフルネスが効果」では、日本のビジネスパーソンが陥りがちな過緊張(交感神経の過緊張状態)の症状と、その予防に役立つマインドフルネス瞑想(めいそう)の深呼吸瞑想についてお伝えしました。今回ご紹介するのは、マインドフルネス瞑想法の中の「ヴィパッサナー瞑想」と呼ばれる心を育てるタイプの瞑想法です。

意外!マインドフルネス瞑想の本来の目的は……

マインドフルネス瞑想は、グーグルなど欧米の一流企業で次々と導入されていることから、ビジネスパーソンの集中力を高め能力を向上する手法として日本でも近年注目を集めています。しかしマインドフルネス瞑想法の本来の目的は、「集中力を高めて仕事の成果を上げること」ではありません。それらはあくまでも副次的な効果として認められる現象であって、本来の目的は「心を育てること」にあるのです。

本サイトをお読みのビジネスパーソンの皆さまは、仕事熱心で向上心の高い方がほとんどだと思います。そしておそらく、管理職として部下を持っている方も多いでしょうし、今後も職責が重くなるとともにマネジメント業務も任されていく方が少なくないと思います。職位が上がれば上がるほど、部下を持てば持つほどに必要となってくるのが、己自身の「心の成長」です。多種多様な性格の部下をマネジメントしていくには、上司自身の「心の安定」や「懐の深さ・温かさ」が欠かせません。

というのも私は産業医として様々な職種・職位の社員さんにカウンセリングを行いますが、「上司の心ない辛辣な言葉に傷つく」「上司の冷たい態度や横暴な要求に耐えられない」と訴える方がかなりいるからです。そのなかにはメンタル不調となり休職に至る社員も少なくありません。

「クラッシャー上司」にならないために

同じ上司の下で複数の部下がメンタル不調を起こしだすと、当然ながら人事から「あの上司は人格に何か問題があるのでは?」としてマークされます。いくらその上司本人が優秀で成果を上げていたとしても、部下を次々とメンタル不調にして潰されてしまったら会社はたまったものじゃありません。なぜならば、社員1人がメンタル不調になることで会社には大きな損失が発生するからです。

産業医学の分野でよく活用される試算では、1人の社員がメンタル不調で1年間休職した場合にかかる会社の経費は、「その人の年収の約3倍」とされます。たとえば年収300万円の若手社員を1人休職させてしまうと、約900万円の損失を会社に与えたことになるのです。年収500万円の中堅社員だと1500万円という高額な損失に跳ね上がります。

損失の内訳は、休職に関わるケア費用はもとより休職者がやっていた業務を他の社員が負担することによって発生する残業代、穴埋め人員の人件費、新規に投入した人の教育費などなど。メンタル不調が長引けば長引くほど、その社員が優秀であればあるほど、会社の損失は大きくなります。

部下を次々とメンタル不調にする上司は、俗に「クラッシャー上司」と呼ばれ、会社からは「人格に問題のある上司」という烙印(らくいん)を押されてしまいます。明らかなパワハラ言動が証明された場合は懲戒処分の対象になる人もいますが、パワハラ認定までいかなくても「あの人に部下を持たせると潰されてしまう」と警戒され、部下のいない「一人部署」に異動となる場合もあります。

マインドフルネス瞑想の源にあるブッダの教え

マインドフルネス瞑想から脱線してしまったので話を元に戻しますが、とにかく職位が上がれば上がるほど「穏やかで安定した情緒」「温かで懐の深い人格」を兼ね備えた「マネジメント力」が求められるのは明らかです。

そこで私は、ぜひ本記事の読者の皆様には「心の成長」という目的をもってマインドフルネス瞑想を実践していただきたいと思うわけです。

実はマインドフルネス瞑想は、ブッダの教えから生まれた瞑想法であるということはご存じでしょうか?

マインドフルネス(mindfulness)という言葉は、原始仏教の経典にあるパーリ語の「サティ(sati)」という言葉の英訳です。そしてサティとは2500年前にブッダが説いた「八正道」という理論の中の「正念」のことです。

「八正道」は一言でいうと「人生の苦を滅して心安らかに生きる方法」です。ブッダは「自らの欲・怒り・執着に気づいて手放していくこと」が人生の苦を滅する、そして「慈しみの心を育てること」によって心安らかに生きることができると説きました。

マインドフルネスの語源である「正念」は、「正しく気づくこと」という意味です。「瞑想によって、自分の心をありのままに見なさい」「そして欲や怒り、執着などにとらわれてしまった己の心に気づきなさい」「気づくことでそれらを少しずつ手放していくことができます」とブッダは説きました。この「今の自分の心に対する適切な気づきを得る」ための心のトレーニング法として、ブッダが創造した方法がマインドフルネス瞑想なのです。

この瞑想法が欧米のスピリチュアリティー文化の発展とともにアメリカやイギリスで広まり、医療での心理療法やビジネス領域での能力開発法にアレンジされて現在に至るのですが、欧米流のやり方は宗教色が排除されており、本来のブッダの説いた「心を育てる」教えが抜け落ちてしまっています。

私自身は、日本人は無宗教派が多いといわれながらも、人口の91.5%が仏式で葬式を行っているという事実(日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査2014年」)や、華道や茶道といった仏教文化の影響を強く受けている国民性から、欧米流のマインドフルネス瞑想のようにブッダの教えを過度に排除する必要はないと考えています。

むしろ哲学・心理学としてブッダの教えを味わいつつ、マインドフルネス瞑想を行うことで、より慈愛の深い心を育てる効果が得られると思うため、著作やセミナーでは積極的にブッダの理論に触れながらマインドフルネス瞑想をご紹介しています。

今回は、マインドフルネス瞑想の中から「ヴィパッサナー瞑想」という「心を観て育てる」タイプの瞑想法をご紹介します。

【ヴィパッサナー瞑想のやり方】
(1)床に座布団や布を敷いてあぐらで座るか、椅子に背筋を伸ばして座ります。あぐらをかくのは骨盤から背筋をすっと伸ばす姿勢をつくりやすくするためと、足のしびれを予防し、安定して長時間座るためです。椅子に座る場合は足裏を地面にしっかりと付け、背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばして座ってください。

(2)手は下腹のあたりにそっと重ねておき、目を静かに閉じます。

(3)心が落ち着かないときは、大きな腹式の深呼吸を数回行ってください。

(4)次に静かな普通の呼吸に戻しながら鼻から息を吸い込みます。このとき、あなたにとって空気の流れを最も感じやすい鼻先の一点を決めて、そこで空気が鼻腔に触れる「感覚」をしっかり感じます。また息が出ていくときも鼻先で「感覚」を感じます。

(5)空気を入ってきたこと、そして出ていくことを鼻先の一点で「感じて」「知り」ながら、静かな呼吸を繰り返します。

(6)瞑想を始めると1分もしないうちに思考や感情が生まれてくるでしょう。その思考や感情に気づいてください。そして「来週の商談のことを心配している」「さっきの部下の報告に落胆しイラついている」「理解の悪い上司を思い出して怒りが湧いた」などと湧き上がってきた自分の思考や感情を眺めます。
 このとき思考や感情の内部に極力取り込まれず、「自分の感情や思考の塊を、少し上から眺めている」感じで客観視するのがコツです。

(7)思考や感情に気づいて眺めたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻します。強力な思考や感情には取り込まれてしまうこともありますが、「あ、取り込まれていた」と気づいたら、また静かに鼻先の呼吸に意識を戻してください。これを時間が許す限り繰り返してください。

他者に対する怒りやイライラの根っこに気づく

ヴィパッサナー瞑想は、思考や感情を「観る」タイプの瞑想です。「無になれない」と自分を責める必要は全くありません。自分の思考や感情をヴィパッサナー瞑想で観ていくと、次第に自分がとらわれている「欲」「怒り」「執着」に気がついてきます。

他者に対する怒りやイライラの根っこには、多くの場合「自分の思うようにならないことに対する怒り」「自分が承認を得たいがための欲」「お金や名誉、愛情に対する執着」が横たわっています。こうした心の根っこに気づくことで、次第に激しい怒りやイライラにのみ込まれにくくなり、情緒が安定しやすくなってきます。また「ああ、自分も他者と同様に未熟で弱い人間だなあ」と気づくことで、他人に対しても寛容さや慈しみの心を感じやすくなっていきます。

かくいう私自身もまだまだ未熟で成長途中ではあるのですが、このヴィパッサナー瞑想を日々の習慣にしてからは、心が安定して人間関係も仕事も良くなってきたことを実感しています。ぜひ5分からでもいいので、ヴィパッサナー瞑想も日々の習慣に取り入れることをお勧めします。

※この記事は、特定の宗教や宗教団体を推奨するものではありません。

奥田弘美(おくだ・ひろみ)
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家。1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内18か所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わっている。執筆活動にも力を入れており「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「一流の人はなぜ眠りが深いのか」(三笠書房)など著書多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げ日本人にあったマインドフルネス瞑想の普及も行っている。

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