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美味しいお金の話

家計もダイエットも 「攻め」「守り」を使い分け ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

2017/2/3

PIXTA

ダイエットしようと食事を制限していたら、逆に太りやすくなってしまったという話を聞いたことはありませんか? 要因はいくつかあるようですが、ひとつはビタミン不足になるからだといわれています。豚肉やウナギ、納豆などに豊富に含まれるビタミンB群はエネルギーの代謝を助けています。食事制限によって代謝を助けるビタミンが不足し、太ってしまう。この話はお金にも通じるところがあります。

■手間や時間の削減に使うお金

知人に、パソコンを買うときにはACアダプター(電源コード)をもう1台追加で買う人がいます。パソコン本体にセットでついてくるACアダプターは自宅に、追加で購入したACアダプターは会社に置いておくそうです。

数千円の追加出費になりますが、かさばるものを持ち運んでエネルギーを消耗したり、うっかり持って行くのを忘れて仕事に支障をきたしたりするのを防げると話していました。

昨年末、一緒に食事をした女友達は帰省のための荷物は郵送で実家に送り、帰省当日は身軽に移動すると話していました。配送料はかかりますが、重い荷物を持って移動すると、その分、時間が余計にかかります。身軽になることで、帰省の直前まで仕事ができると話していました。

また、移動中も資料を読んだり電話をかけたりしたいビジネスパーソンは、費用がかかっても電車よりタクシーを利用することも多いものです。

時間や手間を省くためにあえてお金を使うことで、支払った金額以上の価値を感じられるのであれば、結局は得をしていることになります。払うより受け取るものの価値が高いからです。

お金を節約する方法はたくさんありますが、節約のあまり時間や手間が余計にかかることがよくあります。お金を支払うことによって仕事などにより集中できる環境を整えれば、もしかしたら支払ったお金以上のものが収入として返ってくるかもしれません。

豚肉やウナギなど、一見カロリーが高そうに見えるものを摂取することで、実はエネルギーの代謝が高まるという食事の話に似ています。

■価値を生み出すものにお金を払う

フリーランスのお金の使い方を聞いていると発見があります。フリーランスは通常、支払いをするたびに、これは生活のための出費なのか、仕事のための経費なのかを区別しています。確定申告で区別して計上する必要があるからです。

売れっ子フリーランスの人ほど、経費にならない支出を嫌うところがあります。節税をしたいという理由だけではなく、純粋に仕事の成果など、次の価値を生み出すための出費でなければ「無駄遣いだ」と感じてしまうようなのです。

この考え方はフリーランスでなくても使えます。自分の知識やスキルを高めたり、仕事に生かせたりすることに使うお金は、その時限りの支払いではなく、将来得られるものに対する「投資」になります。同じ1000円を支払うのであっても、将来の喜びにつながる1000円であるなら、「お得」だということになります。

節約生活を続けていても、書籍や情報コンテンツなど、自己投資や学びにつながるものにはお金をかけ、仕事を成功させたと教えてくれた先輩もいました。

営業成績のいいセールスパーソンも、お客様の目に触れるスーツや時計、文房具などは一定以上の品質のものでそろえ、私服はファストファッションで安価に抑えるという人も多いようです。

自分が好きな色はベージュやピンクだけれど、お客さんの信頼感を得るために仕事ではネイビーを選んでいますと話す営業職の女性もいました。

「攻め」と「守り」の両方を使いこなせると家計を上手に運営できるようになります。節約などで使うお金を抑えることは「守りの技」ですが、あえてお金を投資して時間やスキルを得ることは「攻めの技」といえます。

家計のゆとりと相談しながら、ある程度は攻めの戦略を取り入れることで、キャリア人生を長続きさせたり、キャリアアップにつなげたりできれば、より強い家計になります。

あのとき使ったお金は攻めなのか守りなのか、攻めであったなら、いま回収できているのかなどを、時々振り返ってみることがお勧めです。エネルギーの代謝(お金の循環)を生む、食事の仕方(お金の使い方)を目指せると理想的ですね。

風呂内 亜矢(ふろうち・あや) 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです―お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか―(祥伝社)』『デキる女は「抜け目」ない(あさ出版)』などがある。管理栄養士の資格も持つ。公式サイトhttp://www.furouchi.com/

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