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入国したのに宿泊しない? 消えた訪日客ここにいた! 夜行バスや空港の仮眠スペース、ラブホテルなどの活用広がる

2017/2/10 日経MJ

多くの外国人観光客が利用する関西空港の仮眠スペース(1月14日未明)

 統計と実体経済に乖離(かいり)がある――。日銀と内閣府で国内総生産(GDP)統計を巡る論争が熱を帯びたのは昨年のこと。それと同じことが、観光でも起きている。国の訪日外国人数と宿泊の統計が一致しない。訪日客数ほど宿泊者数が伸びていないのだ。どこへ消えたのか。

 JR東京駅(東京・千代田)。京都行きを告げる夜行路線バスに午後10時、フィリピン人の5人家族が乗り込んだ。大阪滞在後に夜行バスで東京に入り、東京ディズニーシー、東京タワーなどを巡って再び関西へ。

夜行バスで眠るフランス人女性とスペイン人男性のカップル(東京・丸の内)

 日本に10日間滞在するがその間、ホテルや旅館には泊まらない。遠回りしながら夜行バスと民泊を組み合わせて旅費を抑えている。家族の1人、20代女性は「バスでも快適に眠れる」とうれしそう。清水寺に思いを巡らし夢の旅路に就いた。

 スペイン人男性(22)も「朝、目が覚めると目的地に着いている。時間を有効に使える」と恋人とともにバスに乗った。

 ウィラーアライアンス(東京・新宿)の夜行バスは東京~大阪間3900円程度。シートも快適なことから宿の代わりに使う訪日客が増えている。2016年の訪日客の利用は13万人と5年前の約4倍まで膨らんだ。

 車中泊は新たなビジネスを生む。レヴォレーター(東京・渋谷)はオーナーからキャンピングカーを借りて貸し出す。いわば、キャンピングカーのシェアリングエコノミー。当初は日本人に貸し出していたが、訪日客の申し込みが増えている。

 「自由気ままな旅が良い」。昨春、韓国人の家族はキャンピングカーに乗り富士山周辺でキャンプやバーベキューを満喫した。キャンピングカーで寝泊まりするのでホテルを探す手間が省ける。

 昨秋にシンガポール人ら9人の一行は都内で遊んで富士山に行き、岐阜県高山市、上高地、関西に立ち寄った。最後は再び都内に戻り、10日間で日本を遊びつくした。レンタル代は平日1日7500~3万円程度。6人で乗れば1人5000円で済む。訪日客を取り込もうと海外向けネットメディアのイグルー(神奈川県鎌倉市)と手を組んだ。羽田空港にカウンターの設置もめざす。

 1月13日午前9時。博多港に着岸した全長290メートルの巨大クルーズ船「サファイア・プリンセス」から中国人訪日客が続々と降りてきた。その数約3000人。ガイドが約70台のバスに誘導する。船内には大浴場や運動場、劇場まであり「ホテルというより“街”」(福岡市港湾振興部)。訪日客はこの船に寝泊まりしながら各地を巡る。

 博多港はクルーズ船の寄港回数が国内最多だ。16年度は328回と前年から27%増え、入国者数は約170万人に上る。閑散期は高級ホテルの1泊料金並みの3万3000円程度でツアーが販売されることもあり、低価格化も人気に拍車をかけている。

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