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億万長者が指南 株で勝つ秘訣は「自分の強み」にあり

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2017/3/24

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 割安成長株への投資で数億円の資産を形成した兼業投資家、奥山月仁さん(ハンドルネーム・46歳)。日経マネーでコラム「エナフンさんの株で勝つ!」を連載する奥山さんは、いかにして億万長者になったか。投資で勝つ考え方や手法の一端を紹介する。

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イラスト:小林弥生

 スポーツであれ、ビジネスであれ、およそ勝敗のつくジャンルでは、まず自らの強みを認識して、それを伸ばすのが勝つための鉄則と言えよう。株式投資も例外ではない。ところが、多くの個人投資家はそのステップを踏もうとしない。自分の強みを顧みることなく、ネットで話題になっている株を買ってしまう。これでは勝てない。

■強みは仕事や趣味に潜む

 では、株式投資におけるあなたの強みは何だろうか? この点を一度、整理しておくとよいだろう。

 あまり難しく考える必要はない。あなたの強みの大半は、あなたの人生そのものであるからだ。例えば、ビジネスパーソンであれば、職場での知見をそのまま株式投資に活用することができる。化学会社の社員なら化学株。半導体関連企業の社員なら半導体関連株を狙うのだ。

 具体的に言うと、例えば、あなたがいつも読んでいる業界紙には業界の出来事が事細かく掲載されている。その中に、急成長している新興企業の記事があれば、それこそが有望株の候補になる。恐らく欧米系ヘッジファンドのファンドマネジャーよりも、あなたの方がよっぽどその会社の有望度を正確に判断できるだろう。私もこの方法で大きく勝ったことがある。

 あるいは、職場で何気なく使っている便利なネット企業なんていうのも面白い。その会社の良さを実感できるというあなたの強みを十分に発揮できるはずだ。4年ほど前の話だが、工場を経営している叔父がこうぼやくのを聞いた。「いつも使っているMonotaRO(東1・3064)の株を買えばよかった。あの便利さを初めて知った時に買えば、株価は10倍になっていたよ」

MonotaROのウェブ通販サイトの一画面

 工具や間接部材をネットで販売する同社は今や「工場のアマゾン」などと呼ばれ、工場にとって欠かせない存在だが、東京・大手町に通う金融のプロたちには縁遠い企業だ。間違いなく私の叔父はこの会社の良さをいち早く知る立場にあった。その強みを生かせなかったのは残念だったが、さらに残念な話がある。実はその話を私にした10倍高の時点ですら、同社株を買うには遅くなかったのだ。その後も株価は順調に上がり続け、16年6月10日には、10倍高からさらに8倍の4025円に達した。

 仕事以外であれば、あなたの趣味もそのまま強みとして生かせるだろう。これも複雑に考えてはいけない。必ずしも人に自慢できるような趣味である必要もない。例えばゲーム。「ポケモンGO」の大ヒットで急騰した任天堂(東1・7974)のように、ほぼ毎年このジャンルから大化け株が登場する。

 クルマ好きなら、17年4月1日付で「SUBARU」に社名変更する富士重工業(東1・7270)で10倍高を取れたかもしれない。商品やサービスの良さが実感できる。それだけでも、決算書やネットの情報だけを見て投資している人に比べれば、かなりの強みを持っていると言えるのだ。

スバルの中で北米で最も人気がある「レガシィアウトバック」

■ささいなこだわりも強みに

 何千社もある上場企業の全てを知り尽くす投資家などいない。自分の得意ジャンルを設定して、そこを深く追究すればいい。仕事や趣味のジャンルなら、あなたにとって理解しやすく、他人にとっては理解しにくい。深く数字を追求するにも、将来を予想するにも、あなたならではの個性が生きるし、第一に楽しい。ひょっとしたらこれが一番大事かもしれない。「好きこそものの上手なれ」だ。

 逆に関連企業を深く調べることで仕事や趣味の面にも好影響が出るかもしれない。株の場合は財産が懸かっているので本気度が違う。投資対象のホームページや決算資料を隅から隅まで読めば、専門性に磨きがかかる。実際に私も何度となく「そんなことまでよくご存じですね」と取引先を驚かせてきた。

 もっと言うと、仕事や趣味ともいえないこだわりや趣向でさえも、十分な強みになる。私はトンカツが大好物だが、おかげでトンカツチェーン店「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス(東1・3085)でテンバガー(10倍株)を取れた。8年前 に妻から教えてもらったおしゃれな100円ショップのセリア(JQ・2782)に至っては、底値から100倍高という驚異的な成長を遂げた。ただ、極めて残念なことに私はこの株を買っていない。当時は、妻の買い物好きを強みとは考えていなかったのだ。

 この教訓として、家族の強みも整理しておくことを強くお勧めする。案外、娘さんに教えてもらった子供向け関連企業が大化けする可能性だってあるのだから。

奥山月仁(ハンドルネーム)
 東京都在住/兼業投資家。投資歴 約30年。高校2年から株式投資を開始。故・蝋山昌一大阪大学教授のゼミで証券理論を学ぶ。ピーター・リンチに倣い、分かりやすい成長株に中長期で投資し、数億円の資産を築く。

[日経マネー2017年3月号の記事を再構成]

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