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ライブ感満載、八戸で横丁・市場・朝湯をめぐる 水津陽子のちょっとディープ旅

2017/1/30

日本一の規模を誇る八戸港館鼻岸壁の日曜朝市(開催は3月中旬~12月下旬)

 最近の旅は、名所旧跡をただ訪ねるのではなく、そこでしかできない体験が最大の目的という方が多いようです。その土地ならではの食や文化に触れ、人との出会いや発見を楽しむ。今回は、ライブ感が満載のディープな八戸への旅に出かけます。

■眠っている田の神を起こす冬の祭り「八戸えんぶり」

 祭りというと夏のイメージが強いですね。日本経済新聞の「専門家が選ぶ見応えのある冬祭りランキング」も1位の「さっぽろ雪まつり」以外は、初めて目にする祭りも珍しくありません。その中で、国の重要無形民俗文化財でもあるのが“東北に春を呼ぶ”「えんぶり」(7位)。その名を知る人はどれだけいるでしょうか。

 八戸えんぶりは青森県八戸市で毎年、極寒の2月に行われる豊年祈願の郷土芸能です。五穀豊穣の祈りや感謝をささげる祭りは夏や秋が一般的ですが、八戸地方では古くから冬に眠っている田の神を揺さぶり起こし、田に魂を込める儀式としてこの季節に行われてきました。「えんぶり」という名は、田をならす「えぶり」という農具を持って踊ることに由来します。

国の重要無形民俗文化財、八戸地方に春を呼ぶ豊年祈願の郷土芸能「八戸えんぶり」

 早朝、八戸市と周辺町村から30組を超える「えんぶり組」が、小高い丘の上にある長者山新羅神社に詣でた後、神社行列と隊を編成して市中心街へ降り、一斉摺り(踊り)を披露し、各家を訪れて門付けをします。八戸に春の訪れを告げるめでたい芸能は4日間にわたり、市内各所で行われます(毎年2月17~20日開催)。

■超ディープ! 八戸屋台村「みろく横丁」&酒場横丁めぐり

(左)メインストリートの三日町側の八戸屋台村「みろく横丁」の入り口。(右)個性的な屋台が並ぶ、みろく横丁。通りから店の中がのぞけるので、店の雰囲気などがわかる

 八戸港はイカの水揚げ高が日本一で、八戸前沖さばなどのブランドサバでも知られる全国有数の漁港。市内の飲食店では水揚げされたばかりの新鮮な魚介を使ったご当地グルメが手ごろな価格で楽しめます。中心街にある「八戸屋台村みろく横丁」には26の個性的な屋台が軒を連ね、夕刻、色とりどりのちょうちんに灯がともると、狭い路地は市民や観光客でにぎわいます。

 みろく横丁は2002年、新幹線八戸駅の開業に合わせてオープン。屋台村は若手起業家育成のチャレンジショップ的役割も担っており、屋台は3年ごとに入れ替わります。郷土料理にラーメン、すし、串焼きや鉄板焼き、馬肉や貝料理などバラエティー豊か。通りから店の中がのぞけるので、店主や客、店の雰囲気を見ることができ、店選びも楽しく、華やかな横丁です。

(左)八戸にはみろく横丁のほか、ハーモニカ横町など、古くからの酒場通りが中心街に点在する。(右)八戸の横丁めぐりには古いビルのアートや七不思議など、ユニークな見どころが多い

 みろく横丁の周囲には、さらにディープで個性豊かな古くからの酒場横丁がひしめき合っており、夜な夜なにぎわいます。「酔っ払いに愛を」と題した八戸横丁月間には様々なイベントが開催されます。

 横丁めぐりは八戸市発行の「はちのへ横丁探訪」などのマップを利用しながら楽しめますが、17年春に向けて「八戸さんぽマイスター」のガイド付きまちあるきも準備中とのこと。ユニークな八戸の酒場遺産や、普段一人では絶対入れそうにない八戸随一のディープスポット「れんさ街」の洋酒喫茶プリンスなど、横丁をめぐって見どころを教えてくれるそうです。

 八戸の観光情報や横丁めぐりの相談は、みろく横丁の目の前にある、八戸市の文化観光交流施設「八戸ポータルミュージアムはっち」で。2016年12月にオープンした話題の市営書店「八戸ブックセンター」も近くにあります。本のまちを標榜する八戸市の拠点施設として、ハンモックの閲覧スペースや作家気分で執筆活動ができるカンヅメブースなどを備え、店内ではアルコールを含む飲み物なども販売しています。東京にはないカルチャーとの出合いも楽しんでみてください。

■早朝の楽しみ・日本一の巨大朝市&体感ライブ市場

八戸港の館鼻岸壁の日曜朝市には約350店舗が立ち並び、2万~3万人の人出でにぎわう。※1月~3月中旬は休みとなります

 実は青森県は「早寝早起き」と「人口10万人当たりの公衆浴場数」が日本一。八戸の朝は早く、暗いうちから営業する陸奥湊駅前朝市などの市場や、早朝5時から営業している銭湯がいくつもあり、地域には朝市や朝風呂など「早朝文化」が根付いています。

 そんな早朝を体験したい旅行者に便利なのが「八戸あさぐる」。朝6時にタクシーがホテルに迎えに来てくれて、朝市と銭湯を巡って9時までにホテルへ送ってくれるサービスです。予約はあさぐるに参加するホテルを利用し、前日ホテルで申し込むだけ。利用料金にはタクシー代、銭湯の入浴料(ボディーウオッシュ・シャンプー・リンス付き)が含まれ、利用者はホテルからタオルを持参すれば、手ぶらで観光できます。

 3月中旬から八戸港の館鼻(たてはな)岸壁で開催される日曜朝市は、350もの店が立ち並び、人出は2~3万人。1日の規模では函館をしのぐ巨大朝市です。朝日に染まる朝市はドラマチックで、鮮魚からスイーツまでそろう市場は最高に盛り上がります。市場を巡った後は、冷えた体を銭湯で温めて。富士山の壁画がある銭湯、13種類の薬草を配合した薬湯が人気の銭湯もあります(あさぐるで利用する銭湯は選べません)。

鮮魚だけではなく、花卉(かき)や果物、てんぷら、おでんや田楽、たい焼きや綿あめ、うどんやそば、パンやスープ専門店、コーヒーショップなど多種多様な店がひしめく

 館鼻岸壁の日曜朝市は冬季(1月~3月中旬)はお休みとなりますが、八戸にはもう一つ、見逃せないスポットがあります。それが“体感ライブ市場”をうたう「八食センター」です。八戸港で水揚げされる水産品を中心に青果や精肉、加工品や菓子、酒を集める食品市場には約65もの店舗や施設がひしめきます。一番人気の「七厘村」では、市場内で購入したイカやエビ、ホタテなどの魚介や肉を炭火焼きで楽しめるほか、プロの料理人が料理指導してくれる「八食料理道場」も人気です。八戸駅からは100円、中心街からは200円以下で利用できる便利な八食バスが出ています。

八食センターは八戸港で水揚げされた新鮮な魚介のほか、八戸の名産品もそろう
買った魚介などを七厘村に持ち込み、その場で炭火焼きにして楽しめます
水津陽子(すいづ・ようこ)
 合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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