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市販の転用薬で所得控除 医療費控除とどう違う? 医療費控除の特例(下)

2017/1/31

PIXTA

 今年から、指定された医薬品をドラッグストアなどで購入した際の費用だけでも控除が受けられるようになったと聞きました。従来の医療費控除とどう違うのでしょうか。また、確定申告をするうえで注意すべき点はありますか。

 今年から始まった「セルフメディケーション(自主服薬)税制」では、医療用から転じた「スイッチOTC医薬品」の購入金額が年間1万2000円を超えると所得控除を受けられる。従来の医療費控除は10万円(総所得が200万円未満の場合はその5%)超なので、少額からでも控除が受けられるようになる。

 医療費控除と同様に控除を受けるには確定申告が必要だが、両者の大きな違いは対象となる支出だ。

 医療費控除は医師の診察や治療にかかった費用が主な対象だが、他にも通院時に利用した交通運賃や、ドラッグストアなどで購入した処方薬、一般の医薬品代など、対象は幅広い。一方、セルフメディケーション税制はスイッチOTC医薬品の購入費に限られる。

 セルフメディケーション税制が適用されるスイッチOTC医薬品代は原則、医療費控除の対象になる。逆に、スイッチOTC医薬品以外の市販薬や処方薬はセルフメディケーション税制の対象にはならないので注意が必要だ。

 セルフメディケーション税制と医療費控除は併用できない。確定申告する際は控除額を計算して、どちらを使った方が有利かを選択する必要がある。

 例えば総所得200万円以上の人が医療費全体に年間13万円支払い、そのうち6万円がスイッチOTC医薬品だった場合。医療費控除額は3万円だが、セルフメディケーション税制の控除額は4万8000円なのでこちらが有利になる。

 一方、例は少ないかもしれないが、スイッチOTC医薬品のみ年間20万円購入したという場合。医療費控除額は10万円だが、セルフメディケーション税制の控除額の上限は8万8000円なので、医療費控除を使った方が有利になる。

 セルフメディケーション税制は少額から手軽に控除を受けられるため、初年度から多くの人の利用が予想される。注意したいのが、自治体に寄付すると2000円を超えた分が一定限度額まで控除され、返礼品も受け取れることから利用者が多い「ふるさと納税」をしている場合だ。

 ふるさと納税では寄付先の自治体が5カ所以内なら「ワンストップ特例制度」が利用できる。確定申告しなくても、寄付先の自治体に申請書を送るだけで控除が受けられる制度だ。

 ただし、セルフメディケーション税制や医療費控除などのために確定申告すると、ワンストップ特例制度の手続きは無効となり、ふるさと納税の控除を受けるにはやはり確定申告が必要になる。

 もし確定申告の際に寄付金控除の申請を忘れてしまった場合は、「5年以内であれば還付申告できる」(ランドマーク税理士法人の清田幸弘代表税理士)ことを覚えておこう。

[日本経済新聞朝刊2017年1月25日付]

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