松坂桃李 堤幸彦監督と組み、難役『視覚探偵』に挑む

日経エンタテインメント!

(写真:藤本和史)

『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系)は失った聴覚、嗅覚、味覚、触覚の代わりに、視覚を駆使して事件を解決する探偵・日暮旅人(ひぐらしたびと)が主人公。人の絆もテーマにするヒューマンミステリーで、原作小説はシリーズ累計75万部を突破する人気作だ。2015年11月のスペシャル(SP)ドラマで視聴率13.5%を取り、今回の連ドラ化につながった。旅人の目が青く光るなど、CGを使用した映像表現も特徴で、『TRICK』や『SPEC』を生み出してきた堤幸彦が監督を務める。キャストもスタッフもほぼ同じメンバー。主演の松坂桃李は、旅人というミステリアスな人物にどう取り組んでいるのか。

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「SPドラマで謎めいて終わったことがどう着地するか、期待と怖さのなかでワクワクしながら撮影しています。旅人の特異体質は、演じるのが難しいですね。後ろから声をかけられても振り返ってはいけないのに、つい普通に反応してしまって。最初の頃、少しでも旅人の感覚を体験しようと耳栓をしてみて、そこで『こういう感じか』と分かることもありました。

堤監督の現場は独特です。段取りをしてから監督の姿が見えないと思っていたら、天の声みたいにスピーカーから指示が聞こえてきて(笑)。最初は戸惑いました。演出でも、『そこはセリフをまくし立てるように』とか、『ここで「あああー」って言いながら指を指して』とか、ピンポイントな感じが多いので、いつでも動けるように、緊張感を持っています」

緊張と緩和が巧みな脚本

『視覚探偵 日暮旅人」(日曜22時30分、日テレ系) 匂いや感情などを視覚で捉える“探し物探偵”の旅人が事件を解決する。相棒の雪路や、血のつながらない娘の灯衣との関係性も深く描かれる

「バディの設定なので、雪路(ゆきじ)役の濱田岳君と一緒にいることが多いですね。岳君とはNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(14年)でも一緒になりましたが、SPのときにさらに距離が縮まりました。お芝居が確立しているので、安心感があるというか、何をやっても大丈夫っていう心強さがあります。

福原充則さんの脚本も面白いですね。舞台で活躍されている方なので、1シーンが長いんですよ。人が出たり入ったり、そのあとも続いたり。その1シーンに波があって、コミカルなシーンの合間に心がザワつく部分が入ったり、緊張と緩和のバランスが絶妙です」

SPドラマでは旅人の温かさが描かれたが、連ドラでは一転。旅人の過去が次第に明らかになり、物語がダークサイドに傾いていく。

「原作では、ディープなブラックストーリーが展開されているので、それがどこまで投影されるかは、僕も気になるところです。なぜ旅人は五感のうち4つを失ってしまったのか、そこの話がまあ、グロいんですよね。ほかにも、6歳の灯衣(てい)ちゃん(住田萌乃)が、なぜ旅人と雪路と一緒にいるのかなど、それぞれの関係性を深く掘ることで、サスペンス要素が増していくんです。そこがどう描かれるか、楽しみにしてほしいです。

20代後半になって、いろいろな役に挑戦させてもらえる機会が増えました。今回の旅人役もハードルは高いですが、期待以上のものを提示できたらと思っています」

(ライター 内藤悦子)

[日経エンタテインメント! 2017年2月号の記事を再構成]

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