孫さんを落とした! 家電VB女性社長、渾身のプレゼンUPQ最高経営責任者 中沢優子氏(下)

夫もスタートアップの開発者なので比較的自由ですから、どうしても連れていかれないという場合は夫に面倒をみてもらっていますし、子連れで1週間、大阪の難波に出張した時は、大阪の友達に面倒をみてもらっていました。

事業部が消滅し悔しかったことが原点に

「光の色」「明るさ」をコントロールできるスマート電球

今の仕事に挑戦することになったそもそもの原点といえば、やはり、所属していた事業部が消滅したことが大きかったと思います。

カシオ計算機時代、携帯端末の商品企画を担当していました。当時、カシオは携帯の開発を日立製作所さんとの合弁会社でしていて、そこで私は、ユーザー目線で人物を美しく撮れる「美撮り」機能を搭載した製品のプロダクトマネジメントをしていたんです。

ボーダフォンからソフトバンクモバイルへと変わり、カシオモデルもそこに参入しようとしていたタイミングでした。新しい携帯端末のラインアップを、当時ソフトバンクモバイルの社長だった孫(正義)さん相手にプレゼンテーションする機会もありました。与えられた時間は、各社10分か15分だったと思います。事前の準備をしている時に「ケータイ世代がプレゼンした方が説得力あるんじゃないか」という話になり、私がプレゼンに立つことになりました。

ワイヤレスでも使える透明なタッチパネル式キーボード

完璧な企画書も用意されてはいましたが、それをいちいち言葉で説明しても、孫さんの印象には残らない。時間もありませんでしたから、もっとわかりやすいプレゼンの方法はないかなと考え、詳細な説明は資料だけにして、「美撮り」の写真1枚をスクリーンに映して勝負しました。

いったんは採用が決まったのですが、結局、その端末が世に出る前にカシオがソフトバンクさん向けの事業から撤退することが決まり、所属していた事業部もなくなってしまいました。さらにはその2年後、今度は会社ごと携帯電話業界から撤退することになってしまいます。

携帯端末でできるなら、ほかの製品でもできる

事業撤退に伴う人事面談の際、「会社の判断はおかしい」ということも言いました。有線がどんどん無線になっていく時代に、端末の形は変わってもコミュニケーションのツールが必要とされることは変わらないはずだ、と思ったんです。にもかかわらず、自分たちが育てた技術を手放し、諦めるという判断に、納得がいきませんでした。

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら