マネー研究所

Money&Investment

株主優待 魅力の銘柄を探し出すコツ

2017/1/29

 投資先の商品やサービスの割引券などがもらえる株主優待制度は、個人投資家の楽しみの一つ。株主優待を設ける企業は増え続けており、株を長期保有すると内容が手厚くなる例も目立つ。2~3月にかけては株主優待の権利確定が相次ぐ。魅力的な銘柄の探し方や、投資する際の注意点をまとめた。

 昨年12月中旬、ポーラ・オルビスホールディングスの株価が急伸した。きっかけは株主優待の内容についてのリリース。保有する株式数などに応じて、6000~1万2000円分の化粧品が受け取れる。

 株主優待制度で最近、増えているのが長期保有の株主を優遇する仕組みだ。大和インベスター・リレーションズ(IR)によると、2016年は82社が長期保有への優遇を導入した。優待制度を持つ企業は全上場企業の3分の1にあたる約1300社。そのうちの2割が長期株主を優遇している。

■1~3年以上多く

 長期優遇の対象は保有期間1~3年以上が一般的だ。ポーラ・オルビスは3年以上保有すると、商品に交換できるポイントが2000円分上乗せされる。タカラトミーは自社通販サイトの購入価格が保有1年以上で3割引き、3年以上で4割引きになる。

 企業が株主優待を用意するのは、長期保有の個人投資家を株主にするためだ。企業が株式の持ち合いを解消する流れを受けて、市場に放出された株の受け皿としての期待もある。株主優待の導入により個人株主を増やした企業は、株主の引き留めへ長期保有者の優遇に力を入れる。

 株主優待を受け取るには会社ごとに定める割当基準日に株主である必要がある。基準日は決算期末に設定されることが多く、2~3月に集中する。実際には取引から名義が書き換わるまでの時間があるため、基準日の3営業日前までに株式を購入する必要がある。今年の場合、3月31日が基準日なら28日が最終の取引日となる。

 株主優待の内容は企業により様々だ。食品会社なら自社製品の詰め合わせ、外食では割引券、鉄道なら乗車券といったものが王道。一方で銀行預金の金利引き上げや株主限定のビール、宝くじといった変わり種もある。

 優待を手掛かりに銘柄を選ぶコツとして、大和IRの中村聡・業務推進部長は「配当と合わせた実質利回りを計算すること」を提案する。実質利回りとは、1年間に株主優待でもらえる商品や金券などをお金に換算し、年間の配当額と合算。その金額を必要となる投資額で割ったものだ。

■目当ては早め購入

 東証1部企業の配当利回りの平均は約2%だが、自社商品などの株主優待を合わせると実質の利回りが5%を超えることが珍しくない。店舗で繰り返し使える割引券など、使い方次第で金額に換算したメリットが大きくなるものもある。

 目当ての銘柄が決まったら「売買のタイミングにも気をつけたい」と、野村インベスター・リレーションズ(IR)の福島英貴・IRマガジン編集長は話す。東京ディズニーリゾートのチケットがもらえるオリエンタルランドなど、株主優待が人気の銘柄は割当基準日にかけて株価が上昇しやすい傾向がある。高値づかみを避けるなら、目当ての株は早めに購入するのも手だ。

 お気に入りの銘柄については家族で保有する方法もある。株主優待は最小売買単位(1単元)を保有すれば受け取れることが多い。夫婦で1単元ずつ持てば優待を2倍受け取れる。お気に入りの銘柄は株価が上昇した場合に売りづらくなりがちだが、2単元以上あれば一部を売却して利益を確定しやすい。

 もっとも株主優待はあくまで投資の「おまけ」。野村IRの福島氏は「優待に過剰な期待をするのは危険」と指摘する。株主優待は業績不振など会社の都合でいつでも内容を変更したり、廃止したりできるためだ。株価が下落した結果、投資額に対する優待の「利回り」が高くなっている銘柄もある。

 どんなに魅力的な株主優待でも、株価の大きな下落を補うのは難しい。投資する前に企業の業績を調べるのはもちろん、過去の配当や優待の実績について確認することは欠かせない。(山本紗世)

[日本経済新聞朝刊2017年1月21日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL