検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

坂本龍馬ゆかり瀬戸の港町 鞆の浦の「湯船」

広島県福山市 鞆の浦を訪ねる

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

冬の木漏れ日のなか、のどかな時間が流れる瀬戸内海の古港、鞆(とも)の浦(広島県福山市)。かつては室町幕府最後の将軍が織田信長に追われて隠遁(いんとん)し、幕末には海難事故を巡り坂本龍馬が紀州藩と争った因縁の港町だ。近年は宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」など、数々の映画やドラマの舞台となった。実は瀬戸を一望できる温泉もあり、「湯船」も堪能できる。鞆の浦を訪ねた。

◇   ◇   ◇

鞆の港、大漁旗がはためく

「今日の狙いはイカじゃ。鯛(たい)は岸からは釣れんで」。JR福山駅から路線バスで30分。「鞆の浦」のバス停をおりると、地元の40歳代ほどの男性が堤防で釣りに興じていた。

鞆の浦の名物といえば、鯛飯が知られる。しかし、鯛はやすやすとは釣れないらしい。10分ほどぶらぶら歩くと鞆港が眼前に広がる。自然の良港で、円形の入り江がそのまま港になっている。数十隻の漁船が停泊しているが、なかには大漁旗がはためく漁船も。しかし、今の鞆の浦は漁師町というよりも、観光地として存在感を高めている。中世の港の姿がこれほど残っている町はないからだ。

江戸時代の灯台が

鞆の浦は瀬戸内海のほぼ中間に位置し、古代から「潮待ちの港」として知られる。

鞆の浦歴史民俗資料館の通堂博彰館長は、「鞆の浦が評価されているのは、江戸時代の港湾施設である『常夜燈(じょうやとう)』」のほか、『雁木(がんぎ)』『波止場』『焚場(たきば)』『船番所』の全てが全国で唯一残されているからだ」という。地上約10メートルの高さの常夜燈とは現在の灯台で、鞆の浦の象徴的な建物だ。

「鞆港」のバス停から、その常夜燈を目指して歩いた。商家が立ち並ぶが、家屋はいずれも古い。地元の60歳代ほどの女性は「江戸や明治のときからの家もあるんじゃ」と話す。

水際にすれすれに立っている家屋も多く、思わず津波が来たらどうなるのだろうと心配になってしまう。狭い軒先をいくと、タイムスリップしたかのような感覚に陥る。古い町並みをカメラに収めながら歩くと、龍馬の隠れ部屋のあった枡屋清右衛門宅にたどり着いた。この軒下を龍馬も歩いたのだろうか。

龍馬暗殺にも関係

「龍馬が鞆の浦に滞在したのは4、5日ですが、歴史的には重要な出来事が起きた」(通堂館長)という。土佐出身の龍馬は江戸、そして長崎、京都を行き来して幕末を生きた。鞆の浦と関わったのは「いろは丸沈没事件」だ。

1867年5月、龍馬は蒸気船のいろは丸で長崎から大阪に向かう途中で、紀州藩の軍艦と衝突、鞆の浦の近くで沈没した。龍馬は鞆の浦に上陸し、紀州藩と賠償交渉をした。紀州は徳川御三家、お上の強い立場だが、粘りに粘って結局、賠償を勝ち取った。

日本最初の海難審判事故だという専門家もいる。賠償金が支払われたが、その後わずか1週間あまりで龍馬が暗殺されたため、この事件と龍馬暗殺を結びつける歴史愛好家もいる。

中世では、室町幕府15代将軍だった足利義昭が織田信長に京都から追放され、中国地方の雄、毛利氏を頼り、この鞆の浦を拠点として「反信長同盟」を画策したことでも知られる。「鞆幕府」と呼ばれた。通堂館長は「義昭が鞆の浦のどの場所に暮らしたかは今も分かりませんが、本拠としていたのは事実です」と話す。

しかし、最近の鞆の浦を有名にしたのはやはり宮崎駿監督だろう。2008年に公開された「崖の上のポニョ」の舞台は鞆の浦だといわれる。「宮崎さんは1カ月半か2カ月ぐらい滞在されていましたね。よく町のなかを歩いておられました」(通堂館長)。以来、洋画の「ウルヴァリン: SAMURAI」、テレビドラマ「流星ワゴン」など様々な映画やドラマのロケ地となった。

観光船で仙酔島に

鞆の浦の眼前に仙酔島や弁天島などの瀬戸の小島が浮かんでいる。この仙酔島は無人島ではあるが、国民宿舎もあり、夏には海水浴の客でにぎわう。筆者も小学校のころこの島に渡った記憶がある。今は龍馬のいろは丸をイメージした観光船で渡ることができる。他の観光客と、その船に乗ってみた。

1月でも穏やかな瀬戸の海。気温は7度ぐらいだが、海上では日差しが強く寒さを全く感じない。弁天島を横目で見ながら、船はゆっくり進む。この島には銀閣寺に似た文字通りの弁天堂が立っている。弁天島に立ち寄りたいという観光客は少なくないが、容易に立ち入ることは許されない。この孤島に渡る定期船はない。

わずか15分ほどで仙酔島の桟橋に着いた。5分ほど歩くと、白浜のビーチが見えてきた。そういえば、高校1年生のときも、ここに来たことがある。新しいキャンプ場はあるが、あとの風景は何も変わらない。観光客の姿がちらほら見えるが、島は静寂に包まれている。

瀬戸を見下ろす湯船

鞆の浦に船で戻るとき、右手に高層のホテルが見えた。鞆の浦を代表する老舗の「ホテル鴎風亭」だ。実は今回、鞆の浦を訪れた目的の1つはこのホテルの露天風呂に入ることだ。宿泊しなくても、緑の島々を見ながら天然温泉を満喫できる、まさに瀬戸の「湯船」だ。目の前に仙酔島、眼下に弁天島を眺められる。時間が止まったような感覚。その向こうには四国の山影すら薄ぼんやりと見える気がする。

瀬戸の湯を堪能したので、鞆の浦のバス停から帰ろうとすると、猫に出合った。福山市の隣の尾道市も猫の町として知られるが、ここにも猫の姿が目立つ。魚が多いからだろうか。カメラを向けると、まぶしそうな顔をされた。中世、近代、瀬戸の繁栄を支えた港町に夕日が差し込んでいた。

(代慶達也)

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_