液晶ディスプレー 主流はIPS、ゲーム人気は高速TN
「PC用キーボード、売れ筋トップは2万円の静音モデル」に続き、TSUKUMO eX.における液晶ディスプレーの売れ筋をリポートする。液晶ディスプレーは、パソコンでの細かな表計算や文字入力、ゲーム画面の表示などを担う道具のため、映像鑑賞中心のテレビや入力操作も兼ねるタブレットなどとはまた違ったトレンドが形成されている。
同店の真鍋秀樹氏は「現在は23~24型タイプが売れ筋ですね。パネルでいえば、角度をつけて見ても色変化の少ない広視野角のIPSタイプが主流ですが、高速応答でゲームに強いTNタイプも指名買いされています。表面は非光沢のモデルがほとんどですね」という。
それを踏まえて、同店の売れ筋ランキングを見てみよう。
1位●KH245V、アイ・オー・データ機器、1万3980円
広視野角のADSパネルと超解像技術を採用した23.8型フルHDモデル。応答速度は最速6.1ms(GTG)で、入力はHDMIとDVI、D-Sub 15ピンが各1基。サイズはW557×D210×H410mmとなる。
2位●ZOWIE XL2411、ベンキュージャパン、2万5740円
TNパネルを採用したゲーム向けの24型フルHDモデルで、応答速度1ms(GTG)、144Hz駆動を実現した。入力はHDMIとDVI、D-Sub 15ピンが各1基。サイズはW570×D222.6×H409~539mm。
3位●FORIS FS2434-R、EIZO、3万7000円
IPSパネルを採用した23.8型フルHDモデル。4.9ms(GTG)で、遅延を0.05フレーム未満に抑える技術を搭載する。入力はHDMIを2基とDVIを1基。サイズはW539.4×D200×H398.3~458.3mmだ。
4位●VE248HR、エイスーステック・コンピューター、1万4800円
応答速度1ms(GTG)/60Hz駆動のTNパネルを採用したゲーム向きモデル。画面は24型フルHDで、入力はHDMIとDVI、D-Sub 15ピンが各1基となる。サイズはW569.4×D201×H409.7mm。
5位●27UD58-B、LGエレクトロニクス・ジャパン、4万9980円
3840×2160ドットの4Kパネルを採用した27型モデルで、パネルタイプはAH-IPS。入力はHDMIを2系統とDPを1系統用意し、応答速度は5ms(GTG)となる。サイズはW633×D202×H464mmだ。
コスパが高い「KH245V」が一番人気、ゲーム用高級機「ZOWIE XL2411」が続く
1位となったのは、アイ・オー・データ機器の23.8型フルHDモデル「KH245V」だ。広視野角で色変化が少ないというIPSパネルに近い特徴を持つADSパネルを採用し、映像をくっきり見せる超解像技術を盛り込みつつ、価格が1万3980円と低めなのがポイントだ。23~24型のフルHDで広視野角なモデルという全体のトレンドにも合致する。
真鍋氏は「23型とほとんど変わらない価格帯で買える24型級ということで人気を集めていますね。入力もHDMIとDVI、D-Sub 15ピンの3系統が使えるので、HDMIにゲーム機を、DVIにパソコンをつないで、切り替えて利用するといったスタイルも可能です。1W+1Wのスピーカーも内蔵していますし、使い勝手もいいんですよね」と語る。
2位は、ベンキュージャパン(BenQ)の24型フルHDモデル「ZOWIE XL2411」。こちらはゲームプレイ用ディスプレーとして指名買いされることが多いという。IPSパネルと比べて表示の切り替えが素早いTNパネルを採用し、応答速度1ms(GTG/灰色から灰色への変化時間)、5ms(BtB/黒→白→黒の変化時間)を達成した。また、リフレッシュレートは一般的な60Hzよりも2倍以上高い144Hzとなっている。
「シューティングゲームなど、瞬間の判断力が求められるゲームでは画面表示の機敏さは重要な要素になります。ZOWIE XL2411はゲーム大会でもよく使われるディスプレーということもあって、ゲーミングモデルのなかでも安定した人気がありますね。大会と同じ環境でトレーニングをするために指名買いする方も珍しくありません」
動きにも強い「EIZO FS243R」、割安なゲーミングモデル「VE248HR」も好調
3位はEIZOの23.8型フルHDモデル「FORIS FS2434-R」。伝統的にデザイナーやフォトグラファーに人気のあるメーカーだが、「静止画表示のクオリティーに加えて、動画にも強いのがこのモデルの特徴」とのこと。応答速度は4.9ms(GTG)とそこそこだが、パソコンから送られた映像データの表示遅延を0.05フレーム未満に抑える技術を搭載している。パネル周囲のフレームも細く、マルチモニター環境が組みやすい点も評価されており、3万7000円の高級モデルながら人気上位に食い込んだ。
「前モデルのFORIS FS2434から定番人気のモデルです。ゲームユーザーに人気ですが、コマ間を補完する機能も備えていて動画をなめらかに表示できることから、ホビーユースで広く注目されています」
続く4位も、ゲーミング用途で支持を集めているモデルだ。エイスーステック・コンピューターの24型フルHDモデル「VE248HR」で、機敏な表示が可能なTNパネルを採用している。そのうえで、1万4800円と割安な値付けになっているのがポイントだ。
「ゲーミングディスプレーの入門機的な位置づけになっているモデルです。リフレッシュレートは一般的な水準ですが、価格を抑えつつゲームや動画も楽しみたいという人にはぴったりの仕様といえますね。ここから上位のゲーミングディスプレーに進むという人は多いですね」
5万円切りの4Kモデル「27UD58-B」も安定人気
5位に入ったLGエレクトロニクス・ジャパンの27型モデル「27UD58-B」は、ランキング内で唯一の4Kタイプだ。IPSの派生系であるAH-IPSパネルを採用しており、応答速度も5ms(GTG)とまずまず。入力系統はHDMIが2系統とDP(DisplayPort)が1系統だ。
購入層は、カメラが好きな人や繊細なイラストを描く人が中心だという。「4Kで動画やゲームとなるとかなり高いマシンスペックが要求されるので、それよりは静止画で緻密な描画環境が欲しいという人が多いですね。一眼レフで撮った写真を一画面でしっかり確認したいということで買われていく方もいらっしゃいました」
注意したいのが、4Kディスプレーは古めのグラフィックス環境ではフルに性能が発揮できない場合があること。「4Kディスプレーに関しては、購入される前にお使いのパソコンのスペックを確認させていただいています」
はみ出し情報…2560×1080ドットの曲面ディスプレーも売れている
変わり種としては、2画面をつなげたような横長のディスプレーも注目を集めているという。「デュアルディスプレーを構築すると中央にフレームの継ぎ目がくるので、それが気になるという人は最初から横長のタイプを選ばれますね。最近は湾曲したパネルを採用したモデルも増えていて、2画面分と考えれば現実的なお値段で買えるということで普通に売れています」とのことだ。
なかでも人気があるのは、LGエレクトロニクス・ジャパンの29型2560×1080ドットモデル「29UC88-B」とのこと。AH-IPSパネルを採用したモデルで、サイズはW701×D252×H396~516mmとなる。取材時の価格は5万5800円だった。
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。
[日経トレンディネット 2016年12月27日付の記事を再構成]
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