腕時計にもネイビー人気 個性際立つ青文字盤3選
こだわりが魅力 今買いたい人気の腕時計(1)
ビジネスパーソンにとって腕時計は必需品。スーツ、かばん、靴と同様に(いや、それ以上に)人から見られるモノであり、特に大事な商談などはマナーとしても身に着けておいたほうが好ましい。またスマートフォン(スマホ)が普及している現在では、腕時計は時間を知るための道具ではなく嗜好品として捉えている男性も多いため、そこには身に着ける人の主義や主張、個性が強く表れる。そこで今回は、男のこだわりが見える腕時計を3回にわたって紹介していく。第1回はビジネス用途での購入者が増えているという「青文字盤の時計」にフォーカスした。
華やかさと個性をプラスする青文字盤
ビジネスシーンで身に着ける時計は、白か黒の文字盤が定番だろう。どんな色のスーツにも似合い、さまざまなシチュエーションにも対応できるからだ。しかしファッション感度の高い30~40代のビジネスパーソンに最近支持されているのは、青文字盤の時計らしい。この背景には、ネイビースーツの人気が関わっているものと思われる。
ここ数年、カジュアル化が進むビジネスウェアにおいてネイビーの人気が急上昇。黒やグレーよりも華やかで、それでいて品行方正なたたずまいのため、スーツやコートをはじめかばんなどの小物に至るまで、ネイビーのアイテムが支持を得ている。この流れが腕時計にも波及し、ネイビースーツと合わせてトータルコーディネートを楽しむおしゃれなビジネスパーソンが増えているのではないだろうか。
航空時計のトップブランドとして絶大な人気を誇るブライトリングの時計も、青文字盤の売り上げが伸びているという。
「パイロットウォッチやダイバーズウォッチを60年以上前から製造してきたブライトリングでは、空や海を想起させるブルーは定番カラーという位置付けです。しかし、近年さらに人気が高まっています。『スーパーオーシャンII 42』というモデルを例に挙げると、2016年は青文字盤の販売が55%と過半数を占めています。2015年の実績が43%でしたから、確かに青文字盤が伸びています」(ブライトリング・ジャパン マーケティング・マネージャー 有吉利隆氏)
ブライトリングで圧倒的に人気があるのは黒文字盤の時計で、視認性の良さといった機能的な観点や、飽きのこないカラーということで黒文字盤を選ぶ人が多いという。しかし青文字盤の人気が高まっていることも実感しているそうだ。
「2016年末に発表した『ナビタイマー ヘリテージ』が、(黒文字盤だけでなく)ブラックとブルーの2色展開であることからも、改めて青文字盤の人気の高まりは感じています」という有吉氏は、青文字盤の人気について「青文字盤は派手ではないものの、黒文字盤とは一線を画すことができる色。また一口に青文字盤と言っても、製造方法によって色調が異なるため、ほどよい個性が演出できるところが選ばれている理由ではないでしょうか」と分析する。
そこで今回は、華やかさと個性を演出できる青文字盤時計の注目作を紹介する。いずれも高い人気・実力を持つトップブランドの品々のためステータスも信頼性も申し分ない。これらを見ていくことで青文字盤の魅力がわかるはずだ。
ブライトリング/海の青さを思わせる鮮やかなブルーの文字盤
1884年の創立以来、高性能かつ強靱(きょうじん)な"プロフェッショナルのための計器"を手がけてきたブライトリング。クロノグラフを腕時計に初めて採用し、航空回転計算尺を開発するなど、パイロットウォッチのトップブランドとして名高い。また、1957年に登場したダイバーズモデル「スーパーオーシャン」シリーズも人気を誇る。
今回紹介する「スーパーオーシャンII」は、2015年の発売以降、同ブランドを代表するダイバーズウォッチとして支持されている。ケース径44mmのモデルは1000mの優れた防水性を確保しながら、旧モデルよりもケースの厚みを抑えて作られているのが特徴で、ストラップを付け替えればビジネスにも難なく対応できる。
注目すべきは青文字盤の発色のよさ。海の青さを思わせる鮮やかなブルーの文字盤は存在感抜群だ。両面無反射コーティングのサファイアクリスタルガラスにより、その美しさが際立っている。
もちろんダイバーズウォッチとしても高機能。飽和潜水時にケース内にたまったヘリウムガスを自動的に放出するオートエスケープバルブや、暗い海中での視認性を確保するスーパールミノヴァインデックスを搭載するなど、海のプロフェッショナルのために作られていることが見て取れる。
「30~40代のお客様のご購入が多いですが、特徴のあるブルーの色味や存在感のあるサイズのため、若い方にもお選びいただいています」(有吉氏)
ボール ウォッチ/月夜を表現したスタイリッシュなデザイン
19世紀のアメリカで、高精度時計の代名詞となった「鉄道標準時計」の規定を作り上げたウェブスター・クレイ・ボール氏が創業したボール ウォッチ。時計の精度に加え、過酷な環境下で労働に従事するレイルローダー(鉄道員)のためにタフな時計を作り続けてきた。そんな同ブランドの時計は堅牢(けんろう)ゆえに地味なデザインのものが多かったが、その優れた機能や使いやすさを多くの人に知ってもらいたいとの思いから誕生したのが、このモデルだ。
月齢表示ディスクを搭載した青文字盤が月夜を想起させる「トレインマスター ムーンフェイズ」は、ボール ウォッチの青文字盤の現行モデルのなかでもっとも人気があるという。あまりに好評で在庫がなくなったときを除けば、2015年11月の販売開始から常に売り上げトップ10に入るのだとか。
また、同ブランドのトレードマークでもある「マイクロ・ガスライト」を、文字盤や針などに採用しているのもポイント。これは内側に蛍光塗料を塗布し、内部にトリチウムガスを密封したガラス管(カプセル)で、お互いに作用し発光する仕組みになっている。蓄光塗料とは違い、何の蓄えも必要とせず、昼夜を問わず自発光により光り続けるという。従来のトリチウムを基材とした夜光塗料と比べ、70倍もの明るさの光度を放ち、10年以上にわたって発光し続けるそうだ。
大振りな月齢表示ディスクの背景には、このマイクロ・ガスライトが仕込まれており、月の反射面が自発光してひときわ輝きを放つ。夜間でも視認性が高く、月が浮かび上がる文字盤はまさに月夜のよう。映画館などの暗い場所での使用を考慮し、この自発光のムーンフェイズディスクが決め手となって購入する人が多く、同社の購入者アンケートでは約20%のユーザーが「趣味は映画鑑賞」と回答しているとも話す。
「独自の購入者アンケートでは、回答者の60%がビジネス用に購入したと回答されています。弊社の青文字盤の時計はカジュアルな印象のものが多いのですが、本モデルはスタイリッシュでシンプルなデザインなので仕事時にも使いやすく、入社・昇進祝いなどビジネス用に購入される方が多いです」(ボール ウォッチ・ジャパン マーケティングPR 安藤嘉美氏)
オシアナス/空から見た夜の地球がカラーコンセプト
オシアナスは2004年に誕生したカシオのフルメタルプレミアムウォッチブランド。海を支配する神(ギリシャ神名:オケアノス)に由来するブランド名を冠し、ブルーを基調としたデザインで構築される。なかでも薄く美しいケースにワールドタイム機能を搭載した「オシアナス マンタ」は、エレガントさとテクノロジーの両方を求めるビジネスパーソンから人気が高い。
昨年11月に発売されたばかりの「OCW-S3400G-1AJF」は、"空から見た夜の地球"をカラーコンセプトにしたモデル。ネイビーブルーのベゼルで暗闇を表現し、秒針やベゼル内側のリングにゴールドをあしらい地球上のライトを表現。このほか12時位置のインデックスに白蝶貝(シロチョウガイ)を採用するなど、アクセントをつけて上質なデザインに仕上げている。
機能面では、多数のモーターを配置することで、2都市の時刻を同時表示できるデュアルダイアルワールドタイムを搭載する。さらにリューズによる操作で世界29都市の時刻へ素早くアクセスすることが可能で、電波ソーラー機能により正確な時刻を安定して表示できるのが魅力だ。
チタン素材の薄くて軽いケースなので、服の袖口に引っかかりにくいのもうれしい。青文字盤といえども落ち着いた印象のため、ビジネスシーンで活躍することは間違いないだろう。
「当社のラインアップのなかでは高価格帯のモデルですが、売り上げは好調に推移しています。オシアナスのメインターゲットは30~40代の男性で、その機能とデザインから、国内のみならず世界中を飛び回るビジネスパーソンを中心にご愛用いただいています」(カシオ計算機 時計戦略部 OCEANUSブランドプロモーション担当 岸慶彦氏)
名ブランドの青文字盤時計には品がある
以上、注目の青文字盤の時計を3つ紹介した。青文字盤にはカジュアルなイメージがあったかもしれないが、名ブランドの品々は洗練された上品なデザインであることがわかっただろう。
黒や白文字盤の時計よりも華やかな印象を持ち、ビジネススタイルに適した品格のある青文字盤の時計は、人とは少し違った個性を表現するのにうってつけ。現在のトレンドであるネイビーのスーツとも好相性で、同系色のためお互いがケンカすることなく、コーディネート全体に統一感が出るためスーツスタイルがグッとおしゃれに見えるはずだ。すでにネイビのースーツを持っている人は、名ブランドが手がける青文字盤時計の購入を検討してみてはいかがだろうか?
第1回 ネイビースーツと好相性! 青文字盤の時計がトレンド
第2回 名機ベースで人気 セレクトショップの別注時計3選
第3回 オンオフ兼用できるアナログデザインのスマートウォッチ
(ライター 津田昌宏)
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