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シャープ、東芝に続き富士通も 売却続く家電メーカー

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日経トレンディネット

2016年は、東芝シャープの2つの大手家電メーカーが、外資系企業の傘下に入った。数多くの国内第1号家電製品を送り出してきた「名門」東芝の白物家電事業、104年の歴史を誇り、「目のつけどころがシャープ」な製品を送り出してきたシャープが、1年の間に、相次いで外資系傘下に入った事実は、ここ数年にないほどの衝撃だった。

東芝は、16年6月30日付で、白物家電事業を担当する東芝ライフスタイルの株式の80.1%を、約537億円で、中国マイディアグループ(美的集団)に売却。東芝ブランドを維持しながら白物家電事業を継続している。ちなみに、テレビ事業は、東芝が維持。事業規模を大幅に縮小しながらも、東芝の子会社である東芝映像ソリューションが事業を継続している。

一方、シャープは、16年8月12日付で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が、3888億円でシャープの66.07%の株式を取得し、子会社化した。シャープのブランドを維持したままで、テレビ、家電事業も継続。シャープは、海外資本の中で再建に向けたスタートを切ったというわけだ。

衝撃といったものの、テレビCMを見ているだけだと、両社が外資系傘下で経営再建が進めているという印象は全く受けない。家電業界についてあまり知らない人に聞くと、「へぇ、そうなんだ」と外資傘下になったことに驚くケースすらある。その点、両社のマーケティングは、うまく進んでいるといっていい。特に、東芝の場合は、不適切会計処理問題により、歴代社長3人が退任し、刑事告発問題に発展するなど、「東芝のブランドは傷ついている」(東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長)という状況だったのが、わずか半年前。16年12月には、原子力事業に関して数千億円規模の減損損失を計上する可能性があることを公表し、株式市場からの信頼を大きく失った。だが、前述のような一般消費者の反応を見ると、消費者向けのブランド戦略という点では、その傷は既に癒え始めているといえそうだ。

スケールメリットを生かす東芝、ヒットを生むシャープ

両社の置かれた立場は微妙に異なるが、共通しているのは、時代の変化に追いつけなかった経営体質に問題があった点だ。

東芝は、不正会計処理問題に端を発した業績悪化により、15年度末には、債務超過に陥る直前にまで状況が悪化。事業の切り売りを余儀なくされる事態に陥った。それでも、白物家電事業については、事業終息ではなく、売却という道を選択できたことは、東芝にとってはプラスだったといえる。

だが、東芝の白物家電事業は、主要分野においてトップシェアの製品がないばかりでなく、最先端の独自技術を前面に打ち出したモノづくりの訴求に遅れた点は否めない。収益性が悪化するなかで、大胆な事業再編を行った結果が、ここ数年の後追い型の製品づくりにつながったともいえる。国産第1号製品を相次ぎ送り出してきたかつての企業文化に衰えが見られていたのは確かだ。また、中国やインドネシア、タイの生産拠点に生産をシフトしたものの、これが為替の影響を受けた点も経営にはマイナス効果だった。15年度には白物家電事業は赤字を計上しており、残念ながら、お荷物的存在となっていたのは確かであった。

東芝は、マイディアグループの傘下での事業再生のメリットとして、マイディアグループが持つグローバル展開、製品開発力、世界的ネットワーク、品質を組み合わせることで、事業シナジーが発揮できることを掲げている。特に、冷蔵庫や洗濯機では、それぞれ数千万台規模で生産しているマイディアグループの調達規模を活用。部品調達先を共通化することで、製品コストを下げられるメリットは大きい。これは統合効果として、短期間に反映されるメリットになりそうだ。

一方で、シャープの経営悪化の原因は、液晶一本足打法とも呼ばれた液晶事業への傾注だ。リーマンショックのときも、唯一影響を受けなかったのが白物家電事業であったが、それ以降も、白物家電事業を、液晶に続く、2本目の柱、3本目の柱に育て上げることができなかったことは、経営側の大きな責任であったといえよう。

だが、シャープには、いまでもヒット商品を生む土壌が存在し続けていると感じる。

お茶メーカー「お茶プレッソ」(14年4月発売)が発表当初の計画に対して約10倍の出荷台数となるヒットを記録したのは記憶に新しいが、16年に入ってからも、ウオーターオーブン「ヘルシオ グリエ」、ヘアケア機器「スカルプエステ」、加湿空気清浄機「蚊取空清」などのヒット商品を連発。いずれも、新たな市場を形成しながら、計画値を大きく上回る売れ行きをみせている。この体制が、鴻海傘下でも維持されるかどうかが今後の注目点だ。

両社の現状の課題をあげるとすれば、優秀な技術者の流出による影響と、今後も若い優秀な技術者を獲得し続けられるのかという点だろう。これが今後の両社の家電事業の行方を左右することになるのは間違いない。継続的に優れた製品を投入し続けることができるのか。中長期的視点では不安が付きまとう。

NECに次いで、富士通のパソコン事業もレノボ傘下に

業界再編の流れは17年も続くだろう。まず、富士通のパソコン事業がレノボ傘下で事業を再生する可能性が高い。

富士通は16年10月27日付で、「富士通およびレノボによるパソコン事業における戦略的提携の検討」と題したリリースを発表。その中で、グローバル市場に向けたパソコンの研究、開発、設計、製造に関する戦略的な提携を、両社で検討していることを発表。富士通ブランドを維持しながら、レノボ傘下でパソコン事業を推進する可能性を示した。

富士通は16年2月1日にパソコン事業を分社化。富士通クライアントコンピューティングを設立したが、2015年度(16年3月期)実績で100億円以上の赤字を計上し、出荷台数は前年比15%減の400万台にとどまっている。さらに、富士通では、テクノロジーソリューションを中核事業に据える一方、パソコンやスマホなどのユビキタスソリューションは中核事業から外することを示し、今後、収益性が悪いパソコン事業を連結対象から切り離すことで、富士通の田中達也社長が中期目標として掲げている営業利益率10%以上を実現するための歩みを加速する考えだ。

シャープや東芝の白物家電事業と同様に、親会社の調達力を生かしたコスト削減効果は大きく期待できる。2011年に、レノボグループ入りしたNECパーソナルコンピュータが、その調達コストのメリットを活用することで、サポートを無償化したり、世界一軽量なノートパソコンを開発したりといったような成果をあげていることからもそれは明らかだ。

しかし、かつてのレノボとNECパーソナルコンピュータとの統合では、グローバルモデルにより普及価格戦略を打ち出してきたレノボと、日本の市場ニーズを反映した付加価値モデルを中心とするNECパーソナルコンピュータには、製品ラインアップに補完関係があった。さらに、NECパーソナルコンピュータが持つ国内生産体制の活用のほか、量販店ルートなどへの強い実績、評価が高いサポート体制などを、レノボが活用できるというメリットもあった。

だが、ここに富士通が加わると、NECパーソナルコンピュータの製品との重複のほか、生産体制、サポート体制などにも重複が発生。製品ラインアップの見直しや大規模な再編が起こる可能性は捨てきれないだろう。パソコン市場全体が縮小傾向にあるなかで、どんな体制づくりをするのかが目下の焦点になる。

17年はM&Aで業界再編がさらに進む

かつては、日の丸企業同士の統合が中心だったIT・家電業界の大規模再編は、中国や台湾企業を巻き込んだものへと変化している。一方で、事業拡大に向けて、外資系企業を取り込むM&Aを活発化させる日本のIT・家電企業の姿も、日常の風景になってきた。

パナソニックは、18年度に向けて約1兆円の戦略投資を実行中であり、配線器具のヴィコ、自動車機器のフィコサ、業務用冷蔵庫のハスマンなどの海外企業を買収。先ごろ、自動車用ライトのZKWグループを買収することを明らかにした。

日立製作所も、18年度までに1兆円の投融資を行う姿勢を明らかにしており、「キャッシュポートフォリオを意識したM&Aを行っていく」(日立製作所の東原敏昭社長)と、実効性の高い買収を行っていく姿勢をみせる。

シャープも、工場売却およびブランド供与を行っていたスロバキアのUMCを、逆に丸ごと買収して、欧州テレビ事業に再参入するという荒技を実行。鴻海資本によって体質が大きく変わっていることを示してみせた。こういう予想外の買収劇も見られているのだ。

17年は、日本のIT・家電各社が、次の成長に向けて、買収の動きを加速する1年といえるかもしれない。もちろん、その一方で、日本のIT・家電企業の一部部門が売却されるということもあるだろう。企業の力強い成長のためには、強い事業への集中が鍵とされるなかで、各社のM&Aの手の打ち方が注目される1年になる。

大河原克行(おおかわら・かつゆき)
フリーランスジャーナリスト。1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、約20年にわたり、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。

[日経トレンディネット 2017年1月10日付の記事を再構成]

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