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落合カメラマンが選ぶ2016年ベスト交換レンズ

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日経トレンディネット

2016年は、デジタル一眼や高級コンパクトなどのデジカメ本体のみならず、交換レンズも魅力的な製品が多数お目見えした。各社の交換レンズを試用&購入する機会の多いカメラマンに、2016年でもっとも高い評価を与えたレンズ3本を挙げてもらった。描写性能に満足できるだけでなく、撮影が思わず楽しくなる優れた交換レンズはどれだろうか? 今回は、落合憲弘カメラマンのチョイスを紹介しよう。

【第1位】オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」

私はかつて「ニコンD4のセンサーでAF-S 28-300mm F3.5-5.6G ED VRを使いたいから」という理由でニコンDfを所有していたことがある。要するに、妙なこだわりを持つ高倍率ズーム好きってコトなのだが、2016年、そんなヘソ曲がりのハートを射抜いたレンズがコレ。「24-200mm相当の開放F値F4通し」という絶妙なスペックと、躊躇(ちゅうちょ)なく開放F値が使える高い描写力のコラボが、ヘソの曲がりを修正しても(至極まっとうな目線で見ても)なお多大なる魅力を感じさせたからである。

というワケで、発売前に予約を入れ、発売開始後10日ほどで無事に入手。いまは手にするたびにニヤケてます。ナニはトモアレ「便利ズームだから仕方がないよね」というありがちな妥協とまったく無縁でいられるのがいい。よく写りすぎて、かえってつまらない……なんてぜいたくもいいたくなってしまうのだけど、ズームレンズは味気なくとも描写力優先でぜんぜんオッケーなのであります!

ただ一方で、「このレンズを手に入れると自動的にOM-D E-M1 Mark IIが欲しくなってしまう」という想定外の展開にはとても困惑している。最大6.5段分にも及ぶとされている手ブレ補正効果は、現状E-M1 Mark IIとの組み合わせ時のみ発揮される点を抜きにしても、このレンズにもっともお似合いなボディーは、少なくとも今のところは、やっぱりE-M1 Mark IIだと思うのだ。愛用の初代E-M1で使っていると「このレンズの実力を100%発揮しきれていないんじゃないか」感がジワジワにじみ出てきてツラいんだよねぇ……。

というワケで、ボディーを手に入れるための言い訳はレンズ主導にてキッチリ整った。こりゃ2017年も荒れそうだわー(笑)。

【第2位】ソニー「FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS」

Eマウントの交換レンズで決定的に足りていなかった超望遠域をカバーする期待の1本。α6500が欲しくなっている……というのはベストデジカメ編でお伝えした通りなのだけど、もし同機を手に入れることになったら、自然の成り行きとしてこのレンズも手に入れることになりそう……ということでの2位選出だ。

個人的事情をさらに掘り下げるのなら、α7Sで使うためにすでに所有している「FE24-240mm F3.5-6.3 OSS」でも、まぁまぁイイ感じでカバーできそうな「望遠レンズの世界」ではある。でも、同レンズは10倍ズームだけに描写に関し物足りなさを感じることも(厳しい目で見れば)なくはない。となると、やっぱりコレも欲しくなる(買い換えの可能性もあり??)……という流れにあらがうことは困難で……。というワケで、言い訳の準備オッケーっ!(笑)

70-300mmクラスのズームレンズって、伝統的に(?)メーカーを問わずどれもけっこう描写力が優れているのだけど、ご多分に漏れず本レンズもキッチリ写る。そこも魅力のひとつだ。ついでに申せば、前出の24-240mmよりも(Gレンズであるがゆえに?)価格設定が高いところにもほんのり安心感をいだいていたりして。レンズってのは、まぁだいたい価格が高い方がよく写るものだからであ~る(自分に対する説得完了!)。

「高速性に優れるボディーは超望遠レンズとコンビを組ませなければ宝の持ち腐れ」との基本的思考(嗜好)を抱き続ける限り、この先しばらく、とりわけミラーレス機に関しては、望遠レンズの活用につき本件と似たような悩みや葛藤と対峙し続けることになりそうだ。いや、それもまた楽し、ではあるのだけどね。

【第3位】オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」

初めて触ったとき、まずはボディー内手ブレ補正がレンズ内手ブレ補正と手を組むことによって得られるハイブリッドな"効果"に驚かされた。ピタリと吸い付くかのように安定するファインダー像には、フレーミングのしやすさはもちろん、「これならかなりのところまで手持ちでイケそう」と単純に思い込ませるものがあったのだ。つまり、このレンズは「撮る前から撮れた気になってしまう魔性のレンズ」なのである。

実際に使ってみると、600mm相当というチョ~本格的な望遠画角を得るための単焦点レンズである点にはけっこうな覚悟が必要であるとあらためて感じることに。描写はハイレベルも画角調整は容易ではなく、手ブレはレンズとボディーが防いでくれても被写体ブレは自分で何とかするしかない。しっかり使いこなしたうえにさらなる満足を得ようとすると、否応なしに相応のスキルが求められることになるのだ。

でも、だからこそ使っていて楽しく、仕上がりを見て大満足なのである。その「満足」には、レンズの描写力に対するものだけではなく、このレンズをちゃんと使いこなした自分への「評価」も含まれるというのがMZD300mmF4ならでは。小さく軽い「ロクヨン」(600mm F4)だからなのだろう。デカ重い旧来のロクヨンとはまったく違った感覚で接することになるところがチョ~新鮮だ。

ロクヨンがこの価格で購入できると捉えれば、驚きと魅力は倍増する。でも、額面どおりの「300mm F4」であると見てしまうと実売価格には正直ビビる。そのへんのハイブリッドさも魅力のひとつ!? いや、でも、E-M1 Mark IIを手に入れたら絶対に欲しくなるわな、これ。何回か借りて使ってそう確信している私なのです。やべぇなぁ……。

落合憲弘(おちあい・のりひろ)
プロカメラマン。街中スナップ大好きのしがない写真撮り&物書き。生まれながらの天の邪鬼。もともと機材関係には興味がなく、そもそもカメラにもこだわりはなかったハズなのだが、デジカメ時代に突入してからは「より自分にピッタリの一台を追い求める」という都合の良いイイワケのもと、年間5~10台のデジカメを購入するハメに陥りつつ、青息吐息で現在に至る。

[日経トレンディネット 2016年12月29日付の記事を再構成]

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