ヘルスUP

日経Gooday 30+

男性の守り神「亜鉛」 正しくとれてる?

日経Gooday

2017/1/29

「毛髪」と「下半身」、男性の2大お悩みと密接に関連しているのが亜鉛だ(c)ljupco -123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

男性のお悩みのツートップともいえる「下半身」と「毛髪」の問題。この2つに関連している栄養素が「亜鉛」だ。既にサプリメントで取り入れている人もいるだろう。しかし、たっぷりとっても吸収されていない可能性があることをご存じだろうか?

■亜鉛が不足すると男性機能が低下する

亜鉛は成人では体内に約2gほど含まれ、血液や皮膚に多く存在する。臓器では、骨、筋肉、腎臓、肝臓、脳に多く含まれている。

「亜鉛は、男性では前立腺や性腺に高濃度に含まれていて、性ホルモンの合成や精子の生成などに深く関係しています。亜鉛が欠乏すると性的な機能が低下する可能性があり、アメリカでは亜鉛は“セックスミネラル”とも呼ばれています」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)

性欲低下や勃起障害の原因はいろいろあるが、1つには、男性ホルモン(テストステロン)の減少がある。亜鉛とこれらの関係はよくわかっていないが、毛髪の亜鉛の濃度が高い男性は、血中のテストステロン値が高いという報告がある[注1]

つまり、テストステロンの維持には亜鉛が有効と考えられるのだ。

[注1]Chang et al. Biol Trace Elem Res. 2011

■頭皮を健康に保つ亜鉛

「亜鉛は細胞分裂を正常に行って正しく細胞を作ったり、たんぱく質を合成したりすることに関わっています。そのため、体の成長に欠かせません」(上西氏)。

日本では見られないが、発展途上国では、亜鉛不足による子どもの低身長・低体重、第2次性徴の遅れなどが見られるという。

亜鉛は大人にとっても重要だ。亜鉛はとくに、細胞の新陳代謝が盛んな組織・臓器に必要とされる。そのうちの一つが皮膚だ。「亜鉛が欠乏すると皮膚炎が起こります。入院中の高齢者などで床ずれがある人は、亜鉛が不足すると症状が悪化します」(上西氏)。

亜鉛不足は抜け毛の原因になることもある。それは、亜鉛が皮膚の新陳代謝と深く関わっているためだ。「動物実験では明らかですが、ネズミを亜鉛欠乏にさせると毛が抜けてきます。これは、皮膚の状態が悪くなるためだと考えられます」(上西氏)

■亜鉛が不足すると味覚障害にも!?

亜鉛不足になると、味覚障害になる可能性もある。私たちの体のなかで細胞分裂が盛んな場所がもう一つある。それは、舌の表面にある味蕾(みらい)だ。味蕾は味を感じる器官で、味細胞と支持細胞から成るが、味細胞は約10日間で生まれ変わるといわれている。

「亜鉛が不足すると、味蕾の新陳代謝が十分に行われなくなるため、味がわかりにくくなったり、感じなくなります。また、何も食べていないのに塩味や苦味を感じたり、何を食べても嫌な味になるケースもあり、思いのほか辛い症状です」(上西氏)

■ベジタリアンや加工食品ばかりの人は要注意

亜鉛は魚介類のカキに豊富に含まれていることが知られているが、貝や肉などの動物性食品に多く含まれているのが特徴だ。

「亜鉛は通常の食事で欠乏することはまずありませんが、植物性食品に偏った食生活を送っている人では不足することがあります。また、味覚障害は若い女性に多いという報告があります。これは、肉を食べないような極端なダイエットが原因の一つだと考えられます」(上西氏)。

亜鉛は吸収率が低く、腸管からの吸収率は約30%ともいわれている。「穀類や豆類に多いフィチン酸や青菜に多いシュウ酸は、亜鉛と結合することによって亜鉛の吸収を妨げるため、ベジタリアンの人は、とくに亜鉛が不足しやすく注意が必要です」(上西氏)

では、肉をしっかり食べていれば大丈夫かというと、そうともいえない。「加工食品に含まれている添加物のリン酸塩やポリリン酸なども亜鉛の吸収を妨げます。つまり、加工食品ばかりの食生活を送っている人も亜鉛が不足しやすくなります」(上西氏)

■「1度にたくさん」よりも「こまめに」とるほうが効率良し

ここまで読んで、亜鉛をたっぷりとろう! と思った方もいるだろう。しかし、「亜鉛不足が原因で男性機能が衰えていたり、脱毛している場合には、亜鉛の摂取が有効ですが、そうでない人が過剰にとっても、効き目があるかどうかは疑問です」と上西氏は言う。

亜鉛のサプリメントは男性に人気だ。しかし、あくまでも、“不足している人がとれば有効”ということを忘れずに、冷静に利用したいものだ。

「亜鉛は1度にたくさんとると吸収率が低下するという特徴があるので、サプリメントで摂取する場合、高含有量のものを1日1回とるよりも、低含有量のものを数回にわけてとるほうが有効です」(上西氏)。

亜鉛は食品からとる分には過剰症の心配はないが、「サプリメントで多量の亜鉛を継続的に摂取すると、銅や鉄の吸収が阻害され、貧血になることがあります。また、抗酸化酵素であるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)の活性が低くなるという報告もあります」(上西氏)。

男性機能を高めたり、発毛を促したい場合、亜鉛だけに注目するのではなく、バランスのいい食事を心がけることが重要だ。

■この人に聞きました
上西一弘(うえにし かずひろ)さん
女子栄養大学栄養生理学研究室教授。徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバーを勤める。

(ライター 村山真由美)

[日経Gooday 2016年1月12日付記事を再構成]

さらにパワーアップ! 名医・専門医紹介サービスも始まります

有料会員制WEBサービス『日経Goodayマイドクター』(日本経済新聞社、日経BP社)は、医療・健康に関する確かな情報をWEBマガジンでお届けするほか、電話1本で体の不安にお答えする「電話相談24」を提供。3月1日に大幅リニューアルし、毎月の特集をパワーアップ、サイトデザインも一新します。さらに名医・専門医紹介サービス「ベストドクターズ(R)」を導入します!


ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL