コレステロールと中性脂肪 どうすれば正常化する?

日経Gooday

悪玉が高い人は、まずは肉や卵など動物性脂肪の摂取をやめてみる(c)bogumil -123rf

寺本 家族性の脂質異常症の場合は別ですが、生活習慣が原因の場合は、生活を変えれば改善するはずです。そのため、通常、すぐには薬を使いません。高LDLに対しては運動はあまり効きませんが、食事療法は効果が高く、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取量を減らすと効果があります。

食事を変えるにあたり、まずは1カ月間、肉や卵などの動物性脂肪を徹底的にやめてもらいます。その生活を一生続けるわけではなく、その人の体が食事の変化に反応するかどうかをテストするのです。食事を変えて反応が出る人は、LDL値が顕著に下がります。1カ月で20%も下がる人もいるほどです。反対に、食事を変えても反応しない人には、薬による治療を検討します。

また、中性脂肪が高い人には、別のアプローチが必要です。男性はお酒をよく飲む、女性はお菓子が好き、という具合に男女で傾向がきれいに分かれるので、性別によって生活指導を変えていきます。

――最近は「食事に含まれるコレステロールは気にしなくていい」という報道もありましたが、本当ですか。

寺本 食事に含まれるコレステロールが血中のコレステロール値に与える影響は、個人差が非常に大きいのが特徴です。日本人は、食事のコレステロールに反応する人・しない人の割合が半々くらい。コレステロールの摂取量と血中コレステロール値が比例しない人も多いのです。こうした理由で、厚生労働省が作成する「日本人の食事摂取基準2015年版」では、コレステロールの摂取上限値が撤廃されました。

だからといって、好きに食べていいと考えるのは誤解です。脂質異常症の人の中には、コレステロール摂取量が多いために発症する人も確実にいます。その人たちのコレステロール摂取量を制限しなければ大変なことになります。やはり1カ月のテスト期間で食事への反応を見てから、その人に合った生活を見つけることが大切です。

LDLや中性脂肪が高い場合の薬物療法はどのように?

――悪玉のLDLが高い場合は、どのような薬を使うのですか。

寺本 食事を改善しても効果がなければ、薬を検討します。でも、動脈硬化がない人に薬は必要ありません。まずは頸動脈エコーで動脈硬化があるかどうかを調べ、動脈硬化が確認された人に対して薬物治療を行います。

高LDLの患者さんに対して、9割以上の割合で使うのがスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)という種類の薬です(表2)。スタチンは安全性と有効性が立証された薬で、約3割の動脈硬化が予防できます。スタチンは、コレステロールが末梢血管に運ばれた時に、細胞がコレステロールを利用するためのゲート(LDL受容体)を開かせる作用を持っています。細胞がコレステロールをどんどん受け入れれば、血中にLDLがたまらず、LDL値は下がっていきます。

スタチンの効果を高めるために、エゼチミブ(商品名ゼチーア)という薬を併用することもあります。エゼチミブは、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬と呼ばれ、コレステロールが小腸から吸収されるのを阻害し、LDL値を下げる働きがあります。

また、2016年4月以降、エボロクマブ(レパーサ)やアリロクマブ(プラルエント)という新薬が発売されました。

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