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進藤麻美さん デビューのラ・カンパネラ

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NIKKEI STYLE

ドイツで研さんを積んだピアニストの進藤麻美さんがCDデビューした。リストの「ラ・カンパネラ」やスコットの「蓮(はす)の国」など、名曲から無名の佳品まで11作品を自ら選んだ「アフターグロウ~残像~」。特定の作曲家の大作・全曲演奏が増える傾向の中で、詞華集(アンソロジー)のような独自のプログラムでCD録音と演奏会に臨む彼女の芸術志向を探った。

東京都調布市の仙川フィックスホール。鐘の音を思わせる高音のトリルが細密に鳴り響く。誰もいない小ホールで進藤さんが弾くフランツ・リスト(1811~86年)の超有名曲「ラ・カンパネラ」。2016年11月にリリースしたデビューCD「アフターグロウ~残像~」(発売元 ナミ・レコード)に収録している。ピアノのレパートリーの中では最高難度といわれる曲の一つで、大小の音量で全編にわたり超絶技巧を要する。しかしCDに収めたのはこうした有名曲や難曲だけではない。「聴いてくれた人の心に何らかの残像が浮かぶような曲を選んだ」と彼女は話す。それはまた彼女自身に「かつてない感情が湧き起こり、見たことのない風景が広がり、いつまでも余韻が残る音楽」でもあるという。

イタリア語で「鐘」を意味する「ラ・カンパネラ」から連想したのか、祖父が鐘の鋳造工場を経営していたため鐘の音が鳴り響く中で育ったスペインの作曲家フェデリコ・モンポウ(1893~1987年)の「湖」という珍しい作品もCDに収めた。「静かな曲もにぎやかな曲もある。作品の知名度も様々です」。謎の多い英国の作曲家シリル・スコット(1879~1970年)の「蓮の国」、コンテンポラリーダンスの音楽も手掛けるオーストラリア・シドニー在住の現代作曲家カール・ヴァインの「ピアノ・ソナタ第1番」などは初めて聴く人が多いだろう。そんな無名曲の合間にドビュッシーの「月の光」のような超有名曲が入っている。不思議な感覚のアルバムだ。

デビューCDは独自選曲のアンソロジー

ロックやポップスのアルバムでは自作を含め作品を独自の選曲で並べるのはむしろ普通のことだ。しかしクラシック音楽では最近、ある作曲家の曲集を一貫して完璧に全曲演奏し録音することが当然とされる風潮が強い。一方で1曲ごとのインターネット音楽配信の時代でもあるため、アンソロジー仕立ての楽しい小品集は意外に少ない。そうしたアルバムがあったとしても、自ら作曲も手掛ける演奏家が脚光を浴びがちで、ピアノやバイオリンでポップな自作を並べたCDが多いのが実態ではないか。逆に演奏家に徹し、独自の世界観や音楽観、コンセプトで他作を選んで編集するタイプのアルバムは今や貴重だ。

進藤さんの「アフターグロウ」は1曲目のモンポウ「湖」から2曲目のラフマニノフ「前奏曲 作品23 第4番ニ長調」へと、スペインとロシアという異なる国の作曲家の作品が、相通じる幻想風でロマンチックな雰囲気で流れていく。3曲目のプロコフィエフ「《3つのオレンジへの恋》より〈行進曲〉」から4曲目のサティ「《薔薇(ばら)十字団のファンファーレ》より第3曲〈大僧院長の歌〉」には空想的で神話風の雰囲気が立ち込める。メンデルスゾーンの「甘い思い出」からリストの「ラ・カンパネラ」、スコットの「蓮の国」からドビュッシーの「月の光」への流れもスムーズで聴きやすい。ヴァインの「ピアノ・ソナタ第1番」では繊細さと豪快さを併せ持つ超絶技巧の演奏を聴かせる。

知られざる作曲家と作品を発掘して弾く

「私はショパンやベートーヴェンの全曲演奏会を手掛けるようなタイプのピアニストではない。人気の名曲とともに、知られていない優れた作品を発掘し、多くの人々に聴かせたい」と話す。桐朋学園大学研究科を修了後、ドイツの国立リューベック音楽大学に留学し、同大学院を最高点で修了した。「欧州で学んで分かったのは、日本で知られていない作曲家がいかに多いかということ。ショパンやリストなど有名な作曲家はほんの一部。演奏される作品はもっと限られている」。留学中にある音楽の辞書をプレゼントされた。「知らない作曲家がいっぱい載っていた。そこから調べ始め、珍しい曲に出合った」と言う。

1月22日に仙川フィックスホールで「進藤麻美CD発売記念ピアノリサイタル」を開く。同公演ではCDに収録しなかったショパンの作品も弾く。「普段はショパンもよく演奏している」と語り、ショパンへの愛着も示す。しかしショパンはピアニストならば誰でも弾くほどメジャーな作曲家。「もっと知られていない作曲家や曲を紹介していきたい」と話す。

インタビューの日、進藤さんはリストの「ラ・カンパネラ」のほか、今度のリサイタルで弾くショパンの「幻想即興曲」と「ノクターン第2番」も練習した。CD収録のメンデルスゾーンの「甘い思い出」も弾いた。「コンサートでも独自の選曲にこだわりたい」という彼女に、この日練習したリスト、ショパン、メンデルスゾーンの曲目ならどんなテーマのアンソロジーになるか聞いた。「3人とも国を越えて活躍し、それまでに無かった新しい形式のピアノ音楽を書いた作曲家」と指摘する。リストは超絶技巧練習曲、ショパンは即興曲、メンデルスゾーンは無言歌。発明や新様式、新感覚がテーマとなるのだろう。アンソロジーの独創性と音楽センスが新たなアルバムやリサイタルを発明していく。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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