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支え合えるパートナーを探して 少しずつ恋愛に復帰

[池沢詩織さん(仮名) 第4回]

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NIKKEI STYLE

こんにちは。ライターの大宮です。仕事も恋愛も「波」がありますよね。何気なく暮らしているだけでうまくいってしまう時期もあれば、何をしてもダメなときもあります。運不運もあるとは思いますが、僕は次のように理解をしています。

社会における自分の相対的な価値をA、自分自身の絶対的な価値をBとします。時代の流れによってAは変わっていきます。わかりやすい例で言えば、相撲ブームが起きたら力士がちやほやされますよね。もちろん、強くて立派な力士になる努力は大切です。でも、立派な力士が社会的に認められるか否かは、AとBがたまたま一致するかどうかに大きくかかっています。

恋愛においても、自分が属している社会集団でモテの波が来たり去ったりするものです。自分にできることは心身を健康に保ち、清潔・親切・明朗を心がけることぐらい。あとは波に身を委ねるしかありません。どうせコントロールはできないのですから。モテるときも調子に乗りすぎてはいけないし、さっぱりモテなくても卑屈になる必要はありません。

離婚の傷も癒えて少しずつ…

大手メーカーの財務部で働く池沢詩織さん(仮名、40歳)は、バツイチのシングルマザー(前回記事:「バツイチでも男ならモテるのに 恋愛の仕方を忘れた私」)。32歳で結婚をするまでは、恋人が途切れたことがなかったそうです。合コンなどに参加した際は、一番しっかりしている男性からデートに誘ってもらえていました。詩織さんが華やかな美人であることも大きな要因ですが、「そういう波が来ていた」と考えることもできます。人によっては、40代後半からモテ始めたりしますからね。

35歳のときに離婚してから5年間は「無風」だったと振り返る詩織さん。離婚の傷も癒えてきた最近は少しずつ風が吹き始めています。

「通勤電車の中でいつも隣に座ってくる男性がいます。あるとき話しかけられて、半年ぐらいは受け流していたのですが、昨年の春先から食事をするようになってしまいました」

残念なことに、その男性は既婚者です。詩織さんは「既婚者は嫌だよ」と何度も断りました。でも、昔から「仕事ができる営業マン」に弱いこともあって、ガツガツした彼に押されて折れてしまったのです。

「自分とあまりに違うタイプなので興味があるだけです。好きだという感情はありません。もう会うのをやめようかなと思っているところです」

一方で、婚活パーティーにも3回ほど参加しています。そういう場で会う男性は好みのタイプではないことが多く、お茶や食事をともにする気持ちにはなりにくいと詩織さんは明かします。

「一緒にいるところを知り合いに見られたとします。婚活パーティーで私にアプローチしてくれた人は、今のところ『見られても大丈夫じゃない人』ばかりです」

「また専業主婦を要求されたら無理」

正直な女性だなと僕は思います。誰かを「好き。一緒にいたい」という気持ちの中には「他人からどう評価されるか」という要素も入り込んでいるからです。「すてきな人に愛されているんだね」とほめられたらうれしいし、「どうしてあんな人と付き合っているの?」なんて言われたらへこんでしまいます。

「私自身もモテているわけではまったくありません。『40歳の子持ち』という条件で落とされたりしています」

恋愛や結婚へのアンテナが鈍っていると自覚している詩織さん。現在は、特に40代の独身男性とできるだけたくさん会うことで、再婚相手候補の「サンプル調査中」です。

「婚活パーティーで、48歳のバツイチ子なし男性とマッチングしたことがあります。でも、その人はご飯を作ってくれる女性が早くほしい、支えてほしいという気持ちが強いことがわかりました。私はそこまで家庭的でないので期待には沿えません。また専業主婦になることを要求されたら無理です」

バリバリと仕事をしている自信家が好きだけれど、励まし合い支え合える対等なパートナーがほしい――。ちょっと難しいけれど、あきらめる必要はありませんよね。詩織さんの場合は「40歳の子持ち」という点に負い目を感じないことが大事だと思います。「子どもはもういるので、子どもが欲しい人でも欲しくない人でも受け入れられる。ちゃんと働いているので養ってもらう必要もない。30歳でも50歳でも、仕事熱心で生き生きしている独身男性なら大歓迎!」ぐらいの広やかな気持ちを心がけたらいかがでしょうか。そんな詩織さんにひかれる男性は少なくないはずです。

(来週は新たなキャリア女子のラブストーリーをお届けします)

大宮冬洋(おおみや・とうよう)
 フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。電子書籍に『僕たちが結婚できない理由』(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京もしくは愛知で毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/

「キャリア女子ラブストーリー ~アラフォーからの恋愛論」バックナンバー

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