PC用キーボード、売れ筋トップは2万円の静音モデル
秋葉原の老舗PCパーツショップであるTSUKUMO eX.にて、パソコン向けキーボードの売れ筋を取材した。売り場には1000円弱から2万円台まで多彩なモデルが並んでいるが、同店スタッフの真鍋秀樹氏は「高級機になると、購入するブランドをある程度決めて来店される方が多く、数モデル試し打ちして選ばれるパターンが多いですね。もちろんゼロから買い物される方もたくさんいらっしゃいますが、ブランドごとに個性がはっきりしているので、初めてでも選びやすいんじゃないかと思います」という。
同店の売れ筋モデルは以下のとおりだ。
1位●REALFORCE 108UH-S、東プレ、1万9029円
静電容量無接点方式を採用した日本語フルキーボード。テンキーを含む全キーが静音仕様で押下圧は45gとなっている。接続はUSBで、サイズはW456×D169×H39mmだ。
2位●Blackwidow X Chroma JP、Razer、1万7000円
1680万色に光る日本語配列キーボードで、フラットベースを採用している。キースイッチは独自開発のメカニカルで、押下圧は50g。接続はUSB接続となる。サイズは非公開。
3位●Majestouch 2 FKBN108MRL/JB2、ダイヤテック、1万3704円
Cherry MXシリーズの「赤軸」を採用した日本語メカニカルキーボード。接続はUSBとPS/2に両対応する。押下圧は45gで、サイズはW440×D138×H28.5mmとなる。
4位●Logicool Wireless Keyboard K275、ロジクール、1723円
メンブレン式スイッチを採用した日本語配列のワイヤレスキーボード。単4形乾電池2本で24カ月持つ仕様で、押下圧は60gとなる。本体サイズはW450×D155×H18mm。レシーバーが付属。
5位●COUGAR 200K、COUGAR、3980円
パンタグラフ式スイッチを採用した日本語配列のUSBキーボード。7色に光るバックライトを搭載しており、ゲーム用にショートカットも設定できる。サイズはW450×D165×H23mm。
パソコンに詳しい人が多く集まる秋葉原という土地柄もあって、高級モデルが上位に並ぶ構図になっていた。ヘビーユースで定番の「REALFORCE」と「Majestouch」の間に「BlackWidow X Chroma JP」が割って入っており、ゲーミングモデルの勢いも感じられる。それぞれのジャンルでライバルを抱えるなかで人気を得ている理由は何か。
オフィス御用達の「REALFORCE」、ゲーマー垂涎の「Blackwidow X Chroma」
一番人気となっていたのは東プレの「REALFORCE 108UH-S」だ。柔らかい入力感のある静電容量無接点方式スイッチを採用したREALFORCEシリーズ自体、プログラマーなどタイピング量の多い人に厚く支持されており、なかでも最近は静音性の高いこのモデルの売れ行きが目立っているとのことだ。
「机がズラッと並んでいる環境でも周囲を気にせずにしっかりとタイピングできるということで、職場にマイキーボードを持ち込みたいという人によく売れています。型番の指名買いよりも、REALFORCEのほかのラインアップと比較したうえで選ぶというパターンが多いかもしれません」
耐久性の高さにも定評があり、4~5年スパンで現行機種を買いに来る人も多いとか。「自宅用とオフィス用で2台購入するという方もまれにいらっしゃいますが、メインの一台を手に入れて大切に使い続けるというスタイルが多いのではと思います」
続く2位は、ゲーマー人気が過熱しているRazerの「Blackwidow X Chroma JP」だ。1680万色に光るLEDバックライトをすべてのキーに内蔵した「Blackwidow Chroma」の系譜にあるハイエンドゲーミングキーボードで、ベースのメタルプレートがフラットになっているのが特徴だ。キースイッチ部を囲うように掘り込んでいる一般的な形状と比べて、LEDの光が拡散しやすく、キーの手入れがしやすいなどの特徴がある。
「デザインの美しさから惚れ込んで購入する人が多いモデルです。バイト代を貯めて買いに来たという学生さんも珍しくありません。ハイエンドゲーミングキーボードながら、追加キーがズラッと並ぶデザインではないので、コンパクトで置き場所を選ばないといった強みもあります」
2大定番の「Majestouch 2」、エントリー層でロングヒットの「K275」
3位に入ったのは、ダイヤテックのFLICOブランドに属する「Majestouch 2 FKBN108MRL/JB2」だ。FLICOは昔からメカニカルキーボードの定番といえる存在で、REALFORCEとともに高級キーボードの2大ブランドといえる。「カチッとした入力感を重視する人はMajestouch、柔らかさを求める人はREALFORCEという感じで、好みがはっきりと分かれますね」
Majestouchにもテンキーレスやコンパクト型、無刻印タイプなどさまざまなバリエーションがあるが、先頭を切るのはスタンダードなフルキーボードタイプ「Majestouch 2」となる。さらにMajestouch 2のなかでも、キースイッチの種類によって人気が別れる。現在は押下圧が低くてタイプ音も抑えめの通称「赤軸」を採用した日本語配列のFKBN108MRL/JB2が一番人気だという。
「赤軸が広まる前は、中間的な押下圧の『茶軸』が一番人気でした。カチャカチャ音が強めで軽い『青軸』を好む人も多いですが、やはり職場で使うとなると静音性を重視する傾向が強まるので、トータルで見ると赤軸の売れ行きが目立ちます」
4位は、これまでから一転して低価格帯のモデルとなる。ロジクールのメンブレン式モデル「K275」だ。低価格帯のキーボードは1000円以下から選べるが、そのなかでK275が売れる理由としては信頼性が高くて長寿命といった特徴が挙げられる。
「単4形乾電池2本で24カ月使えるので、しばらく電池交換を気にする必要が一切ないんですよね。電源のオンオフスイッチがついているのも心情的にプラスです。加えて、国内の入力デバイスで実績の多いロジクール製品ですから、サポート面でも安心が得られる。そういった特徴があったうえで、取り回しやすさやデザインの良さが評価されて売れている印象です」
割安なゲーミングモデル「COUGAR 200K」も好調!
5位に入ったのはCOUGARのパンタグラフ式キーボード「COUGAR 200K」。こちらも3980円と比較的低価格な部類に入るが、7色に発色するLEDバックライトを内蔵しており、ゲームでよく使うWASDキーと矢印キーの機能をワンタッチで切り替えたり、プレー中のタイプミスを防ぐ設定を施したりするゲーム向け機能も備えている。
「ゲーミングキーボードが手に入れたいけれど予算が限られるという方によく選ばれるモデルです。また、ノートPCのタイプ感が好きで、背の高いキーキャップは打ちづらいという方にも評価が高いですね。虹色に光るキーボードがこの値段ということでよく驚かれます」
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。
[日経トレンディネット 2016年12月27日付の記事を再構成]
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