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新スパイダーマンが救う 街の治安とソニーの映画事業

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2017年が明けてすぐの1月7日、スパイダーマンの新シリーズとなる『スパイダーマン:ホームカミング』の場面写真が初解禁となった。全米で7月7日、日本では8月11日に公開される『スパイダーマン:ホームカミング』は、3年ぶりに登場するスパイダーマンの新シリーズ。主人公のピーター・パーカーは15歳の少年で、その高校時代のストーリーが描かれる。

今回、公式ツイッターで公開された特別映像では、新スパイダーマン・スーツが、天才科学者であるトニー・スタークから贈られたことが明らかになった。トニー・スタークは映画『アイアンマン』の主人公であり、自身の開発したパワードスーツを着用してスーパーヒーローのアイアンマンとして活躍する。もともとスパイダーマンも、アイアンマンと同じくマーベル・コミックが生んだキャラクターだが、これまでの映画では単独で活躍しており、今回の新シリーズで初めてマーベルの他の人気キャラクターと共演を果たす。

ヒット作が減ったソニーの映画事業

夏の超大作の世界公開に向けて、製作・配給元のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは新年早々から話題づくりに躍起だ。今回、設定を大きく変えて復活するスパイダーマンだが、実はその裏には製作するソニー・ピクチャーズが抱えている、映画事業の大きな課題がある。その事情を探ってみよう。

ソニー本体は「ゲーム、映画、音楽のエンタメ事業で稼いでいる」といわれるが、ソニー・ピクチャーズは近年元気がない。16年の総年間興行収入113億7500万ドル中、ソニーのシェアは8.0%で、ハリウッドの大手映画会社6社の中で5番目だ(Boxofficemojo.com調べ)。世界シェアは不明だが、米国でのシェアが低いということは「ヒット作があまりない」表れなので、世界でもシェアが低いと思われる。

2000年代のソニーは好調だった。シェア1位を02年、04年、06年に記録。『スパイダーマン』シリーズや『ダ・ヴィンチ・コード』が稼ぎ頭となった。だが、12年に『007 スカイフォール』『アメイジング・スパイダーマン』の大ヒットでシェア1位になったのを最後に、シェアは低下傾向にある。

苦戦の原因は売り上げの柱となる人気シリーズの少なさだ。各映画会社は年間に10数本から20本以上を劇場公開する。基本的なラインアップ戦略は、売り上げの柱となる人気シリーズを毎年公開しつつ、シリーズ化を視野に入れた大作(アクションが中心)を巨額の製作費をかけて作り、比較的予算の低い中規模・小規模の作品(感動ドラマやラブストーリー、サスペンスなど)で1年間を埋めていく。劇場興行収入が大きければ、その後のブルーレイ・DVD販売やテレビ放映権の売り上げも比例して大きくなる傾向にあり、各社は劇場での大ヒットが見込める大作の製作に力を入れる。

ソニーの作品で10年以降、米国で興行収入2億ドルを超えたのは『007』と『アメイジング・スパイダーマン』の2シリーズのみ。16年には、宗教象徴学者ラングドン教授が活躍する人気シリーズ作で7年ぶりに復活した『インフェルノ』、シリーズ化を視野に入れ女性主人公でリメイクした『ゴーストバスターズ』が公開されたが、2億ドルには届かず期待外れの興行成績となった。

ヒットシリーズの確立が急務に

片や16年にラインナップ戦略が最も成功したのがウォルト・ディズニーだ。16年のシェアは26.3%でトップ。実写映画では『スター・ウォーズ』の新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(全米年間興行収入ランキング1位)、マーベルのヒーロー映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(3位)、ディズニーの人気キャラクターを実写化した『ジャングル・ブック』(5位)が大ヒット、アニメーション映画ではピクサーの『ファインディング・ドリー』(2位)、ディズニーの『ズートピア』(7位)が大ヒット。5本柱で盤石の興行成績を収めた。

現状では『007』と『スパイダーマン』頼みになっているソニー。ところが、この2作品にも不安を抱えている。『007』シリーズはイオン・プロダクションズが製作し、ソニーが『カジノ・ロワイヤル』(06年)から配給してきたが、『スペクター』(15年)で配給委託契約が満了した。映画業界紙バラエティによると、ソニーをはじめユニバーサルやワーナー・ブラザースなどが今後の配給権を巡り争奪戦を繰り広げているという。さらに『カジノ・ロワイヤル』から『スペクター』までジェームズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグが肉体的な限界を理由にボンド役からの引退を示唆する発言をする一方、最近では続投に意欲を見せている。主役の行方も不透明だ。

一方、『スパイダーマン』はもともと02~07年にかけて、サム・ライミ監督による3部作が作られ大ヒット。『アメイジング・スパイダーマン』は監督と出演者を代えて新たにシリーズ化したものだ。12年に公開した1作目は興行収入が2億6200万ドルで、07年『スパイダーマン3』の3億3700万ドルを下回った。14年の2作目が2億300万ドルとさらに落ち込んだ。

マーベルとの共同製作に活路

スパイダーマンの人気下降を受けて、ソニーでは思い切ったテコ入れ策に打って出る。アイアンマンやキャプテン・アメリカなどの作品の権利を保有するマーベルとの共同製作だ。スパイダーマンはマーベルのキャラクターだが、ソニーが映画化権を取得して製作しており、マーベルが製作する映画には登場しなかった。それを共同製作に切り替えることで、マーベルは自社の映画にスパイダーマンを登場させることが可能になり、ソニーはスパイダーマン人気を高めることが期待できる。

さっそく、マーベルが製作して16年に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にスパイダーマンが姿を現し、評判は上々だ。そして、いよいよスパイダーマンの新シリーズとなる『スパイダーマン:ホームカミング』が今年の夏、全世界で公開となる。特別映像で表明されたように、アイアンマンも登場すると思われるので、話題が広がり大ヒットする可能性は高い。ソニーでは早々と2作目を19年夏に公開すると発表している。

ソニーは、『スパイダーマン』以外にもシリーズ化を視野に入れた大作を公開する。『ダーク・タワー』は全7部構成のスティーブン・キングのファンタジー小説の映画化、『ジュマンジ』は1995年に作られたアドベンチャー映画のリメイクだ。ユニバーサルの『ジュラシック・ワールド』の成功に代表されるように、過去のシリーズ作は知名度が高いため、うまく現代風にアレンジできれば大ヒットする可能性は十分だ。

ところで、ディズニーはファミリー向けのアニメ映画がラインアップの柱になっているのが強みだが、ソニーでは強力な柱になかなか育っていないのが現状だ。ソニーはアニメ映画に力を入れ、『くもりときどきミートボール』『スマーフ』『ホテル・トランシルバニア』とシリーズ作はあるが、2億ドルを超す大ヒットにはいたっていない。今年は『スマーフ』3作目の他、『エモジ・ムービー』『スター』と3本を公開する。

いずれにせよ、『スパイダーマン:ホームカミング』が今年のソニーの稼ぎ頭となるのは間違いなく、スパイダーマン新シリーズの成否が映画事業の行く先を占う試金石ともなる。スパイダーマンが劇中で果たす役割は、悪と戦いニューヨークの街の治安を守ることだが、ソニーからは映画事業の救世主という重い役割も負わされた。復活するスパイダーマンにかけられた期待は大きい。

(ライター 相良智弘)

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