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ノロウイルス、10年で2番目の流行 まだ拡大かも

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
下痢や嘔吐(おうと)、腹痛、発熱などの症状で知られる「感染性胃腸炎」を引き起こし、毎年、秋以降に流行が本格化するノロウイルス。国立感染症研究所と北里大学生命科学研究所の研究グループによると、この秋冬は、昨シーズンまで流行の注意を呼びかけていた新型ノロウイルス「GII.17」ではなく、予想外に変異した遺伝子型「GII.2」が猛威をふるっている。それにより感染性胃腸炎が過去10シーズンで2番目の流行を記録し、厚生労働省が注意を呼びかけている。

2016年の第 50 週(12 月 12 日~18 日) の感染症発生動向調査では、感染性胃腸炎の小児科定点当たりの患者数が、過去10シーズンで2番目に多い数字(20.89人/週)となった[注1]。その後、第51週では、17.28人/週となったことから、小児における感染性胃腸炎の流行はピークを越えたと見られる。

しかし、まだ油断はできない状況だ。というのも、今シーズンの感染性胃腸炎の原因のほとんどがノロウイルス、特に変異型ウイルスである「GII.2」によるものと推定されているからだ[注2]。子どものピークが収まった後、子どもから大人へと感染し、今月末に向けて食中毒が増えていくことが危惧される。

実際、国立感染症研究所の集計によると、2016年11月のノロウイルス流行株は、80%以上が「GII.2」だった(12月の集計は1月末に出る予定)。

上記研究グループの片山和彦教授(北里大学北里生命科学研究所・感染制御科学府ウイルス感染制御学I)らの解析によると、今期流行している「GII.2」は、従来から流行がたびたび報告されている「GII.2」の遺伝子配列が変化し、ノロウイルスの表面の抗原性に変化が生じた変異株であることが明らかになっている(抗体が異物を認識して結合するための標的となるものを「抗原」と呼ぶ。抗原性変化とは、抗体が結合する標的部分のアミノ酸配列が変わってしまうこと。それによって、抗体が結合できなくなり、感染を防御できなくなる)。

「従来流行していたGII.2に対して人々が獲得した免疫が、このGII.2の変異株に対して効果を発揮しにくくなり、流行が拡大しているのではないか」と片山教授は話す。

[注1]IDWR速報データ 2016年第50週
[注2]2016年12月2日のIASR速報として報告された宮城県の流行事例や、2016年12月21日に千葉市より報告された流行事例による

今シーズンは変異型ウイルスが主流に

片山教授によると、ノロウイルスについてきちんとしたデータが集められるようになった2004年以降、流行の主流は2010年を除き、ほぼずっと「GII.4」と呼ばれる型だったが、2015年2月以降、「GII.17」型がこれに取って代わった。「GII.17」型は全く新しい抗原性を持つため、大流行することが危惧されたが、2014/15年シーズン全体の流行状況を見ると流行株全体の17%程度、2015/16年シーズンには19%程度にとどまる小規模な流行となった。

そして今シーズン(2016/17年シーズン)は、前述した通り、「GII.2」変異株が流行株の約80%を占めている。単一の遺伝子型の占める割合が約80%に達するのは、2006/07年シーズン、2012/13年シーズンに流行した「GII.4」以来のこと。「GII.2変異株の流行が、2017年1月以降の大規模な食中毒につながる可能性があり、一層のノロウイルス感染予防策が必要だ」と片山教授は警告する。

変異型ウイルスが主流になると感染者が増えるワケ

新型や変異型のウイルスの出現が怖いのは、一つは、人がそれまでに獲得した免疫が役に立たなくなるからだ。もう一つは、医療機関で使われているノロウイルスの診断キットでは検出できないことがあるという点だ。

ノロウイルスは、一度感染すると、1~2年の間は同じ型のウイルスに連続して感染することはまずないとされている。「ただし同じ型でも、ウイルス粒子表面が少しだけ変異して起きるわずかな抗原性変化により、感染者が獲得した免疫が作用しにくくなることもある」と片山教授。

「2006/07年シーズンにノロウイルスが過去10シーズンで最大の流行となったのも、それまでと同じGII.4型ながら、ほんの少し変化したことが原因だったといわれている。今シーズンはこのときのGII.4のように、過去に流行したGII.2に対してわれわれの免疫が作用する部分に集中して変異が入っており、感染する人が増えた可能性がある」

また、ノロウイルスの診断キットは3歳未満、65歳以上の人には保険適用されており、感染で重症化しやすい年齢層は従来これでカバーできていたが、今シーズン流行している「GII.2」変異株は、2014年に出現した新型「GII.17」と同様に診断キットでは検出しにくい場合があるという。

それがどういう危険性をはらむのか。片山教授によると「今シーズンも、診察した医師が診断をキットに頼ってしまうと、ノロウイルスなのにノロウイルスではないという診断を下し、それが感染拡大につながる可能性がある」という。

家庭内のウイルスを外に持ち出さないよう注意が必要

さらに、感染症発生動向調査において、感染性胃腸炎の定点当たり報告数が12月に高くなるシーズンは、年明け以降の集団食中毒の発生件数が多くなる傾向があるという。2006/07年シーズン、2012/13年シーズンがそうだったが、今シーズンも同じことが懸念される。

こうした傾向が見られるのは、年末年始休暇中などに子どもから家族内に感染が広がり、年明け以降に、大人が職場にノロウイルスを持ち込みやすくなることが原因の一つだ。大人が食品関係の職業従事者である場合、それが集団食中毒の原因となり得るわけだ。

「特に大人の場合、子どもから感染を受けても症状の出ない『不顕性感染』になることも多く、それが感染拡大の原因になりやすい」と片山教授。家族内に感染者がいる場合、家庭の外にノロウイルスを持ち出さないよう、トイレ後の手洗いの徹底など、細心の注意が必要だ。

「トイレの後や、食物に触れる前の手洗いを徹底することにより、二次感染、三次感染を食い止め、子どもから大人、大人から大規模食中毒や院内感染などに広がらないようにする必要があります」(片山教授)

◇   ◇    ◇

この冬は「GII.2」変異株が流行しており、1月以降、ノロウイルス食中毒が多発する可能性があること、集団食中毒の患者からさらに周囲の人へとノロウイルスが広がれば、感染者が加速度的に増え、かつてないほどの大流行となる可能性があることが分かった。では、私たち一人ひとりはどんなことに気を付ければいいのか。具体的な対策については明日公開の続編「ノロ対策 トイレは腕まくり、アルコール消毒より石鹸」で紹介する。

この人に聞きました

片山和彦(かたやま かずひこ)さん
 北里大学北里生命科学研究所・感染制御科学府ウイルス感染制御学I教授。1985年、東京農工大学蚕糸生物学科卒業。東京大学農学生命研究科にて獣医学博士、株式会社ビー・エム・エル基礎研究部、国立感染症研究所(ウイルス第二部第一室長)などを経て、現職に。国際ウイルス分類委員会(ICTV)・カリシウイルス研究グループメンバー、国際カリシウイルス会議役員。

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