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有安杏果 失敗がおしゃれに見えるってやばい!

ももクロVS伝統工芸/有安杏果、「笠間焼」に挑戦(5)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

「わからないっ。どうしたらいいのーっ!」。陶芸を学ぶ同世代とモノづくりについて語り合うなかで、ももクロの有安杏果さんから、こんな苦悩の言葉が飛び出した前回。今回は、その言葉の裏側にある思いも明らかに。茨城県立笠間陶芸大学校の3人の生徒のみなさんとの座談会の続編から有安さん作の陶芸作品の完成披露までお伝えします![前回はこちら]

「誰かを思って作る」ということ

2016年は、有安杏果さんが大きな階段を上った年になりました。ももいろクローバーZの活動と並行して、初のソロ・コンサートに挑戦。7月に横浜アリーナで1万人の観客で沸かせ、11月には大分公演も成功させたのです。しかも各公演のために自ら新曲を書き下ろし、ドラムやギター演奏も披露するなど、アーティストとしての顔も印象づけました。

実は笠間陶芸大学校での体験取材が行われたのは、大分公演を目前に控えた時期。陶芸を学ぶ生徒さん3人と同様、有安さんも「表現」と向き合っていたのです。

有安さん ソロコンの準備は、今回の陶芸と同じで、本当に思い通りにいかないことが多くて……。曲を作ろうと思っても、作れない時は作れないし、書けない時は詞も書けない。気分が乗る時と乗らない時が……あるよね?

石川晃平くん あります(笑)。

有安さん だから作れる時にガーッと作って、作れない時は、絞り出す(笑)。でも大分用の曲は、前の横浜の時とは作り方が違っていて。横浜の時は、自分に嫌なことがあった時とかに、自分を励ますために歌詞を書いたりしてたんですけど、今回は、自分ではなく、第三者のために書こうと思ったんです。九州ですし、熊本地震の復興の願いも込めて。そうするとやっぱり、前回とは違うんですよ。誰かのために書こうとすると、詞も曲も変わる。陶芸も同じじゃないかな?

大和田友香さん そうですね。ここにあるお皿は、友人にあげることを想定して施釉(せゆう。釉薬で色をつけること)したものなんです。そうやって作ったものは、普段と作品の色や質感も変わります。

有安さん 誰かを思って作ったものと、自分が作りたいもの。どっちもいいものになると思うんだけど……私は、自分が作ったもので、誰かに何かを感じ取ってもらえるって、すごいことだと思う。私は物心付く前からこの仕事(芸能活動)をしていて、その頃から感じていたこと。だから続けられたというか。

「自分の中でバランスを取っていくことが大事」

有安さん 晃平くんやしおりちゃんは私より2歳若くて(2人は19歳)、まだ好きでモノ作りをしているだけでもいい年だと思うんだけど、もう「仕事にしたい」とか思ったりするの?

石川くん できれば陶芸で、自分で食べていけるだけのお金は稼げるようになりたいです。

弓野しおりさん 私も独立して、自分の窯(かま)を持ってやっていきたい。できれば芸術としての陶芸を追求したいんですけど、芸術だけではなかなか食べていけないと思うので、陶器作りなどのクラフトと両方できるっていうのが理想かなと思います。

26歳と年長で、実際にアパレルメーカーに勤務した経験もある大和田さんはどうでしょうか。

大和田さん 私はどちらかというとクラフトの方に力を入れてやっていきたい。アルバイトなどで陶芸作家さんの下につくと、経済的に厳しい面なども感じられたりするんです。でも「好き」という思いがあれば、どんな困難も乗り越えられると思っているので、がんばりたいです。

有安さん 陶芸のことは素人だけど、芸術家と職人という2つの面があると思う。そこでたぶん、職人として作業ばかりやっていると、自分がロボットになったような気持ちになると思うんですよ(笑)。だから作業ばかりになりそうなときは、一回芸術の方に行って、また作業の方に戻ってくるとか。うまくバランスを取っていくといけるといいのかな。

大和田さん そうですね。

有安さん 陶芸と歌というふうに道は違うけど、「誰かに何かを感じてもらいたい」という部分では、たぶん一緒だと思う。がんばりましょう、ね、晃平くん!(笑)。

石川くん あ、はい(笑)。

「陶芸教室を始めたりしたら、ぜひ来てください」(大和田さん)、「行く行く!」(有安さん)といったアフタートークも盛り上がった座談会。4人がいつかまた、再会する日が来ることを願います。

有安さん 卒業してお店を出すときは教えてね。絶対に買いに行くから。

最後に笠間陶芸大学校の学生たちと記念撮影して、有安さんは笠間を後にしました。

先生も絶賛の初陶芸作品の出来栄えは?

それから約1カ月後。有安さんの作品が焼き上がったと聞き、NIKKEI STYLE編集部はまた陶芸大学校に向かいました。迎えてくれたのは、取材をサポートしてくれた尾形尚子先生と、講師で陶芸家の根本達志先生。残念ながら大和田さんたち生徒さんは授業中ということで、2人の先生が、完成作品を披露してくれました。

上が有安さんが作った直後、そして下が3人が施釉して焼き上げたものです。とてもきれいに仕上がっていますが、でも、なんだか小さくなってるような……。

根本先生 焼くと小さくなっちゃうんですよ。だいたい15%くらいは収縮しますね。

尾形先生 でも、出来はすごくいいですよ。

根本先生 うん。私なんか酒飲みだから、みんな良いグイ飲みに見えます(笑)。冷酒を入れて飲んだら、スイスイいけそう(笑)。

よく見ると、底に穴が開いている作品もあります。有安さんが最初にろくろ成形に挑んだ作品です。

根本先生 これは典型的な「底締めが甘かった」ものです。最初に粘土を上から押して、底を作りますよね。その時に、ギュッと力を加えて底を固めておかないと焼く前にひびが入ったりするんです。

「底締めが甘い」に加え、「底が厚い」と割れやすくなるとのこと。そこで素焼き前に、根本先生がカンナで底を薄く削っておいてくださったそうですが……。

根本先生 ギリギリのところまで削ったんですけど、穴が開いてしまいました。でも、いいんです。開いたら開いたなりに、植木鉢としてお使いいただくこともできるので。

失敗しても、その作品の「景色」になる

根本先生 それぞれが自分の個性を有安さんに投影して、一番得意な釉薬(ゆうやく)をかけたんです。まずは、大和田さん。これはビードロ釉を上から流してるんですよ。難しいんですけど、これは非常にうまくいった。若い女の子が作ったとは思えない、もう売れるレベルです(笑)。

根本先生 弓野さんのも個性が出てますね。彼女なりに、いろんな釉薬を飛ばして作ってるんですよ。違う釉薬が混ざってるから、青い部分と白い部分がある。僕らは絶対、こういうことはしないので、19歳の感性で作っている良さがあります。

根本先生 石川くんが施釉したものも、深い青がとてもきれいで味わい深さがあります。

そして次の写真が有安さんが施釉体験し、釉薬を掛けた作品たち。

内側に釉薬が一部掛からなかった失敗作も、そのまま焼かれています。

根本先生 いや、これはこれでいいんですよ。わざとやったのかなって思いますから(笑)。

尾形先生 実際、あえてこうやって残す人もいますから。

根本先生 例えばここに金を塗ると、葉っぱを表現したものなのかな、と思いますよね? こういう「景色」は計算してもできない。偶然の産物だからいいんです。

陶芸は自由。正解がないところに面白さがある、と先生方。有安さんはこれら自作の「景色」を、どのように感じるのでしょうか?

「すごい! 陶芸って、性格が出るんだなぁ」

半月後の、2016年12月31日。有安さんは1年を締めくくるカウントダウンライブのバックステージにいました。完成した陶芸作品を持っていくと、「きゃーー!」と興奮した様子の有安さん。まずは有安さんが施釉を行った作品を見てもらいました。

有安さん わぁー、すごいすごい! お店にあるものみたい(笑)。あ、ここ、葉っぱみたいになってる! 私がキレイに釉薬を付けられなかったからかな。

のぞき込んだヘアメークさんが「でも、シャレてるじゃないですか」と言うと、まんざらでもない様子の有安さん。偶然の「景色」に味を感じているようです。

続いて、有安さんが成形し、生徒さんが施釉したコラボレーション作品を取り出します。まずは石川くんとのコラボ作から。

有安さん おおー、やばい! 失敗していびつになっちゃったのに、それがおしゃれに見える(笑)。これは、そばちょこにちょうどいい。そば食べたくなってきた(笑)。

続いて、弓野さんが焼いてくれた作品です。

有安さん はぁ~、こんなふうになったんだ~。すごいね。みんな、お店出してくれないかなぁ、東京に(笑)。あ、でも、底に穴が開いちゃったんだ。

先生は「これはこれで植木鉢として使うといいですよ」と話していました。

有安さん あ、なるほど。アクセサリー入れとかにも使えそうじゃない? 鍵を入れたりとか。

最後は、大和田さんとのコラボ作品です。

有安さん うわー、キレイ! すごーい! これ、何に使おう? あ、あれだ、そば茶飲もう(笑)。

ひととおり作品を見て、いかがですか?

有安さん 陶芸って、性格が出るんだなぁと思いましたね。石川くんはたぶんすごく繊細な人だと思うんだけど、それが出てる。大和田さんのはすごく考えて作ったんだろうなっていうのが分かるし、弓野さんのは感性で作っている感じがする。もしまた作品を見せてもらえる機会があったら、当てっこしてみたいです。「これは大和田さん!」とか。

振り返って、初の陶芸体験はいかがでしたか?

失敗や偶然も、ひとつの芸術になる

有安さん 陶芸って聞いたことはあったし、テレビとかでろくろのシーンはたくさん見たことがあったんですけど、自分が体験できることってなかなかないし、やってみたら本当に想像以上に難しくて。すごく繊細で。ちょっとした力加減とかで本当に形が崩れちゃうんだなっていうふうに改めて思いました。

「いびつになったり、葉っぱの形になったり。失敗や偶然も、ひとつの芸術になる。そういうところが面白いですよね」と有安さん。最後に日経らしく、陶芸家のビジネスモデルについて、有安さんなりに考えていただきました。

有安さん 本当にこれって私の一生の宝物っていうか。思い出の作品になったし、完成してすごいうれしかった。こういう体験を、陶芸教室を開いたりして、小さい子や若い人を集めてやってもらうのはどうかな? そうしたらきっとみんな興味を持つと思うし、どんどん陶芸という芸術が、たくさんの人に広まるんじゃないかな。

最近では結婚式の引き出物としてカタログから選べたり、ふるさと納税の特典として受けられたりもする、陶芸体験。訪日観光客向けに行う陶芸体験ツアーも好評だそうです。有安さんが話すように、「体験」は次世代に陶芸を伝え発展させていく、ひとつのカギになるかもしれませんね。

◇ ◇ ◇

これでももいろトラディショナル第4シーズンは終了です。いよいよ百田夏菜子さんが登場する第5シーズンは現在準備中。お楽しみに。

【連載】ももいろトラディショナル/ももクロVS伝統工芸
【第4シーズン】有安杏果VS笠間焼(茨城県)
 第1回 笠間焼に挑戦 絶対崩れちゃいそう
 第2回 手が小さいと陶芸も楽器もホントに不便
 第3回 「ああ、めっちゃムズい」 心が折れそう
 第4回 詞やメロディーを考えるときは本当に苦しい
 最終回 失敗がおしゃれに見えるってやばい!

【第1シーズン】佐々木彩夏VS越前漆器(福井県)
【第2シーズン】玉井詩織VS万祝(千葉県)
【第3シーズン】高城れにVS江戸切子(東京都)
ももいろクローバーZ
百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏で構成されるアイドルグループ。2008年5月に結成(当時のグループ名は「ももいろクローバー」)。観客数十人の路上ライブからスタートし、わずか6年で国立競技場ライブを実現。大会場のコンサートと並行して、小さな会場でのライブやユニークなイベントなども積極的に企画、ファンを驚かせ、楽しませている。2月8日には、日産スタジアムに2日間で11万人以上を集めたライブを収録したブルーレイ「ももいろクローバーZ 桃神祭 2016 ~鬼ヶ島~ LIVE Blu-ray」が発売される。
有安杏果
1995年3月15日生まれ。埼玉県出身。幼少期から子どもタレント、キッズダンサーとして活躍。2008年、中学1年生のときにスターダストプロモーションにスカウトされる。09年に、ももいろクローバーへ加入し、現在に至る。イメージカラーは緑。16年には横浜アリーナで1万人規模のソロ・コンサートを成功させ、楽曲制作にも携わったミニアルバムも発表した。今年の6月から7月には東名阪3会場で初のソロツアーを行う予定。

ももいろトラディショナル

デビュー当時のコンセプトが実は「和をモチーフにしたアイドル」だった彼女たちが、日本の伝統工芸を学ぶ連載。メンバーが伝統工芸の仕事現場を訪れ、作る過程を勉強し、実際にもの作りを体験。さらにその道で頑張っている同世代の若者と夢や目標を語り合うという詰め込みすぎな企画です。

(文 泊貴洋/写真 中川真理子/ヘアメイク 谷川一志=kind/企画協力 佐々木健二=ジェイクランプ)

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