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キャリアの原点

サイボウズ社長が役員にまで副業を奨励したワケ サイボウズ社長 青野慶久氏(上)

2017/1/12

働き方改革の必要性が叫ばれるなか、多様な働き方で注目を集めている企業がグループウエアを手掛けるサイボウズだ。出社しても、しなくてもオーケー、副業も原則自由、出退勤の時間も含め働き方は自分で決めていい。「100人いれば100通りの人事制度があっていい」と語る社長の青野慶久氏が、現在の考え方に行き着いた原点とは?

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出社というと、ふつうは物理的にオフィスに出勤することを思い浮かべますね。サイボウズの場合は「論理出社」でいいんです。実質的なオフィスはむしろ、クラウド上にある。そこにログインしたら、それが出社なんです。

副業も原則自由です。勤務時間やサイボウズの資産を使うものに関しては事前に申し出てもらう必要はありますが、自分でラーメン屋を経営するとか、不動産の売買をしますとか、そういうものは承認なしでもオーケー。会社のブランドを毀損しない限りどうぞご自由に、という考え方です。

ついこの前も、某メーカーのイベントに呼ばれて参加したら、そこにうちの社員がいて「どうしてここにいるの?」って聞いたら、「じつは副業です」と。2012年に副業を禁止することをやめた当初はみんなおっかなびっくりでしたけれど、最近はかなり大胆で、バリエーションも豊富になってきました。

■昭和な元興銀マンに「副業したら?」と勧める

「100人いれば100通りの人事制度があっていい」と掲げていますが、実践するといろいろ想定外なことも起きます。

例えば、営業担当者が土日を使ってサイボウズのソフトウエアのコンサルティングをやっているケース。「それってほぼ本業じゃないの!?」と思いますよね。当然、社内でも侃々諤々(かんかんがくがく)の議論になります。私も悩みますけれど、やってほしいことではあるわけですよ。それでサイボウズのお客さんが1社増えると考えれば、むしろ、会社にとってもいいことかもしれない。

「部下がどうすれば次のステップに進めるのか、いつも考えています」

執行役員で社長室長の松村克彦も、2016年9月から福岡県久留米市にある障害者支援会社に顧問として入っていますが、彼に「副業してみない?」と提案したのは、じつは私です。彼は「クビになるのか?」と焦ったみたいですけれど、本心はまったく違うところにありました。

サイボウズの場合、男性・女性という大きなくくりで考えることはまずなくて、「佐藤さん」という社員がいたら、その佐藤さんがどう働きたいのか、それを実現するにはどうすればいいのかをみんなで一緒になって考えていく。私は社長ですから、部下である執行役員がどうすれば次のステップに進めるのか、いつも考えています。

彼はもともとバブルのころに日本興業銀行(現みずほ銀行)に入社した、「ミスターサラリーマン」でした。上司の命令なら理不尽なことでもなんでもやる、昭和な感じの人。ですから、転職してきても「サイボウズ一筋」のまっしぐら。常に会社のことを思って行動してくれますし、知識があって頼りになる半面、そのことが彼の成長を阻害しているような気もしました。

会社って、社会の困りごとを解決してお金をもらうわけじゃないですか。だったら、会社の中にいて、会社のことだけ考えていても、あまり新しい発想は出てこない。彼に関しては、ゼロから自分で仕事を取りに行くなど、新しいことにチャレンジできる機会があれば人間的な幅も広がるし、もともと持っている知識に深みが増すだろうと思って、副業を勧めました。

具体的に「何をやれ」とは指示しません。何をしたいかの答えは、本人の中にしかないですから。障害者支援というテーマをつかむまで彼もいろいろと試行錯誤したようですが、今はむしろ、サイボウズ一筋の時よりも生き生きと仕事に取り組んでいます。

■遅刻はしてもいいけど、ウソは厳禁

「多様性」と「公明正大」。この2つはサイボウズが最も大事にしている価値観です。多様性を尊重するには透明性が必要で、透明性を確保しようと思えば、お互いが正直でないといけない。寝坊して遅刻したのに、「突然、親の具合が悪くなって……」とウソをつくのは厳禁です。どんなに優秀でも、ウソをつく人はそもそも採用しません。サイボウズが今、個性を尊重した多様な働き方に挑戦できているのは、長年かけてそれが可能な風土をつくってきたからでもあります。

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