年賀はがきで一か八か
立川吉笑
みなさま、あけましておめでとうございます。
立川談笑一門でのまくら投げ連載、今週のお題は「年賀状」。今回も笑二からのまくらを師匠へ無事に届けたい。
さて、今年も年賀状のシーズンがやってきた。僕にとって年賀状は生きるか死ぬかの境目に存在するものだ。総じてきらびやかで、「今年もよろしく!」みたいな浮かれた言葉が書かれた状態で送られてくるが、そんなに生易しいものではないのだ、年賀状は。
年賀状とはギャンブル、博打(ばくち)の形態の一つである。
年賀状を「お年玉付年賀はがき」と認識している方がいるかもしれないがそれは間違いで、年賀状とは「郵便はがき付博打券」である。たまたまはがきとして送ることもできるだけで、宝くじやロト6や馬券と何ら変わりない、運をお金に変えるための魔法の紙である。
2015年のお年玉付年賀はがきの1等賞品は現金1万円だった。下5けたを見事的中させると1万円を獲得できる、そんな仕組み。
ところが2016年のお年玉付年賀はがきの1等賞品は、下6けたを的中させる必要があり難易度が上がった代わりに、10倍の10万円がもらえるようになった。その1等が3218本用意されているとのことだったから、最大3億2180万円を獲得することが可能だったのである。年賀状が紛れもなくギャンブル・博打の一種である何よりの証明である。
そして今年もこの博打の胴元(日本郵便)のホームページを見ると、昨年同様、下6けたを的中させると現金10万円がもらえると書かれていた。ただし、キャリーオーバーの兼ね合いからか、3218本用意されていた昨年に比べて今年の1等本数は2867本と少し少なめである。それでも、全て買い占めることができれば2億8670万円をゲットできるのだ。
そこで問題になってくるのは当然「当選番号が何番か?」ということである。
運試しにただランダムで購入しても、胴元である日本郵便がもうかる仕組みになっているのは言わずもがなだ。ギャンブル・博打というのはそういうモノだ。無策で挑めば負けてしまう。
一方できちんと対策を練ったわずかな者が必ず勝ててしまうのもまたギャンブル・博打である。搾取される側と搾取する側の間には薄皮一枚ほどの差しかない。
僕は昨年一年間、ひたすら今年のお年玉付年賀はがきの、いや郵便はがき付博打券の当選番号について考え続けてきた。そして、ついに驚くべき答えを導き出すことに成功した。今回は僕からのお年玉代わりに研究の成果を発表するからぜひ役立ててほしい。
一昨年の当選番号は「82243」、昨年の当選番号は「667085」であった。僕はこれらの事実から、一つの法則性を導き出すことに成功した。それは「1等の当選番号は奇数である」ということだ。2年中2年がそうである以上これは間違いない。つまり、1等を当てるためには奇数番号の郵便はがき付博打券を買えばよいのである。
偶数は買わない。これが必勝法その1である。
次に注目したのは「最初の数字」と「最後の数字」の和についてだ。一昨年の最初の数字は8、最後の数字は3だから、和は11になる。そして昨年の最初の数字は6、最後の数字は5だから、和は11になる。以上から、「当選番号の最初の数字と最後の数字の和は11になる」という法則を導き出した。これが必勝法その2だ。
2つの必勝法を照らし合わせると、買うべき番号は一気に絞られる。
奇数であるためには、最後の数字は「1」「3」「5」「7」「9」のいずれかになる。
そして、それらと最初の数との和が11になるための組み合わせは「8と3」「6と5」「4と7」「2と9」の4通りしかないのだ。
つまり当選番号は「8◯◯◯◯3」「6◯◯◯◯5」「4◯◯◯◯7」「2◯◯◯◯9」になる。
そして、一昨年は「8◯◯◯3型」、昨年が「6◯◯◯◯5型」だったことを考えると、今年は「4◯◯◯◯7型」が濃厚である。8→6ときたら次は4だからだ。
なので400007~499997の1万枚を買えば、必ず10万円が当たることになる。郵便はがき付博打券は1枚52円なので52万円投資すれば必ず10万円が当たる計算だけど、これでは赤字なので、もう少し数を絞る必要がある。
今年の僕のラッキーナンバーが5なので、「45◯◯◯7」に絞る。こうなると1000枚、5万2000円の投資で10万円が当たり、つまり4万8000円のもうけである。
毎年後輩にあげるお年玉の総額がちょうど5万2000円だったから、今年はお年玉をあげずに郵便はがき付博打券を1000枚購入した。
さて、今年もまもなく当選番号が発表される。4万8000円が楽しみだ。(投資は自己責任で!)
(次回1月15日は立川談笑師匠の予定です)
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