日本への期待は何だ? コーネルで知った欧米人の本音星野佳路・星野リゾート代表が語る(下)

コーネル時代の欧米人のクラスメートと濃密に付き合った体験から「抵抗感を持たれるぐらいに日本らしさをしっかり出すことが大切」と話す

卒業後、米国内でホテルの立ち上げにかかわった後、帰国。外資系銀行勤務を経て、家業を継いだ。

2005年に「星のや軽井沢」を開業しました。父が建てた旅館がとにかく古かったので、改築しなくてはと思い、時間をかけて作り直しました。私が初めて手掛けた改築です。もちろん、採算が合うようにはしたし、収益も高くなるよう設計しましたが、それ以上に私が気にしたのは、実は、コーネル時代のクラスメートの視線です。

もし、ハワイやニューヨークのホテルをまねして西洋風のホテルを建てたりしたら、クラスメートが泊まりに来た時に、「お前、こんな日本の片田舎で何やっているの」とばかにされるのがオチです。それはまさに、日本に対する彼らの期待を裏切ることになるからです。そう言われないようにすることが、私にとっては一番大事なことでした。ですから、星のや軽井沢は、デザインにしてもサービスにしても、日本らしさをしっかり織り込んだものにしました。

昨年開業した「星のや東京」も同様です。星のや東京は、玄関に入ったら靴を脱がなくてはなりません。このように、抵抗感を持たれるぐらいに日本らしさをしっかり出すことが大切だと思っています。これだったら、クラスメートからばかにされることはありません。ただ、それだけのことなのですが、個人的には非常にこだわっています。実際、少し前に当時の友人が遊びに来ましたが、とても驚いていました。してやったり、です。

日本でも卒業生は強い絆を保つ。

コーネル大学は昨年、ホテル経営大学院を含めた経営学を教える3つの大学院を、統合する計画を発表しました。その結果、ホテル経営大学院は、新たに開校する経営大学院の中のホテル経営学科という位置づけになりました。

ところが、発表直後から、ホテル経営大学院の卒業生から反対の大合唱が起き、卒業生からの寄付金がストップ。慌てた大学側は、ホテル経営学科だけは独自の入試を認め、ホテル経営大学院時代のロゴも維持することを約束しました。それだけ多くの卒業生が、コーネルのホテル経営大学院で学んだことに強いプライドを持ち、また強いネットワークを維持していることを物語るエピソードです。

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