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人生を変えるマネーハック

iDeCoはすぐ始めよう 遅れるほど失う節税チャンス iDeCoをマネーハック(2)

2017/1/9

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 今月のテーマは個人型確定拠出年金(愛称iDeCo=イデコ)です。2017年1月にリニューアルし、ほぼ全ての現役世代が加入できるようになりました。

 老後のために資産形成に取り組む必要性は高まっています。1月2日付の前回コラムでも説明しましたが、自分の老後のためにiDeCoで積み立てすれば、国は百万円単位の課税を免除する可能性があります。こんなチャンスはそうそうありません。マネーハック的にもiDeCoは利用の検討が必要な制度の最右翼です。

 毎月コツコツ積み立てし、中長期で複利運用の効果を享受するのがiDeCoのやり方です。これは最も効果的な老後資産形成の方法ですが、今回はNISA(少額投資非課税制度)との違いから、iDeCoの魅力と注意点を考えてみます。

■最初にいきなり100万円入金はできない

 NISAはスタートから4年目を迎えました。口座数は1000万を超え、投資資金も8兆円を突破しており、普及期に入ったと考えられます。17年度税制改正大綱では「積立NISA」の創設も盛り込まれ、さらなる普及が期待されています。

 「将来に向かって資産形成を行う」という点ではNISAとiDeCoは似ていますが、大きな違いもあります。

(1)「iDeCoは積み立て段階で税制メリットがある」(NISAは積み立て段階では税制メリットがない)

(2)「iDeCoの解約は原則60歳まで行えないが投資を継続できる」(NISAは解約自由。投資した年から5年目の年末までが期限)

(3)「iDeCoは定期的入金を前提としている」(NISAは年120万円の範囲でいつ、いくら入金してもいい)――という点です。

 iDeCoは掛け金を拠出する段階で所得税・住民税を軽減されるという、他にはない強力な税制メリットがあることを前回お話ししました。その条件は60歳まで原則解約せず、老後の財産として受け取りを先送りすることです。

 しかし、もうひとつ「定期的入金を前提としている」ことについてはあまり理解されていないポイントかもしれません。NISAは一度口座をつくっておけば「いつ、いくら入金するか」は自由です。入金をしないこともできますし、定期的な入金を指定することもできます。

 ところが、iDeCoは「毎月、指定金額を引き落とし」というのが大前提です。「株価を見て30万円、一気に入金する」とか「入金したり、しなかったりする」ということは認められません(ただし、掛け金の積み立て停止は可能。また掛け金額の変更も年1回は可能)。必ず定期積み立てをしてなければならないのです。

 しかも、必ずゼロ円から積み立てを開始しなければなりません。初めて株を売買する人のイメージは「ひとまず100万円くらい現金を入金してから売り買いする」だと思いますが、これはiDeCoではできないのです。

■1年開始が遅れた人は1年分節税チャンスを失う

 また、毎月の積立額も会社員や公務員の場合、1.2万円や2.3万円といった金額です(自営業者などは月6.8万円と積立枠の上限が大きい)。毎月1.2万円の場合、どんなに頑張っても年14.4万円しか元本を入金することができません。

 見方を変えれば無理なく始められるということですが、「50歳代になってから、あわてて一気に老後の資産形成を行う」という戦略をiDeCoでは採用できないということです。

 住宅ローン返済や子どもの学費準備を優先するあまり、老後の資産形成を後回しにしてしまう人は多いのですが、これはiDeCoでは通用しません。

 iDeCo利用開始を1年遅らせた人は1年分の掛け金積み立てのチャンスを、5年遅らせた人は5年分の掛け金積み立てチャンスを失うことになります。そして同期間、節税のチャンスも失うことになります。

 仮に毎月2.3万円を5年間積み立てれば元本は138万円になります。所得税と住民税の実質負担率が20%とすれば、27.6万円も節税できたことになります。

 5年後にあわてて老後資産形成の重要性に気がついたとしても138万円の元本の差は容易には埋められませんし、27.6万円の節税チャンスも取り戻すことはできません。

 つまり、iDeCoは早く始めた人ほど得をし、多く老後資産形成が可能になる仕組みといえるのです。

■手続きはなるべく早く

 iDeCoの加入申し込みには一定の時間がかかります。昨年の秋、とある雑誌の編集者が実体験とばかりに加入申請したところ、2カ月たっても開設手続きは完了しなかったそうです。

 2017年1月現在、多くの加入申し込みが殺到していると思われます。また、この傾向はしばらく続く可能性があります。早く手続きを済ませないと、口座開設はもっと遅くなってしまいます。

 もし、自分の老後のために資産形成をスタートしたいと考えているなら、今すぐにでも加入申し込みの手続きをしたほうがいいでしょう。手続きを半年遅らせれば半年分、積み立てできず税制メリットも取り損ねてしまうのですから。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。Twitterアカウントは@yam_syun。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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