確かに校内にはジャージー姿の先生が目立つ。開成はクラブ活動を重視しており、「5月の運動会こそが教育装置」(柳沢校長)というのが校風だ。5月の運動会は高3の生徒全員が主導し、終了後に受験体制に突入する。スポーツで蓄えたエネルギーを受験に転換する生徒は少なくない。

開成から東大理科三類に進学し、脳外科医を経て、医療ベンチャーのメドレー代表取締役となった豊田剛一郎氏(31)は「サッカーの中高で主将をやっていて勉強どころじゃなかったけど、引退して高3になって成績がグッと伸びました。体力と集中力がありましたから」という。

グラウンドはつぶさない

「東大にしても我々がすすめているわけではない」という。(東大駒場キャンパス)

開成は2021年の創立150周年に向けて高校校舎の全面改築を予定している。「普通の学校ならグラウンドに新校舎を建てるでしょうが、うちは運動会が大切。だからグラウンドはつぶさない。1年でも中止にしたくないので、時間もかかりますが、現校舎を3期に分けて建て替えていきます」(柳沢校長)。開成の「運動会」重視の姿勢は半端がない。

2020年には大学入試改革が控える。グローバル化のなか、英語のスピーキング試験や面接などが重視される方向だ。しかし、柳沢校長は「開成の教育理念は変わらないでしょう。質実剛健、ペンは剣よりも強し、そして自主自律。グローバル化と言っても、ハーバードなど海外大学を狙う教育体制をつくることはしない。サポートはするが、決めるのは生徒。それぞれが意思決定すればいい。東大にしても我々がすすめているわけではありません」という。

開成はやはり男の学校

進学校にも男女共学校も徐々に増えているが、「男女共学もないでしょうね。男子と女子では中高の年代では成長速度が違いますから。一般に女子の方が成長が早いので、共学だと男子のリーダーシップをうまく養えなくなる。持ち株会社の様に傘下に女子校を持つやり方だとあるかもしれないと思いますが」と話す。

ただ「平家物語ではないが、盛者必衰という。時代のニーズに応える教育サービスを提供しなければ、開成もダメになるでしょうね」。笑顔が絶えなかった柳沢校長だが、盛者必衰という言葉には力がこもる。受験本番を迎えた開成だが、当面、東大合格トップの地位は譲りそうもない。

(代慶達也)

前回掲載「東大合格トップの開成、『楽しい』9割は本当? 」では、超進学校らしからぬ「体育会系」のナゾに迫りました。

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