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「自動ブレーキ」投信、大きな損失回避に有効

2017/1/5

PIXTA

 運用リスクの大きさや基準価格の最大下落率をあらかじめ投資家に明示する投資信託が増えている。三菱UFJ国際投信は、直近高値からの下落率が15%以内に収まるよう運用するファンドが資金を集め、純資産が1千億円を超えた。こうした「自動ブレーキ」付きファンドは、一時的であれ大きな損失を抱えたくない投資初心者にとって選択肢の一つになる。

 三菱UFJ国際投信の「トレンド・アロケーション・オープン」は2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに銀行の窓口販売で売れ筋になり、純資産は今夏1千億円を超えた。

 このファンドは直近12カ月の高値からの下落率が15%以内になるよう、国内外の株式、債券などへの投資配分を機動的に調整する。投資経験の少ない預金者に対して「最大でどのくらいの損失が出る可能性があるのか分かりやすく具体的に説明できるので、安心につながる面がある」(吉田研一・プロダクト・マーケティング部長)という。

 それでも損失リスクへの不安から二の足を踏む預金者もいる。そうした人向けに、2016年8月には直近高値からの最大の下落率を5%以内に抑える兄弟ファンド「トレンド・ナビゲーション・オープン」を設定した。短期金利を2.5~3.0%上回る運用を目指しており、「預貯金の代替として投資に半歩だけ踏み出すためのファンド」(同)と位置づける。

 アセットマネジメントOneが運用する「クルーズコントロール」は下値の目安を1、4、7、10月の「改定日」の基準価格から「マイナス2%」の水準としている。相場が荒れる局面で現金の比率を一気に高めるなど、ブレーキをきめ細かくきかせるように運用するスタイルだ。基準価格が安定しやすく、設定から4年余りで純資産は300億円を超えている。

 モーニングスターによると、リスク値や下値の目安値などを目論見書に明記している投信は少なくとも約50本ある。純資産が100億円を超えるファンドは十数本ある。

 もっとも、運用コストは一般的なインデックス型ファンドなどに比べて高め。損失を回避するためにブレーキをきかせる時間が長くなると、コストに見合うだけの収益を上げにくくなることも認識しておきたい。

[2016年12月10日付日本経済新聞朝刊]

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