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医療ベンチャー、メドレー(東京・港)の代表取締役の豊田剛一郎氏(31)。日本医学界の最高峰、東京大学医学部卒の脳外科医だったが、エリート医師の道を捨て、コンサルタントを経てベンチャービジネスの世界に入った。しかもメドレーには東大医学部の同窓生4人のほか、企業や医療現場で活躍する有能な人材を次々誘い、「スーパー頭脳集団」をつくり上げた。豊田氏は起業家に転身し、何をやろうとしているのか。

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 「確かに医者をやめるときは、みんなから不思議がられました」。東京・六本木のメドレーのオフィスで、豊田氏はこう話す。同氏の肩書には「代表取締役医師」とあるが、実際、医者としての活動はしていない。

豊田氏は私立開成高校(東京・荒川)から東大理科三類に合格して医学部に進学。聖隷浜松病院(浜松市)、NTT東日本関東病院(東京・品川)など国内有数の中核病院で脳外科医として腕を磨いた。米国の名門病院にも勤務し、誰しもが認めるエリート医師となった。

日本の医療現場は非効率的

だが「日本の医療界は危うい。崩壊するのではないか」という強烈な危機意識を持つようになった。国民医療費が年間40兆円に膨らむなか、いつまで国は財政負担できるのか、「国民皆保険」は維持できるのか――。「海外に比べて医療・保健に対する1人ひとりの意識があまりにも希薄なのではないか」と指摘する。

そんなマクロ的な問題以上に「医療現場は非効率的すぎる。救急病院の認可を得るため、都内に毎晩何百人という脳外科医が当直しているが、実際は大半の医師が必要とされていない。一方で地方では医師不足が深刻。医療現場は規制でがんじがらめ、矛盾だらけで、とにかく効率性に欠く」。先輩医師にそう問うと、誰もがその通りだという。ただ「とはいえ患者と向き合うのが医師の第一優先 」と問題解決には消極的だ。

しかし、豊田氏は耐えられなくなった。日本最難関の東大理三に合格した豊田氏は「常に最小限の努力で最大限の効果を出す、勉強の効率性を追求してきたのに、医療界は非効率でいいのか。患者さんにとっても医者にとってもいいことではない」。

ネットで開成の同級生と再会

メドレー創業者で社長の瀧口浩平氏

メドレー創業者で社長の瀧口浩平氏

そんな時、フェイスブック上で昔の同級生と再会した。メドレー創業者で現社長の瀧口浩平氏だ。「いわゆる塾友ですね」。2人が知り合ったのは小学校の進学塾。ともに開成中学に合格したが、瀧口氏とは音信不通になった。同中学を突然やめ、高校は国立の名門進学校、東京学芸大学付属高校に進学したからだ。

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