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加齢で上がる自動車保険料 事故防止へIT活用 高齢者と車の運転(下)

2017/1/3

PIXTA

 これまで無事故を続けてきたのに、70歳代になって自動車保険料が大きく上がり驚いています。今後も車を運転する必要があるので、何とか保険料を抑える手段はないでしょうか。

 自動車保険を契約する際に意識するのは、運転者の中で最も若い人の年齢だろう。運転歴の浅い若年層が補償対象に加わると一般的に、保険料が上がる。さらに数年前から、主たる運転者である「記名被保険者」の年齢も保険料に影響するようになった。60~70歳代になると保険料上昇が避けられない例が多い。

 損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は2009年、保険料を決める際に参考にする「参考純率」を改定。記名被保険者年齢を10歳刻みにし、高齢者になると保険料が上がる仕組みにした。高齢者の事故が増加しているからだ。

 これを受け、11年ごろから大手損保は新しい保険料を打ち出している。18年から自動車保険の保険料が下がる見通しだが、高齢者の保険料がほかの年齢に比べて相対的に高くなる構図は変わらないと見られる。

 あいおいニッセイ同和損害保険の試算では全く同じ条件(20等級、35歳以上補償、車種プリウス、対人・対物無制限、人身傷害3千万円など一般的な補償例)で契約した場合、30代なら年6万1800円の保険料が70代になると7万7610円に上がる。「70代で保険料増の負担を強く感じる人が多い」(同社)

 負担増を抑える一助になりそうなのが最近、大手損保が導入しているIT(情報技術)を駆使した最新の安全運転診断サービスだ。スマートフォンや専用車載機器の加速度センサーなどを使い、加速やブレーキ、ハンドルさばきなどを分析し、個人ごとの運転の安全性を教えてくれる。

 12年にサービスを始めた三井住友海上火災保険はスマホのアプリを活用し、運転診断する。損害保険ジャパン日本興亜も同様のサービスを提供。両社のサービスは保険契約者でなくても利用できるのが特徴だ。

 17年からは、あいおいニッセイ同和や東京海上日動火災保険が契約者を対象にサービスを始める。各社趣向を凝らし、事故防止や被害低減の機能を盛り込む。

 高齢者が運転診断を使うメリットは大きい。高齢者は運転歴が長いため自分の技術を過信しがちで、加齢による衰えを自覚しない例が少なくない。「ITによって客観的な診断結果を見ることで、事故に至るリスクを早めに認識しやすい」(損保ジャパン)

 海外ではITを駆使し、安全性が高い人には保険料を低くする「テレマティクス保険」が増えているが、国内については診断サービスの結果を保険料に反映させる例は、まだ少ない。

 ただ、事故を起こさずに安全運転をしていれば、現在の等級を維持もしくは上げることができるので、保険料の抑制につながる。家計の負担を抑えつつ、できるだけ長く運転を続けたいなら、新サービスを積極的に取り入れ、まずは安全運転を改めて徹底することが第一歩だろう。

[2016年12月28日付日本経済新聞朝刊]

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