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「顔認証OK」しか通さない! 防げチケット高額転売 ぴあやキヤノンMJなど連携 東京五輪へ普及目指す

2017/1/17 日経産業新聞

新聞に掲載されたチケットの高額転売に反対するアーティストらによる意見広告

人気イベントのチケットがネット上で額面の数十倍で転売されている。演者とファンへの冒涜(ぼうとく)だと転売反対の声が大きくなる一方で、リーズナブルな価格での転売は制限すべきでないとの意見も根強い。ただ、正規購入者しか入場させない技術は、賛否の議論を横目に進化を続けている。2020年の東京五輪・パラリンピックで採用される可能性もある。

「本当に何も持たないで通るだけでいいの?」

「似た人の見分けもつくのかな」

10月15日、埼玉スタジアム(さいたま市)で開かれたサッカー、「ルヴァンカップ」(旧ナビスコカップ)決勝戦。浦和レッズとガンバ大阪の対決を前に、スタジアム入場口の一角にもうけられたゲートに一般客の視線が集まった。

その名も「顔パス入場サービス専用ゲート」。チケット販売大手のぴあを中心に実用化を目指す次世代入場システムで、この日、Jリーグと手を組んで、初めて実証実験を行った。

目指す仕組みはこうだ。観客はパソコンやスマートフォン(スマホ)などを使って専用サイトに自分の顔の画像を事前登録する。当日は紙に印刷されたチケットなどは不要。観客は専用ゲートを通り過ぎるだけで、登録画像と顔の照合が瞬時にすみ入場できる。

この日、ゲートにした通路は長さ約12メートル。観客はカメラをちらちら見ながら通り過ぎていく。カメラの先には名刺やカードの印刷に使われるプリンターがあり、プラスチックカードに登録した顔写真と座席が印刷されて出てくる。通路の終わりで係員からカードを受け取れば入場は完了。1人の手続きに30秒もかからない。ぴあの社員を含め約500人が通過したが、大きなトラブルは起きなかった。

デジタルカメラとカード用カラープリンターはキヤノン製。顔認証にはNECの技術を用いている。キヤノンマーケティングジャパンとNECは15年11月に、劇場や商業施設など大規模集客施設での運用支援サービスを共同で構築することで合意。初めて両社の取り組みが日の目を見た日でもあった。

次世代システムは入場手続きの省力化だけでなく、チケットの転売防止にも主眼を置いている。事前に顔写真を登録しておくのがミソで、正規購入者以外の者はカメラと顔認証システムによって締め出される。

処理速度の速さも必須だ。これまでもチケットに顔写真を印刷して、係員が目視で確認する入場方法はあったが、チェック待ちの長い行列ができ、手間もかかるため、一般的とまではいえない。

今回の実験について、ぴあのアリーナ・スタジアムソリューション推進局の松岡孝太郎氏は「子供は顔が変わりやすく認証しにくいなど課題が分かった。課題を改善すれば転売を防ぐ有効な手段になる」と話す。20年の東京五輪・パラリンピック開催に間に合うよう、17年以降の実用化を目指す。

スマホを活用してチケット転売防止システムを構築したのがEMTG(東京・港)だ。14年に人気男性デュオ、コブクロの公演で採用されたのを皮切りに、ザ・イエロー・モンキーなどのアーティスト、プロバスケットボールのBリーグの試合と、採用の場が広がっている。

転売サイトでは定価1万円以下の人気グループの公演チケットが10万円を超す高値となっているケースが多数見つかる

利用者はチケット購入時に電話番号を登録。その番号のスマホ端末でしかチケットが表示できない。チケット購入者は当日、スマホを持って会場に行く。会場入り口では、複数の突起がある機器を持った係員が待機している。スマホの画面の複数箇所を同時にタップすると特定の操作ができる仕組みを応用。機器の突起部をスタンプを押すように画面に触れさせると入場手続きが完了し、座席番号が表示される。

チケット転売のためにスマホを他人に譲ることは不合理だ。スマホを貸し出すことはできるが、あらかじめ席の位置がわからないため、良い席を高額で転売するのは難しい。実質的には本人認証の機能を果たすというわけだ。

冨田義博社長によると、この方法が最も費用対効果が高いという。かつてはチケットを入手する際に顔写真を登録してもらった上で、会場で専用の身分証明書の写真と照合する仕組みを手掛けていたが、顔認証システムは高価なうえ、顔のデータの登録が必要だ。

QRコードで読み取る方法もあるが、画面のスクリーンショットを転送される恐れがあり、読み取り機設置に手間もかかる。IDでログインする手法も、IDごと転売されてしまえば対処しきれない。試行錯誤を重ねて行き着いたのが、スマホと電話番号の活用だったという。

チケットの転売に反対する――。16年8月、116組のアーティストが名前を連ねた意見広告が話題を集めた。日本音楽制作者連盟(音制連)とコンサートプロモーターズ協会(ACPC)などが旗振り役となった一大キャンペーンだが、このような行為は無用との意見も関係者からは聞こえてくる。最新の本人認証・確認システムを活用さえすれば、転売が防げる時代はもう訪れているのだ。

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