成長テーマ多い日本株 選別の面白い年に(窪田真之)楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

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「今年は小型株に株価を上げる銘柄が増えると予想される」

日本株の投資環境が好転しています。今年は米景気回復と円安進行を受けて、日本の景気・企業業績も明るさを増しそうです。トランプ米次期大統領の景気刺激策も追い風となります。

今年は日本株にとってどんな年になるでしょうか? 私は「前半高・後半安」のイメージを持っています。世界景気の回復期待を受けて、昨年後半から世界的に債券(安全資産)を売って株式(リスク資産)を買う流れが広がっています。年前半はこの流れがしばらく続くと考えています。

ただし、年後半になると流れは一巡し、世界的に株式相場が下がるとみています。良い材料も悪い材料も循環するので、上昇相場では警戒を怠らず、下落相場では過度に弱気にならないことが大切でしょう。

小型株が上昇の原動力に

ところで私は、今年は小型株に株価を上げる銘柄が増えると予想しています。昨年11~12月は大型株中心の上昇でしたが、次第に小型株主導の相場に変化すると考えています。私はファンドマネジャーを25年間経験しましたが、下落相場から上昇相場に転換する最初のころは、大型株がけん引する傾向があります。その後、大型株の上昇が一巡すると小型株中心の相場に移行する展開を何度も見てきました。今回もそうなると思います。

小型株が上昇する原動力である成長テーマはいろいろあります。例えば21世紀に重要性を増してきた「サービス」です。豊かさを「モノ」に求めた20世紀は大量生産に成功した企業が成長する時代でした。21世紀に入り、モノは一時的に不足してもすぐに大量生産されて供給過剰になる時代に変わりました。

一方、21世紀に構造的に供給不足となっているものもあります。それがサービスです。人手をかけないと供給できない医療・介護・保育・防犯・警備・接客などの良質なサービスは、恒常的に不足しています。少子化が急速に進んだ日本では、この問題は深刻です。

良質なサービスはモノのように、工場で大量生産することができません。供給を10倍にするためには人手を10倍かけないといけないからです。供給が需要に追いついていないことから、サービス産業は安定的な成長が続いています。なんらかの仕組みをつくって、良質なサービスの大量供給に成功した企業は、21世紀の成長企業となります。

IT(情報技術)サービスは、サービスの大量生産に道を切り開くものです。例えばEコマース(電子商取引)は、リアル店舗をつくるコストを省き、ネットを通じて小売りサービスの量産を可能にしたものです。小売業に限らず、ネットがリアルを代替する流れは、幅広い産業で加速するでしょう。

金融業でもこれからネットによるリアルの代替が加速すると考えられます。ネット・セキュリティー技術の一段の進歩が前提となりますが、フィンテック(ITと金融の融合)は日常生活に身近になるでしょう。

技術革新が大きなテーマ

2017年はとりわけ、フィンテックのようなIT・ロボットなどの技術革新が大きなテーマになると思います。それによって「良質なサービス」を大量供給して成長する企業が多数出てくるでしょう。鍵となる技術は、以下のようなものと考えています。

(1)AI(人工知能:深層学習機能を使って人間が考えても出てこないようなソリューションを生み出す技術)

(2)IoT(すべてのモノをインターネットにつなげ、相互制御する仕組み)

(3)ビッグデータ分析(無数のデータから法則性を見つけさまざまな問題解決に応用する技術)

(4)サービスロボット(介護・警備など従来は人手をかけないとできなかったサービスを提供するロボット)

(5)ITセキュリティー(ネット内の犯罪や情報漏れから防御するための技術で、マイナンバーの活用本格化に向け喫緊の課題)

(7)ドローン(小型無人機で収集した情報をネットにつないで活用する仕組み)

(8)自動運転・安全運転支援技術(センサーと人工知能を活用して自動車を自動運転する技術)

日本株には成長テーマが増えており、銘柄選別の面白い年になりそうです。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムです。原則火曜日掲載で、楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジストの窪田真之氏とレオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者(CIO)の藤野英人氏が交代で執筆します。
窪田 真之(くぼた・まさゆき) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト。1961年生まれ。84年慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)入行、91年ニューヨーク駐在。92年住銀投資顧問(当時)日本株ファンドマネジャー、99年大和住銀投信投資顧問日本株シニア・ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年から所長兼務。大和住銀投信投資顧問では日本株運用歴25年のファンドマネジャーとして活躍した。著書に「投資脳を鍛える!株の実戦トレーニング」(日本経済新聞出版社)など多数。
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