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オリパラだけで訪日客は増えない 年4000万人への道 訪日旅行ベンチャー、フリープラスの須田健太郎社長に聞く(3)

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

2017/1/4

フリープラスの須田社長

政府は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に訪日外国人を年4000万人に増やし、その後の時代「post2020」にも訪日客需要を経済の起爆剤にしたい考えだが、実現は可能なのか。訪日旅行で急成長しているFREEPLUS(フリープラス、大阪市)の須田健太郎社長(31)は「今のままでは政府目標の達成は厳しい」と指摘するが、対策はあるという。今回はこの点について語ってもらった。(聞き手は公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司)

藤田 3年後の東京五輪・パラリンピックが訪日観光客を増やす呼び水になるとの見方がありますが、どう思いますか。

須田 昨年はリオデジャネイロ五輪・パラリンピックがありましたが、リオへのツアーの需要が爆発的に伸びたかというと、それほど大きなインパクトはありませんでした。東京五輪についても、海外の旅行会社から「日本で五輪の開催が決まったね」と関心を寄せられたという話はほとんど聞きません。正直なところ、五輪ツアーはほとんど反復性がないので、旅行業者としては事業として大きく展開するのが難しいのです。東京五輪が開催されるというだけで、外国人観光客が爆発的に増えるかというと、実際はそうではないと思っています。

昨夏、リオデジャネイロの観光地はにぎわったが、どこまでリピート客をつかんだのかは不透明

藤田 過去の五輪・パラリンピックでは、競技観戦目当ての観光客は増えたものの、一般の観光客は混雑を嫌って減少したため、全体の観光客数はそれほど伸びていないという話もありますね。

須田 仮に五輪・パラリンピックが爆発的な集客力を持っていたとしても、宿泊するホテルがなければ、現実問題として現地を旅行することはできません。つまり五輪・パラリンピックの集客力は宿泊できるホテルの数が上限になるのです。上限まで観光客が増えるのかについては、プロモーション次第ですね。プロモーションと観光関連のインフラ整備が両輪で機能してはじめて観光客数を増やすことができます。

藤田 政府は20年に訪日客を年4000万人に増やす目標を掲げていますね。

須田 15年の実績は年2000万人ほどですから、これを2倍にする目標ですね。訪日観光客の内訳をみると、中国、韓国、台湾が大きな割合を占めます。やはり海外旅行は近隣諸国の方が行きやすく、人気になりますから、4000万人という目標を考える上でも、中国、韓国、台湾からの訪日観光客数の伸びが大きな鍵になります。

藤田 15年の国・地域別訪日外国人数をみると、中国が499万人、韓国が400万人、台湾が367万人です。これだけで6割以上を占めますから、確かに重要ですね。17年以降はどうでしょうか。

須田 そもそも韓国、台湾は人口が少ないので、今後の大幅な伸びは期待しにくいでしょう。中国は人口は多いものの、現在は訪日観光客数の伸びが鈍化しています。この傾向に歯止めをかけ、どこまで中国からの訪日観光客数を伸ばすことができるかが勝負になるのではないかと思います。そう考えると、今のままでは20年に年4000万人という政府目標の達成は、ちょっと厳しいかなというのが個人的な感想です。年3000万人あたりがいい線ではないでしょうか。

藤田 仮に、自らが政府目標の4000万人を達成するためのプロジェクトの総責任者になったとしたら、どんな行動を起こしますか。

須田 まず、どの経路で、どの空港に、どの国の人を、どれくらい呼ぶのかについて、国家としてのグランドビジョン(大きな展望)を策定します。それを実現するために、どの国に、どんな広告を出してプロモーションをかけるのかといった戦略を考えます。それと並行して、グランドビジョンで示した数の観光客を受け入れるためのホテルや鉄道などの観光インフラ整備を大急ぎで進めますね。

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