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アファール猿人の足跡発見 「一夫多妻説」浮上

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

360万年以上前のアフリカに暮らしていた初期人類の新たな足跡化石が発見された。

場所は、1978年に古生物学者のメアリー・リーキー氏によって70個の足跡化石が発見されたタンザニア北東部のラエトリ遺跡で、新たに発見された足跡は14個だ。ラエトリの足跡化石は、これまでに発見されている初期人類の足跡化石の中では最も古く、人類の祖先が早い段階から二足歩行をしていたことの重要な証拠となっている。

車を3台並べられるほどの広さに残されたこの足跡は、「ルーシー」でも知られるアウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)のものである可能性が高い。

足跡が見つかったタンザニアでは、古生物学的に貴重な遺跡が多数発見されている。ラエトリから北東に約30キロ離れたオルドバイ渓谷は、最古級の人類化石が発見された場所として有名だ。

今回の足跡が発見されたのも、以前から知られていた遺跡のおかげだった。2015年、タンザニアのダルエスサラーム大学の考古学者フィデリス・マサオ氏とエルジディアス・イチャムバキ氏は、ラエトリ遺跡に博物館を建設した場合の影響を調べていたときに、これらの足跡を偶然発見したのだ。

2人は、さらなる発掘のためにイタリアの科学者チームを受け入れた。タンザニア政府は2016年7月に足跡化石を公開し、イベントには同国の観光相も立ち会った。

論文の共著者であるペルージャ大学(イタリア)の古人類学者マルコ・チェリン氏は、「ラエトリで足跡化石を見たとき、自分の目が信じられませんでした」と言う。「感情を抑えずに見ると、誰かが歩いて残していった痕跡のように見えてきます。そこから行動を解明することができるのです」

アファール猿人は一夫多妻制だった?

古人類学者たちは最新の足跡の発見を大いに喜んでいる。

米スミソニアン研究所ヒト起源プロジェクトのブリアナ・ポビナー氏は今回の研究には関与していないが、「ラエトリ遺跡は、人類進化の歴史における最古の足跡化石です。この場所で足跡が新たに発見されたことを、本当に嬉しく思っています」と歓迎する。

さらに、新たに足跡が発見された2人のうち1人は男性で、歩幅の大きさから身長が165センチ以上あったと考えられ、これまでに確認されているアファール猿人の中では飛び抜けて大柄だ。この発見は、アファール猿人の体格には男女で大きく異なる「性的二形」があったとする研究チームの主張を裏づけるものだ。

ポビナー氏は、「特に新しい発見というわけではありませんが、2人のうち1人が、これまでにラエトリで見つかっている足跡を残した人々よりも大柄な成人男性であるように見えるのは興味深いですね」と言う。

しかし、2016年12月14日に科学誌『eLife』に発表された新たな足跡化石の詳細な分析結果には、その解釈をめぐって多少議論の余地がある。

チェリン氏らによると、今回の足跡は、1978年に発見された足跡と同じ火山灰層に、同じ向きで残っていたという。今回の足跡は、以前発見された足跡がついてから数時間以内についた可能性が高いと、チェリン氏は考えている。

ラエトリの足跡はアファール猿人の社会構造の解明に役立つと、研究チームは主張する。足跡の大きさにばらつきがあることから、この集団は1人の成人男性(新たに発見された足跡を残した大柄な人物)と、2~3人の成人女性、2~3人の未成年から構成されていたと、チームは考えている。

さらに、成人の男女の体格に大きな差があることから、アファール猿人の社会構造は現代のゴリラのような一夫多妻制だった可能性があるとも、研究チームは主張する。ラエトリ遺跡はゴリラに似た集団の移動風景をとらえたものかもしれないというのだ。

論文の共著者であるローマ・ラ・サピエンツァ大学(イタリア)の古人類学者ジョルジョ・マンツィ氏は、こう話す。「1970年代の研究者は、アウストラロピテクスのカップルが現代人のように腕を組んで歩くロマンティックな情景を想像していましたが、おそらく間違っています」

解釈に否定的な研究者も

すべての研究者がこの説に納得しているわけではない。米国自然史博物館の古人類学者ウィリアム・ハーコート=スミス氏は、成人女性と大柄な未成年を足跡だけで区別するのは非常に難しく、ラエトリの足跡化石のように5人分の足跡しかない場合には特にそうだと指摘する。

「考えてみてください。現代人の13歳の大柄な少年と21歳の女性の足跡を確実に区別することなどできるでしょうか?」

ハーコート=スミス氏によれば、1970年代に発見された足跡を残した人々と、今回発見された足跡を残した人々が同じ社会集団に属するものだと断定するのは不可能だという。

ルーシーの解剖学的特徴の研究で知られる米ケント州立大学の古人類学者オーウェン・ラブジョイ氏も同じ意見だ。

「彼らが報告している足跡の大きさの差は、性的二形とは無関係です。なぜなら、どの足跡についても、それを残した人の年齢がわからないからです。この5人の足跡が、ゴリラに似た性的戦略を示しているという彼らの主張はナンセンスです」

それでも、マンツィ氏とチェリン氏は解釈に自信をもっている。再びラエトリを訪れて、さらに多くの足跡を探す計画だ。

「今回は、たった3カ所を小さく掘っただけで、これだけの足跡が見つかったのです」とマンツィ氏は話す。「ほかにも足跡化石が埋もれているはずです」

彼らの主張を検証する機会はたっぷりある。研究者たちはタンザニア政府と協力して足跡化石の保護にあたっているし、3次元デジタル模型の製作も終えた。たとえ実物が失われるようなことがあっても、少なくともバーチャルには永遠に残るからだ。

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年12月16日付]

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