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米ダラスのダウンタウン(画像=PIXTA)

米ダラスのダウンタウン(画像=PIXTA)

エグゼクティブクラスの人材マーケットにおいては、やはり「グローバルビジネス」の経験が価値を発揮します。今回は、グローバルビジネスでのキャリア構築・転職を視野に入れている方々に向けて、注目しておきたいエリアをご紹介します。

米テキサス州・ダラスに日系企業が続々と集結

昨年11月、私は1週間ほど海外出張に行ってきました。目的地は、米国テキサス州北部に位置する都市、ダラスです。

トヨタが北米の本社機能をダラスに移転。それを皮切りに日系企業がダラスに拠点を置く動きが出てきており、今後も加速していくと見られます。これに伴い、当然、人材の流動が起こり、新たな人材のニーズも出てきます。

私どもの会社では、海外拠点のトップやエグゼクティブクラスの採用・転職のサポートを手がけていますので、現地の実情を確認するため、ダラスに飛んだというわけです。

訪問したのは、日系企業の現地拠点に駐在する責任者クラスの方々。現地採用の米国人幹部が同席することもありましたが、主には日本人の方々です。彼らが口をそろえて言うダラスのメリットは次のポイントでした。

●リビングコストが安い(西海岸と比較すると3分の1程度)

●西(ロサンゼルス)にも東(ニューヨーク/ワシントン)にも3時間程度で移動可能。かつメキシコにも近い

同時に「デメリットがない」という声も聞かれました。

ダラスには、日系だけでなくアメリカの企業も移転してきています。人口の急増に伴い、インフラ整備や都市開発が進んでおり、その光景は一瞬アジアかと思うほどでした。まだまだ広大な土地が残っていますが、想像以上にこの都市はこれから成長を遂げていくと確信しました。

現時点では、西海岸や東海岸と比較すると日本食のお店は少ないのですが、レストランやスーパーも進出してきています。日本食を扱うスーパーのチェーン、日系の外食チェーンも出店準備を進めているようです。日本の流通企業、フードサービス企業にとっても、このマーケットは狙い目となるでしょう。

このように、さまざまな業種がダラスへの進出を図るに伴い、現地の拠点立ち上げや拡大を担う人材のニーズがこれから出てくると思われます。求職者側に目を向けると、「アメリカに駐在勤務していたが、日本への帰任を命じられた。しかしアメリカに残りたい(戻りたい)」という人が少なからずいらっしゃいます。

そうした方々が、ダラスで新たな活躍の場を得られる可能性があるといえるでしょう。転職エージェントとしても、そうしたニーズに応え、企業と人材のマッチングを行っていきたいと考えています。

単に「アメリカで働きたい」というだけでなく、急激な変化や成長の環境に身を置くことにやりがいを感じる方にとっては、注目しておきたいエリアです。

アジアは堅調に推移 ベトナムの成長性に期待

ベトナム・ハノイの街並み(画像=PIXTA)

ベトナム・ハノイの街並み(画像=PIXTA)

あらゆる業種が進出するアジアについてはどうでしょうか。「人材マーケット」という観点から見ると、ことしは大幅に伸びることもなければ落ち込むこともなく、安定推移していくと予想しています。現地拠点の責任者として立ち上げや拡大を担える人材はニーズが続くでしょう。

中でも、注目したいのはベトナムです。また、今は大統領をめぐる問題がくすぶっているものの、その状況次第ではフィリピンも伸びる可能性があります。

ベトナムは、メーカーの生産拠点も流通サービスの販売拠点としても、拡大が見込まれます。一定規模の人口があり、若い人が多い。経済成長の伸びが期待でき、中間所得層の増加に伴い消費も拡大すると期待できます。

そのマーケットを狙って今後もさまざまな企業が進出し、そのプロジェクトを担える人材を求めるでしょう。ベトナムでの事業経験がある人はもちろんのこと、東南アジアでの事業運営経験がある人であれば、それを生かすチャンスがありそうです。成長中の国でマーケット開拓を行う醍醐味を味わえると思います。

中国ビジネスには、「変革できる人」が求められる

1日で1207億元を売り上げたアリババの「独身の日」セール

1日で1207億元を売り上げたアリババの「独身の日」セール

中国の景気は不透明感が増しているとはいえ、巨大マーケットであることには間違いありません。11月11日の「独身の日」商戦では、ネット通販のアリババが1日で1兆8000億円を売り上げる。そんな爆発的な消費パワーを秘めた中国は、日本企業にとっても注視しておくべきマーケットといえます。

最近では、中国のマラソンブームに乗じて、アシックスが上海に旗艦店をオープンしたのが記憶に新しいですが、流行の兆しやニーズの変化をつかんで商品を投入していく判断が重要となります。中国に進出したものの軌道に乗せられていない日本企業は多く、変革が求められています。

どのタイミングで、どの商品を、どんな価格帯で、どんな売り方で仕掛けていくか。中国でのセールスやマーケティング、ブランディングで成功体験を持つ方は、今後もニーズが高い状況が続くでしょう。

海外情勢は移り変わりが激しく、しかも日本にいては正確な情報をタイムリーにつかめません。グローバルビジネスでさらなる活躍の場を探している方は、さまざまなルートからの情報収集を続け、チャンスのタイミングを逃さないでいただきたいと思います。

 「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は1月27日の予定です。
 連載は3人が交代で担当します。
 *黒田真行 ミドル世代専門転職コンサルタント
 *森本千賀子 エグゼクティブ専門の転職エージェント
 *波戸内啓介 リクルートエグゼクティブエージェント社長
波戸内啓介(はとうち・けいすけ)
リクルートエグゼクティブエージェント社長
1989年リクルート入社。営業部門、企画部門責任者を経て、リクルートHRマーケティング関西など、リクルートグループの社長を歴任。2011年リクルートエグゼクティブエージェント社長に就任。
 リクルートエグゼクティブエージェント(http://www.recruit-ex.co.jp/)

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