出世の法則 明るい愛嬌のあるヤツが勝つ

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出世する人間には法則がある――。40年にわたり経済記者として、企業経営者や官僚を取材してきた岸宣仁氏。組織の頂点に立つ人には「いろいろな意味で、傑物が多かった」と語る。おのずと見えてきたという偉くなる人のパターンをまとめた『出世の法則』(文芸春秋)を上梓(じょうし)したばかりの岸氏に“出世の極意”を聞いた。

すしを食べるときに好物を最初に食べるか、最後に残すか

岸宣仁氏

ある銀行の幹部から「すしを食べるときに好物から食べるのか、最後まで残すのかを観察すれば、その人間の器量が見える」と言われたことがあります。好きなものを最後まで残している人は器が小さいというか、勝負ができない人だ、ということのようでした。

「なぜそうなんだろう」と疑問に思い、ことあるごとにいろいろな人に聞いて回っていると、ある人が例として政治家の小沢一郎氏をあげてくれました。ひところの小沢氏は飛ぶ鳥を落とす勢いで、「明日にも総理か」というときがありました。ただ、彼はそれを受けませんでした。今日の彼を見ると雲泥の差です。やはりタイミングというものがあって、それをいかに逃さずつかむことができるか。それを「すしの例え」ではいっているのかなと思います。

愛嬌はあるか

取材メモ1500枚の集大成という

何年か悩んだ末、新聞社を辞めることを決めたときのことです。親しくしていたホンダの広報部長に打ち明けると、「おやじさん(創業者の本田宗一郎氏)が新車発表会に来るから会わせてあげるよ」と言ってくれました。

当日、発表会が始まる前に会場入りした宗一郎氏は、おぼつかない足取りながら新車の周りを2、3周しました。その姿がかわいいというか、愛嬌(あいきょう)があるというか。その時のことです。若い女性技術者が突然、宗一郎氏に握手を求めたのです。すると宗一郎氏は顔をほころばせ、「おれ負けちゃうな」と一言発しました。何か気恥ずかしそうというか、あの表情は今でも忘れられません。宗一郎氏が亡くなる2カ月前のことでした。

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