電線地中化 8000億円の山登れ 小池知事が推進

「文化・交流」に弱み 東京の都市力向上急ぐ

東京の「都市力」の泣きどころは「文化・交流」だ。森記念財団(東京・港)のシンクタンク、都市戦略研究所がまとめた「世界の都市総合力ランキング」(16年版)によると、東京は「経済」分野では世界トップなのに対して「文化・交流」では5位。外国人観光客を引き込む力が「今ひとつ」との結果だった。無電柱化による都市景観の改善は緊急課題だ。

都市戦略研究所によると、16年の東京の都市力は総合で3位だった。15年の4位から順位を1つ上げたものの、総合点数は1338.5で、1位のロンドンの1511.5とはまだ大きな差が残っている。

ロンドンと東京の総合点数を分野別に比べてみると、「文化・交流」で大きな違いがある。ロンドンが338.9だったのに対し、東京は184.7にとどまった。

日本経済が持続的に成長するには、経済の中心である東京の都市力向上が大前提になる。「経済」や「研究・開発」といった得意分野を伸ばすのはもちろんだが、弱点の克服を怠るわけにはいかない。

その意味では、電柱と電線を埋めて都市の景観をよくするのは重要だ。景観改善の利点の1つに、外国人観光客がより訪れるようになり、文化・交流が活発になることがあげられるからだ。

電柱と電線の地中化については、ロンドンとパリ、香港などが100%を実現している。東京23区は7%にとどまっている。このままではあまりにもみすぼらしく、インバウンド(訪日観光客)の増加もいずれ頭打ちとなるだろう。

森ビルの辻慎吾社長は「ロンドンは12年に開催した五輪・パラリンピックで都市力を大きく向上させ、その後もその力を維持した。東京も見習うべきだ」と語る。電線の地中化は長い目でみた都市力の向上策の1つであり、これからの街づくりにおいて欠かせない視点といえる。

(安原和枝、千葉大史、前野雅弥)

[日経産業新聞2016年12月20日付]

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