K-POP新世代 AOA、セクシー衣装がコスプレで人気
K-POP新世代ファイル(8)
男性グループの高い人気に比べ、女性グループのファンの輪が小ぶりになっている「男高女低」のK‐POP市場。そんな中でガールズグループの人気を支えるのは、もちろん男性ファン、そして、ボーイズもガールズも掛け持ちで応援する女性の"K‐POPファン"の存在も大きい。彼女たちは女性アーティストと同じ衣装のコスプレをし、振り付けも覚えて楽しんでいる。そんな今どきのファンをとりこにしているのが7人組グループのAOA(エーオーエー)だ。
韓国兵が「好きなガールズグループ」1位
AOAは2012年に韓国でデビューし、シンクロ率の高いダンスと、米国風のエレクトロなテイストながらどこか懐かしいK‐POPらしいサウンドが特徴。韓国では音楽番組だけでなく、各メンバーがドラマやCM、バラエティなど、マルチな分野で引っ張りだこで、韓国陸軍が兵士を対象に実施した「好きなガールズグループアンケート」で1位になるなど、国民的な人気を誇っている。
そんな人気を引っさげ、日本では14年にデビュー。これまで5枚のシングルをリリースし、韓国語曲の日本語版だけでなく、16年に発売した4thシングル『愛をちょうだい feat.TAKANORI NISHIKAWA(T.M.Revolution)』では西川貴教とコラボレーションするなど日本オリジナルの楽曲にも力を入れている。西川がカーレースの総監督でAOAがレースクイーンというキャラクター設定のドラマチックなPVも受けて、5万枚超のセールスを記録した。
「17年は一気に飛躍する年にしたい」(ユニバーサルミュージック A&Rの伊藤宗人氏、以下同)というAOAが、日本で強みとして打ち出すポイントは3つある。(1)女性がマネしたくなるセクシーさ、(2)日本ならではの楽曲、(3)アジアからのインバウンドだ。
まず、女性がマネしたくなるセクシーさについては、妖精やプリンセス風の衣装で清純アイドル路線を貫くグループがいる一方で、AOAは女性らしい動きを取り入れたセクシーなダンスパフォーマンスを前面に打ち出す。また、コスプレを楽しむファンに向け、「新曲ごとに、女性が共感でき、マネしたいと思うセクシーな衣装を心がけている」と言う。その衣装が楽曲のコンセプトに合わせてがらりと変わることから、韓国では「コンセプトドル(コンセプトアイドルの略)と呼ばれ、これまでの楽曲では、タイトスカートのキャリアウーマンやラクロス選手、ライフガードなど、様々なコスチュームを着こなしている。ライブやイベントの会場で、AOAの姿を模した若い女性を見ると、『ミスター』でサスペンダーをした整備工の姿で踊り、ファンがマネしたKARAを思い出させる。
小室哲哉が新たに作詞、女子会ソング
日本ならではの楽曲については、11月30日に発売された2ndアルバム『RUNWAY』のリード曲『WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント girls ver.』で、95年にミリオンヒットを記録した同名曲を生んだ小室哲哉が、自ら新たに作詞を担当。前作は男性目線での人生応援歌だったが、時代に合わせて女子会ソングに。歌詞は「たまにはこうして肩を並べて飲んで」が「たまにはこうしてあなたとブランチおしゃべり」など、変わっている。
アジアからのインバウンドは、AOAは韓国で高い知名度を持つため、日本でのイベントにアジア各国からもファンがやってくる。「中国大陸や香港、台湾から、ファンがグループで訪れ、ジャケットのデザイン違いのCDを全種類など"爆買い"してくれます」。
元はK‐POPだが、J-POPや日本ならではのコスプレ文化と融合すると、日本のインバウンドコンテンツになる。そんな可能性をAOAは見せている。
(日経エンタテインメント! 白倉資大)
[日経エンタテインメント! 2017年1月号の記事を再構成]
明日はAOAが自身について語るインタビューを掲載します
(1)BIGBANG、WINNER、iKON
(2)Boys Republic/少年共和国
(3)Apink【研究編】
(4)Apink【インタビュー編】
(5)チャン・グンソク
(6)2PM
(7)April
(8)AOA【研究編】
(9)AOA【インタビュー編】
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