公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司

公認会計士・心理カウンセラー 藤田耕司
2016/12/28

post 2020~次世代の挑戦者たち

藤田 海外に向けた観光地の戦略的なプロモーションが不可欠ですね。

須田 そうです。ところが日本人は本当にプロモーションが下手で、海外向けのプロモーションが全然足りていません。一流の観光名所や料理、買い物をする場所などが豊富にあり、治安も良く、決して他国にひけをとらない観光立国としての要素を持っているのに、うまくプロモーションができていないので、日本の価値をブランド化できていません。この点が非常にもったいないと感じています。

藤田 それは日本の中小企業も同じですね。よい商品・サービスを持っているにもかかわらず、その価値を伝えるための表現が十分ではないため、売り上げにつながっていないケースがとても多いのです。

須田 そうだと思います。私はいろいろな地方自治体から訪日観光による地域活性化の相談を受けることがあります。担当者から、この名所が良い、この料理がおいしいと熱心な説明を受けるのですが、どれだけ素晴らしいものでも海外に向けてブランド化ができていないと、訪日客の心をつかむことは難しいのです。日本ではブランド価値を持っていても、海外の人にとっては全くブランド価値がない場合もあります。その点を見誤ると痛い目にあうことは、自分の経験で分かりました。

藤田 どんな経験ですか。

須田 上海で東京の表参道ツアーを企画したことがありました。表参道の有名美容室でカリスマ美容師に髪を切ってもらい、流行のカフェやショップを回って買い物をするというツアーです。「これは絶対に当たる!」と思い、日本航空と組んで2ページの広告を打ちました。しかし、申し込みはゼロでした。ゼロですよ。それは本当にショックでした。

観光地のブランド化などについて聞く藤田氏

藤田 表参道を巡ることの価値が消費者に伝わっていないのに、伝わっているはずだと思い込んでしまうといったことは、マーケティング活動で、よく起こるミスの一つですね。こうした失敗から得たツアーの作り方のコツはありますか。

須田 実際に旅行客に来てもらうためには、1日を通じてある程度ブランド化された場所や料理などを日程に組み込んでいかなければなりません。どれだけ素晴らしい名所でも、それ単品ではツアーは成立しないのです。例えば、観光の目玉になるお祭りがあるならば、それを起点にして一緒に回れる観光名所や名物料理を探します。そうやってツアー全体で見せるところを決めてから、お祭りや名所、料理を海外に向けて売り込み、ブランド化していく戦略を各自治体が実践する必要があります。

藤田 次回は2020年の東京五輪・パラリンピックが訪日観光事業にどのような影響を与えるかについて話を聞きます。

すだ・けんたろう 2007年にフリープラス設立。10年中国・上海にフリープラス上海を設立し、訪日旅行事業に参入。アジアを中心に事業を展開し、日本に観光客を呼び込みながら、訪日観光関連事業を拡大している。16年、日経ビジネスの「次代を創る100人」(15年12月28日・16年1月4日合併号)に選ばれた。同年、日本ニュービジネス協議会連合会が選ぶニッポン新事業創出大賞グローバル部門の優秀賞を受賞。
ふじた・こうじ 公認会計士、税理士、心理カウンセラー。早大商卒。監査法人トーマツを経て日本経営心理士協会、FSG税理士事務所、FSGマネジメントを設立。経営コンサルティングと心理学を融合した経営心理学の普及活動を行い、企業の経営顧問、経営者のメンターを務める。主な著書に「リーダーのための経営心理学」(日本経済新聞出版社)がある。

post2020~次世代の挑戦者たちは原則水曜日に掲載します。

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