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SMAP 300万枚『世界に一つだけの花』が歩んだ道

SMAPの肖像(6)

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NIKKEI STYLE

 2016年12月31日をもって解散するSMAP。バラエティー進出や、俳優や司会といったソロ活動の広がりなど、新しいアイドル像を築いてきた功績は今後も高く評価され続けるに違いない。メンバーそれぞれの個性を、エンタテインメント・ジャーナリストの麻生香太郎氏が考察してきた連載の最終回は、SMAPの代表曲であり国民的ソングとなった『世界に一つだけの花』のブレイク秘話を紹介する。

ジャニーズグループの曲を制作する司令塔は、音楽出版社「ジャニーズ出版」である。ここのスタッフワークは、日本でも屈指といえるだろう。1980年代から、ジャニーズ出版若手社員の感性は鋭く、新人のシンガーソングライター、ロックバンド、最近ではEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)、ボカロ、動画投稿サイトなどの作曲家にも目配りを怠らない。

だから、時々の旬の作家への曲の発注が可能だ。ネームバリューよりも「好きな」作家を起用する柔軟さも素晴らしかった。スガシカオ、山崎まさよし、椎名林檎などを起用するタイミングも絶妙だった。その中に叙情バラードの天才、槇原敬之もいた。

02年当時、SMAPのコンサートで、メンバーがこれまでのレパートリーで個人的なお気に入り曲をソロで歌うというコーナーがあった。そこで木村拓哉が取り上げたのが、アルバム『SMAP 015/Drink!Smap!』(02年7月)に収録されていた槇原敬之・詞曲の『世界に一つだけの花』だった。この曲は、もともとSMAPのアルバム向けに槇原が提供した曲だったのだ。

ピュアなクリエイティビティーの神が降臨

その曲が、草彅剛主演のドラマ『僕の生きる道』(03年、フジテレビ)の主題歌になることが決まった。筆者がデモテープを聴いて、「これは売れる!」とひらめいたのは、この仕事を始めてから3度しかない。最初はH jungle with tの『WOW WAR TONIGHT』、2度目は玉置浩二の『田園』、3度目が『世界に一つだけの花』だった。すぐに、各所へ取材に赴いた。

槇原は99年12月に薬物所持の罪で懲役1年6カ月・執行猶予3年の有罪判決を受けている。すなわち槇原作の楽曲は、業界ではそれまでの慣行として3年間、02年12月まではアンタッチャブルな存在の曲だった。ゆえに03年1月から放映のドラマなら、オンエアも許されると考えて、テレビ局は主題歌に決めたのだろう。

だが、木村がコンサートで熱心に歌っていたのは、執行猶予の時からである。それは、アーティストが罪を償うとは、「いい楽曲を作る」という営みでしかあがなえない、という気持ちが無意識のうちに木村の胸中にあったからだ、と筆者は感じていた。

最高に素晴らしい曲を、なぜ(作者が執行猶予中だからといって)歌ってはいけないのか。作品(楽曲)に罪はないのではないか。

一方、曲を発注したジャニーズ出版のスタッフにも頭が下がる。しかも、槇原が最初に持ってきた曲をボツにして、急きょ書き直してもらったのが『世界に一つだけの花』だったのだ。結果は、アルバム発売まで時間のないなか、邪念のない"ピュアなクリエイティビティーの神"が槇原に降臨した、としか言えないような素晴らしい楽曲ができあがった。

当時、槇原にも取材をしたが、インタビューを受けるのは久しぶりということもあってか、とてもうれしそうだった。半年後、ライブの打ち上げで「大ヒットして、(取材が殺到して)大変でしょう?」とたずねた時、「いえ、取材はあの時以来、1本もありません」との回答を受けて、なんとも悲しい思いをした。メデイアの自粛ムードはこの頃から始まっていたのだ。

ファンの後押しで300万枚を突破

今だから言えることかもしれないが、『世界に一つだけの花』は業界の裏事情の長旅をくぐり抜けてきた、訳ありの楽曲でもあった。だからこそ、そこに込められたピュアな気持ちが世の人たちに届いたとき、心を揺さぶられる感動が生まれたのではないかとも思う。そして、この名曲の存在を、世の中に広く知らしめてくれたのがSMAPだった。

ジャニーズグループの名曲群の悲哀は、幼児からお年寄りまでの誰もが、そらで口ずさめるような大衆的ヒット曲がないことだった。グループ名は残っても、楽曲名が独り歩きすることは極めて稀(まれ)。それはアイドルグループに共通する課題でもある。

だが、ことSMAPに関しては、奇跡が起こった。槇原敬之の渾身(こんしん)の1作が、アルバム収録曲のひとつから、今や日本人の誰もが口ずさめる国民的ソングとなった。

『世界に一つだけの花』はこの12月、ファンの後押しを受けて、ついに300万枚を突破した(オリコン調べ)。SMAPの名と共に、この先も永遠に歌い継がれていくに違いない。

麻生香太郎(あそう・こうたろう)
 作詞家として活動後、1980年代半ばにエンタテインメント・ジャーナリストに転身。近著に『誰がJ-POPを救えるか?』(朝日新聞出版)。
「SMAPの肖像」は6回連続で掲載します
12月21日(水) 中居正広
12月22日(木) 木村拓哉
12月23日(金) 稲垣吾郎
12月24日(土) 草彅剛
12月25日(日) 香取慎吾
12月26日(月) SMAP

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